その人は異国に暮らし

裕福でちゃんとした稼げる仕事についているかなり恵まれた人間だ

 

恵まれた育ちの配偶者にも恵まれ

子供達も優秀な人間に育っている

 

何の問題もない人生に見えるのだが

その人には一つ欠点がある

 

それは人の落ち度を指摘すること

よく人を見ているのだろうが

すぐに異論を唱えるのだ

 

物をはっきり言うというのは嫌われる

けれど周りは仕方ないと思っていてその言動を許しているようだった

あの人はいつもああだからと周りは半ば諦めていた

 

なぜ人を否定するような言動を取るのだろうと

ずっと不思議だった

 

だがふと思うのだ

きっとその人は幸せではないからそんな風に人に八つ当たりするのだと

あれだけ恵まれた暮らしを送っているはずなのにと不思議だが

人間というものは

どこまでも満足しない生き物なのかもしれない

 

もっともっとと思っているうちに

その人は知らず知らずのうちに他人に厳しくなっていたのかもしれない

 

別のその人は不幸ではないのだろうが

おそらく本当の意味での幸せを感じられないのだろう

だから人を平気で否定しバランスを取っているのかもしれない

 

その人は永遠に何を求めているのか分からないまま人生を終えるだろう

どこかでこれでよかったんだと思わない限り

人生に迷い続けるだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当にあれしか道はなかったのだろうか。

どうして不幸な結末を迎えてしまったのだろうか。

 

許せない心を胸に今日も私は早朝のこの時を過ごす。

過去の記憶は決して楽しいものばかりじゃない。

時として苦々しい思い出も蘇る。

 

ああ、そうだ。

私はまだあの人達を許してはいないのだ。

きっと一生許せないだろう。

 

すべてぶち壊されたこの心を私は一生引きずっていかなければならない。

この痛みにあの人たちは気づきもしない。

でもこんな心を持っているのは私だけではないはずだ。

 

彼らに苦しめられた人達は他にも沢山いる。

私は彼らの転落を願う。

ただもう自分は彼らと関係のない所で生きていきたい。

二度と関わりたくない。

 

この空虚な人生を生き抜くことだけが私の願いだ。

 

 

 

 

 

 

 

数か月前にあの人と共通の知り合いと久しぶりに連絡を取った

話を聞いて驚いた

巨万の富を得たあの人は今はホームレス状態になっているらしい

 

「人を驚かすのが好きな人だからわざとそうした振る舞いをしている可能性もあるって見た人は言っていたけどね」

どういうことなのだろう

本当に彼は富を失ったのだろうか

 

しばらく見ないうちにすっかりと状況は変わっていた

彼のリッチな生活も永遠ではなかったのだ

私は彼の成功が永遠に続くのだとどこかで思っていた

 

お金のなくなった彼はこれからどうするのだろう

それとも本当はまだ富を失っておらず人を驚かす為に金のないふりをしたのだろうか

 

真相はわからない

私はもう彼に近づかないだろうし連絡も取るつもりもない

でも頭のいい彼のことだからこの現状をいずれはいい方向に持っていくだろうとも思う

 

そういえば彼を尊敬していたあの人はどうしているだろう

あの人は彼の窮状を知っているだろうか

ふとそんなことを考えた