古典ミステリーの傑作ということで読んでみました。
埠頭での荷下ろし中に破損した樽から女性の絞殺死体と数枚の金貨が発見された。問題の樽は、パリからロンドンへとドーバー海峡を渡って送られたものだった。当初は、樽の受取人であるフェリクスに疑いの目が向けられるが、捜査が進められるうちに、事件はめまぐるしい展開をみせつつ混迷を極める・・・というストーリーです。
トリックに重点を置いた作品ということで、謎解きにチャレンジするべく、要所要所に付箋を貼りつつ、メモを取りながら、読み進めました。
樽を使ったトリックについては、本作の定評がある部分だけあって、よく出来ていると思いました。私は、8割ぐらい読み終わった段階で、大方、この樽トリックを見破ることが出来ました(自画自賛)。
アリバイトリックについても、よく練られているとは思いました。ただ、それほど特筆すべき斬新なトリックだとは思いませんでした。
最終的に判明した事件の真相については、犯行動機をとってつけたような違和感があり、ご都合主義的な部分もかなり見受けられました。
また、トリック重視の作品なのでしょうがないかもしれませんが、事実だけが淡々と記述されている部分が多く、あらすじを読んでいるような気分になりました。
人物描写にあまりページが割かれていないので、どの登場人物にも魅力を感じることができず、物足りなさを感じました。
もう少し、感動する要素とか共感できる要素を盛り込んで欲しかったです。
まあ、ミステリーとしては合格点ですが、エンタメとしてはいまいちでした。
傑作というほどではなかったかな。
あとがきで有栖川有栖先生が指摘されている作中のミスについては、私も最後まで気になっていました。
