学生の頃は、今とは違い、口語訳や現代語訳を読んでいました。
しかし、自分の祖先探しをするにあたって、試行錯誤して、
最終的に「原文」である「漢文」で考察することにしました。
実際に「原文」で考察すると、どうしても、
漢文の解釈によって、内容が変化してしまうことがあります。
デメリットはありますが、大きなメリットとして、
他人による解釈ではなく、自分が解釈するので、
漢字の字源などを調べることにより、見えなかったことを知れます。
前回の投稿で、古代中国の歴史書にも、
「天皇」についての記述がある事を書きました。
「文武天皇」は、「長安元年(701年)」という、
なぜか、古代中国の「唐の高宗」の皇后である「武 則天」が
建国した「武周國」で使用された「元号」が使われています。
もし、これが、本当に現日本の「天皇」であるならば、
「長安元年」を使わずに、「大宝元年」を使えばよいはずです。
この様に、共通事項の疑問点を解消して行く事こそが、
現天皇家、並びに豪族等の歴史を知る事になると思っています。
自分にとって、心構えとして必要なのは、下記の通りです。
1:漢字表記の大切さ
古事記も日本書紀も、漢字で書かれていますが、
形式が異なっています。
例えば、古事記は「1字1音」ですが、
日本書紀では、その様にはなっていません。
また、古事記が「712年」、日本書紀が「720年」なので、
古事記のふりがなを、日本書紀に流用しています。
しかし、もし、逆ならどうでしょう。
日本書紀のふりがなを、古事記に流用出来ないでしょう。
なぜなら、日本書紀の表記を、古事記にある
「次伊邪那岐神、次妹伊邪那美神。此二神名亦以音如上」
という様な注記で読んだとしても、
「伊弉諾尊・伊弉冉尊」とイコールで結べ無いと思うからです。
現代において、イコールで結ばれているのは、
古事記が先にあり、日本書紀が後にあるから出来るのです。
これらの様に、「表記」は重要な情報源となります。
他にも、「スサノオ」と言っても、古事記で3種類、
日本書紀の表記、出雲國風土記にも5種類程あります。
動画等で、歴史を追求するなら、どの時代の誰を指すのかを
明確にして欲しいと感じています。
この点を、いかに明確に出来るのかも重要な点です。
2:音の解釈
上記の「伊邪那岐神」を例にすると、「以音(音を以ってす)」は、
「音読みで読むように」という注記です。
注記があるので、その様に読まなければいけません。
先程、古事記は「1字1音」と書きましたが、
「邪」は音読みだと、「呉音:じゃ」、「漢音:しゃ」になり、
ルールから外れてしまいます。
Wikiには、特殊な例として「や」を上げていますが、
一般には使用されていませんので、
「じゃ」か「しゃ」を選ぶことになります。
ところが、現在、「邪=ざ」としています。
これは、古代では「じゃ」もしくは「しゃ」を利用していたが、
何らかの理由で、「邪=悪」と解釈され、
長い年月により、発音が「じゃ→ざ」へと変わったと思われます。
この事の証明として、サイトには、
神社で使用されている表記を載せていますが、
移り変わりが、目で確認できます。
これらの様に、発音は時代とともに「移り変わる」のだと思いますが、
当然、原点があるので、いかにその原点を見つけるかも重要です。
3:字源を遡る
「甲骨文字」まで遡れるのもありますが、
発見されていない物も多くありますので、
現存する形から、当時の形を推測するのも大変ですが重要です。
例えば、「皇」ですが、商(殷)の時代の形はシンプルで、
縦に5本線あり、下に5本線が収まる楕円形があり、
楕円形の中心から長めの縦棒があるのが、初期状態となります。
しかし、時代の経過より、5本線が3本線となり、
楕円形の中に横棒が入り、中心から縦棒が伸びていますが、
その左側には、「大+)」と解釈できる形が付与されています。
これらを比較検証し、本来の意味を探っていきます。
文字によっては、解釈が難しいのもあり、
この段階で、時間がかかるのもあります。
4:地理の推測
多くの人は、「出雲國」と見ると、現在の島根県を思い出すでしょう。
しかし、本当にそうだったのか、検証する方法がありません。
つまり、判斷ができないという事です。
例えば、「出雲國」などの知っている国名でも、
必ずしも、現在と同じ場所に存在していたとは限りません。
多くの方は、今に残る痕跡のみを辿ります。
ですが、長い年月によって、
何も残らずに消えてしまった可能性もあるのです。
現在を見るのではなく、古代の地理をイメージしながら、
歴史書を読むのが大事です。
5:古代の気象変化
古代の気象について、色々な事が分かっていて、
重要視している「弥生の小氷期」と言われる期間もその1つです。
「小氷期」というくらいなので、現朝鮮半島、大陸、
そして、九州にを含む列島に大きな影響があったと考えられています。
サイトでも紹介した「博多湾〜有明海は繋がっていた」という情報と、
「弥生の小氷期」の情報で、「大八島國」は、
この繋がっていた「河」の中に、土砂の堆積などによって形成され、
当時の人は、人間が住める環境を作り、國として運営していたと
推測しました。
「小氷期」になって寒くなれば、必然と潮が引いて、
残った場所は陸地となったはずです。
この推測の傍証となるのが、第一章最後の話で、
「速須佐之男命」が困ってしまい、助けを要請する描写があります。
「建速須佐之男命」が「海原」を「事依る」とあるのは、
この一族は、海運業を営んでいて、営業許可を求めていたが、
味方になるならという条件で、許可が降りたのだと解釈しています。
この様に、
古代の気象変化と古事記の内容がリンクしている
可能性が高いことから、
他の記事も同じ様に考えて行く必要があると考えています。
6:口伝や神代文字に関しての情報は、適用せずに保留
理由としては下記の通りです。
◯1:口伝
極論として「伝言ゲーム」という域にあるという認識だからです。
理由を見て、「そんな事はない!」と言う人がいると思いますが、
文書が残っていない以上、音のみが継承され、
表記に関しては捨てています。
これにより、比較検証する事が出来ません。
「漢字の表記」があるからこそ、
同一人物の可能性などを検証できるのです。
しかし、音のみとなると、誰を指すのかが判断しづらいです。
例えば、動画では「スサノオ」と一言で片付けますが、
「漢字の表記の大切さ」でも書いたような、
複数の表記があるので、一言で片付けるようなのは、
原文を読んでいないのだろうなと考えます。
◯2:神代文字
これに関しても、「口伝」と同じ様に、
「ひらがな」・「カタカナ」に変換できても、
「漢字」には変換できないのが理由です。
自分が推測している「紀元前1000年頃」以前より、
「音」と「表記」が1対になって、人物名などに利用されています。
そして、「漢字の表記」があれば、神社の祭神などの情報から、
時代を推測する事が可能になります。
しかし、「音のみ」であれば、仮に「漢字」に変換しても、
それは、神代文字を書いた人が知っている情報と同じなのか?
という比較検証は出来ません。
結局のところ、解釈する人によって、
「漢字表記」が変わる可能性さえあります。
それでは、後回しする他ありません。
☆まとめ☆
今回の話も、自分が勝手に思っている事となります。
さらに言うなら、なぜ、「倭人=現日本人」なのでしょうか?
それに、なぜ、古代中国の歴史書にある情報を、
列島の話だと解釈するのでしょうか?
なぜか、列島の話だと決めつけて、
「卑彌呼」や「聖徳太子」の痕跡を探すのはどうしてでしょうか?
こう言う、踏み込んだ動画を見たいものです。