▽蛇の尾の剣
古事記:
「其の所で御佩(おんおびる)之(この)十拳劔を抜き
其の蛇を切り散る者(は:短語)
肥河を血而(に)變(かえ)る流れ
故 中の尾を切る時、御刀之刄毀(こわ)れる
爾(なんじ)怪しく思い
御刀之前を以て刺して割り
而(なんじ)見れ者(ば:短語)都牟刈之大刀が在った
故 此の大刀の思いを取り、異なった物於(お)
天照大御神而(に)上げると白(もう)す也
是者(は:短語)草那藝(くさなぎ)之大刀也)」
日本書紀第八段本文:
「素戔嗚尊、乃ち帯の所にある十握劒を抜いて其の蛇を
寸斬(すんきり?)にして剣の刃が尾に至り少し缺(か)ける
故 其の尾之(これ)視て割れて裂けた中に一つの剣が有る
此れ所謂(いわゆる)草薙劒也
(草薙劒、此れ倶娑那伎能都留伎(くさなぎのつるぎ?)と云う
一書に、本(当)の名は天叢雲劒と云う、
大蛇の居る所の上に蓋をし常に雲氣(うんき?)有り、 故 名を以て日本武皇子に至り改名し草薙劒と曰(い)う)
素戔嗚尊曰く
是(これ)神の剣也
吾 私が敢えて安らかに何(いず)れ乎(お)以って
乃ち天の神に於いて上げ獻(たてまつる)也)」
一書第二:
「素戔嗚尊、剣を抜いて之(これ)斬り、
尾を斬るに至った時、剣の刃が少し缺(か)けて
之(これ)視るの而(に)割く
則(すなわ)ち尾の中に剣が在り
是(これ)の號(よびな)草薙劒という
此れ今、尾張國吾湯市(あゆぢ?)村に在る
即ち、熱田祝部所の掌(てのひら)之神、是(これ)也
其の蛇を断った剣の號(よびな)蛇之麁正と曰(い)う
此れ今石上に在る也)」
一書第三:
「素戔嗚尊、乃ち蛇を以て韓鋤之劒(からすきのけん?)で
頭を斬り腹を斬り、其の尾を斬った之(この)時、
剣の刃が少し缺(か)ける
故、尾を看るの而(に)裂き、即ち別の剣が一つ有り、
名を草薙劒と為す
此の剣は昔、素戔嗚尊の許(もと)に在り、
今は、尾張國に於いて在る也
其の素戔嗚尊、蛇を断った之(この)剣、
今、吉備神部の許(もと)に在る也
出雲簸之川の上の山、是(これ)也)」
一書第四:
「素戔嗚尊、乃ち天蠅斫之劒(あまのはえきるのけん?)を
以て彼の大蛇を斬る
蛇の尾を斬る時而(に)刃が缺(か)ける
即ち、之(これ)視るの而(に)擘(さ)き、尾の中に一つの神の剣有り
素戔嗚尊曰く
吾 此れ私が以て用いる不可(べから)ず
乃ち五世孫天之葺根神を遣わして、
天に於いて上げ奉(たてまつ)る
此れ今、所謂(いわゆる)草薙劒なり」
△異なる使用した剣
古事記:十拳劔
日本書紀第八段本文:十握劒
一書第三:韓鋤之劒
一書第四:天蠅斫之劒
一書第二には記載されていませんが、
上記の様に同一の名で書かれていません。
「草薙劒」の誕生秘話に事実が隠されているのであれば、
スサノオが使用した剣は一つだけだと思われます。
しかし、実際には古事記と日本書紀では異なっています。
特に「韓鋤之劒」や「天蠅斫之劒」は名からして「蛇」とは
無関係でしょうし、何より、本当に「蛇」が関係しているのならば、
「草薙劒」の様に名が付いていても良いように思えます。
想像するに、一時期、「蛇」が大量発生してしまい、
近隣諸国では「蛇狩り」が行われていたのではないかと考えます。
その時に、持っていた武器になりそうな物に
名を付けたのが「韓鋤之劒」や「天蠅斫之劒」なのではないか?
△「剣」と「刀」の違い
古事記では「刀」や「大刀」だが、日本書紀では「剣」になっています。
調べて見ると「刀」と「剣」とは異なるようです。
剣:主に長い両刃の剣身を持つ手持ちの武器を指す
刀:主に片刃の剣身を持つ手持ちの武器を指す
参照:刀剣 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%80%E5%89%A3
上記の様に比較すると「片刃」と「両刃」を間違えるだろうか?
と疑問符が付く事になります。
なにより、古事記では「刀(片刃)」とあるのに、
日本書紀では「剣(両刃)」に変化しているのも納得出来ません。
日本書紀は古事記の話の内容を継承している事からも、
古事記の内容が古いと考えられます。
であれば、元々、都牟刈之大刀(草那藝之大刀)は「片刃」で
後世の人物によって「両刃」に作り直されたのか、
それとも、「片刃」の「大刀」とは別に「両刃」の剣を作成したのか、
の可能性があるのではないか?と考えています。
▽蛇
まず、「蛇」とは何か?
古事記の
「其の所で御佩(おんおびる)之(この)十拳劔を抜き
其の蛇を切り散る者(は:短語)肥河を血而(に)變(かえ)る流れ
故 中の尾を切る時、御刀之刄毀(こわ)れる」
の文にヒントがあるように感じられます。
「剣」や「刀」で「蛇」を斬って刃が欠けるのだろうか?
そんなに「蛇」は硬いのだろうか?
正体不明の「八俣遠呂智」とも酒を飲ませただけで、
戦っているわけでないのに「刃が欠ける」と言うのはおかしいです。
「肥河を血而(に)變(かえ)る流れ」とは、
「肥河」の中流において戦いが起こり、
血が河に流れ出すほどの多くの死傷者が出た事により、
河は赤く染まったと言う事を指しているのではないだろうか?
そうであれば、「刃が欠けて」いても何も不思議はありません。
敵対勢力の襲撃や
襲撃して来たと勘違いして攻撃を仕掛けたのかは分かりませんが、
長蛇の列をなしていたので「蛇」に喩えていたのかも知れません。
その様に仮定すると、「都牟刈之大刀」は戦利品とも考えられます。
では、日本書紀にある「草薙劒」は何なのか?
これも、同様に「戦利品」であるならば、
「都牟刈之大刀」と「草薙劒」は別物の可能性も出て来ます。
また、「草薙」を冠する「剣」が一つではなかった可能性もあります。
当然、外交で友好関係を築いた国に贈られたりしたのでしょう。
そのうちの一つが尾張国だったのかも知れません。
▽まとめ
これらのように詳しく解析していくと矛盾点が多く出て来ます。
そして、仮説で考察すると「神話」と言う作り話ではなく、
当時を生きた古代人達の動きを考えると色々と見えて来ました。
当然、当時を知る事は無理ですが、
「神話」と言う創作物として考えるよりは、
古代人の生き方を考察する方が有益だと思います。
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