以前に読んだ「国宝」がすごく面白かったので、吉田修一さんの本作も読んでみました。
1980年代後半、バブル真っ只中の時代に、大学進学のため長崎から上京した横道世之介が、大学一年目の一年間に、友人達との出会い、サークル活動、アルバイト、失恋、恋愛・・・etc.、いろんな経験をして成長する・・・というストーリーです。
爽やかな青春小説でした。
本作もすごく面白かったです。
世之介が主人公として進んでいくメインの物語に、周囲の人達のその後の物語が交互に差しこまれているのも感動的でした。
吉田修一さんは、素晴らしいストーリーテラーだと思います。
本作は「青春小説」ということで、青春時代が遠い昔に過ぎ去ってしまった私が共感できるか、不安だったんですが、そんな懸念は不要で、最初から最後まで楽しく読むことができました。
私も、ほぼ同じ時代に上京したので、当時の空気感、バブル時代の浮かれた雰囲気を思い出しました。
当時、「千春さん」のような女性は、たくさんいましたよね。
ただ、たくさんの登場人物が入れ代わり立ち代わり現れて世之介と関わりあうんですが、一人ひとりのエピソードが浅いように感じました。
それぞれの登場人物の闇とか抱えている問題について、もっと深く掘り下げて描いて欲しかったです。
それに、もっと「青春」の陰の部分も描いて欲しかったです。本来、「青春」ってドロドロしたものですよね。
「国宝」がすごく面白くて、私の好みにドンピシャだったので、期待値が高すぎたかもしれません。