いろんな方のSNSで高評価だったので読んでみました。
東京の上流家庭で育った箱入り娘の華子は、お見合いで、同じく上級国民で慶應義塾大学OBで弁護士の青木幸一郎と出会い、交際へと進む。一方、地方出身で慶應義塾大学への入学を機に上京した美紀は、バイト先で幸一郎と出会い、腐れ縁の関係をだらだらと続けている。全く違う階級に属する華子と美紀が、幸一郎をきっかけに出会うことになり・・・というストーリーです。
いわゆる三角関係という設定なので、女同士のドロドロした物語が展開されると思いきや、恋愛自体には主題を置いていなくて、むしろ華子と美紀の爽やかな成長物語って感じです。
私も地方から上京した経験があるので、美紀のパートを読んでいて共感できる部分が多かったです。著者の山内マリコさんも、華子よりも美紀の方に思い入れがあり魅力的に描いているように感じました。
企業内の男女格差、地方都市の衰退・貧困、世襲議員の誕生の背景・・・といったこの時代の社会問題も、華子と美紀の視点から描かれていて、物語に深みを与えています。
映画版も評価が高そうなので、観てみようかな。