とんでもない喫茶店に入ってしまった

客は一目で見て金持ちだとわかる客ばかり

でもゆったりとした雰囲気なので

一杯だけ茶を飲むことにした


そこで聞いた会話は笑ってしまうようなものばかり


「悩みを持っている人と関わりたくないわ」

「そうよね相談されたりとかすると私まで悩んでしまうし」

「そういう人とは関わり持たない方がいいわよ」

「みんなでこうやって楽しく話した方がいい」



そんな関係は本当に友達と呼べるのだろうか

私が大嫌いな上辺だけの付き合いとか言うんじゃなかろうか


まったく気が滅入る

最後には

「あの人私よりいい家に住んでるから大丈夫よ」


いい家に住んでいたら悩んだらいけないのか

なんと恐ろしい


金持ちの悩みはとことん理解されないらしい

この人たちは無意識のレベルでその悩んでいる人に嫉妬している


自分よりいい家に住み

良い服を着て

良い学校に行き

良い会社に勤めている人を嫉妬する

それはごく自然な感情だ


だが悩むことまで許されないのはつらい

私は話題にのぼっているいるその誰かが可哀想になった


こんな表面だけの付き合いしか望んでいない連中しか周りにいないその人はとても大変だ

不幸なのだろうか


いや

その人はきっと良い友人に出会うだろう

一人で悩んでいるときにそっと手を差し伸べてくれるのが本当の友達だ


早くその人に本当の友達ができますように






また喫茶店に来てこれを書いている

流れる勇ましいオペラはワーグナーだろうか

クラッシックは全然詳しくないから

さっぱりわからない


ワーグナーは難しすぎて

自分には穏やかで聴きやすいモーツァルトの方があっているのかもしれない


音楽を聞ききながら

私の好意を拒絶した人をふと思い出した


その人は私より一回り年上の穏やかな人だった

一番最初に会ったとき笑顔で挨拶してくれた


だがその人は悪い連中と付き合うようになり

すっかり変わってしまった

どうしてそうなってしまったのだろう


私とは以前のように仲良く遊ぶことはなくなり

距離を取るようになったのだ


やはりあの悪い連中に何か言われたのだろうか

今となっては真相を確かめるすべもない


ある日久しぶりに連絡を取ると

冷たい声で私に喋りかけてきた


何かが決定的に以前とは違う

ああこの人は変わってしまったのだなと思った


会いませんかと遠慮がちに言う私に

その人は遠い所から来るのは悪いからと断ってきた

私の為を思ってくれたのかなと思い

行き慣れた場所から大丈夫だと言うと家には来ないでほしいと言ってきた

その人の本音が出た瞬間だった


さよならと言われたわけではない

でもこのはっきりとした拒絶は

私達の関係の終わりを静かに告げていた


もうこちらから連絡することはないかもしれない

はっきりとした拒絶を私は受け入れようと思う


さようなら

どうかお幸せに






あの頃は秋だっただろうか

それとも冬だっただろうか


とにかくコートを着るような季節だった

貴方と食事をしたあの日

私はとにかく貴方の体調が心配だった

けれどもそれは杞憂に終わり

元気な姿を貴方は見せてくれた


一緒に食事をした

その一瞬が忘れられない思い出になったことを

私は貴方に伝えていない


私だけが知る貴方の笑顔は

今も心に焼き付いている