その人が今どこで何をしているかは知らない

あれから数年がたっている

出会ったときその人は学生で就職活動中だった


壊れやすい精神を持った人だった

懸命に今の生活から抜け出したくて頑張ってる人だった


恥ずかしそうにうつむくその姿を見た人たちはきっとその人のことが好きになっただろう

控えめな子だった


少しだけ自分の家庭のことを話してくれた

初対面でそんな話をされて

この子は無防備なんだなと思った

それだけ悩んでいたってことかもしれないけれども


彼女を撮った写真は大切に保管されている

少し戸惑ったような笑顔が写真に収められている

それは大切な思い出

大切な瞬間


なぜか私を可愛いと言ってくれた

その言葉に最初は戸惑ったけど純粋に嬉しかった

当時私を褒める人はあまりいなかったからだ


その細い身体に色々な物を背負いながら彼女は生きていた

あれからその荷物は少しは減っただろうか

そうであってほしい


その子を知る人が彼女は元気にやっていると教えてくれた

たまらなく嬉しかった

あの人の笑顔は格別だ

その笑顔で人を幸せにしていてほしい


どこかでまた会えるかもしれない

そのときはいい報告がきけますように





誰もがレールに沿った人生を生きているわけではない

レールから外れた人間も数多く存在する

学校へ行って勉強して就職をして働く

そんな一般的なコースから外れた人間は人から批判を受けやすいのだろうか


普通の人生を送っていないからといって

突っ込みどころ満載だなどと人から言われてしまう人もいる

だがそう言う本人たちは一体どのような人生を送っているのだろう

なぜ他人を裁くような真似ができるのだろうか


私は他人を説教したり裁くほど良い人生は送っていない

小さな不満を抱えたまま人生を送っている

もっと稼げるんじゃないかとか

もっと勉強すれば上へ行けるんじゃないか

などという小さな不満を抱えている


けれど中には人生を諦めきって自暴自棄になっている人だっている

人は向上心のない人間を嫌う

そんなに上昇志向を持たなくてはいけないのだろうか?


他人を裁いている暇があったら

自分の人生を見つめなおしたらどうなんだと思ってしまう場面が最近あった

確かにその人は正しい目線なのだろうが

そっちだって今まで生きてきた中で間違いはなかったのか?


正しいという基準だけで人を裁くのはやめてほしい

裁かれた本人を傷つけて一体何が正しいのだ


これからもあの人は人を裁き続けていくのだろうか

だとしたらそのうち周りから人が離れていくだろう

きっと私だってその人にはついていかないだろう




その人はこう言った

「いらぬ心配なんて必要ない」


人は心配する生き物だ

でも時としてそれは迷惑になってしまうこともある


余計なお世話ってやつだ

たとえ貴方が心配しても何の解決にもならない

その人は笑いながら自分のことを心配してきた人間を軽蔑した


複雑な人間関係を嫌うその人はシンプルな思考で生きている

でもそんな考えのせいかせっかくできた友達をあまり大切にしていなかったらしい

その人はいつも一人だった


独りぼっちのその人は恵まれた生活を送っていた

他人から羨ましがられる生活だ

だがそれはあくまで表向きの顔

裏は殺伐とした世界が広がり

本人はいつも満たされない思いを抱えていた


その人から見たら

自分のことを心配してくる親身になってくれる人たちのことは偽善者

アドバイスをしてくれる人のことはいちいちうるさい人

そんな風にしか人を見ていなかったようだ


人は離れてゆく

残っていた数人の人も離れていくことを考えているようだった

いくらアドバイスをしても聞く耳を持ってくれないと他の人は言っていた

その人には何を言っても無駄だった


私はこれからどうするのだろう

このまま普通の話題をし

適当な世間話をしていかなくてはならないのだろうか


私はアドバイスなどしない

自分はそういうことができる人間だとは思ってはいないからだ


その人はこれからどこへ行きつくのか

良い行き先があるといいのだが