国生み~大国の存在の記紀総括107-スサノオと出雲5- | 記紀以前の日本史を探す

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古事記や日本書紀、俗に偽書とされる歴史書、古代アジア各国の歴史書などから古代(紀元前1000年頃~)日本列島の真実の歴史を考えて行くブログです。

▽須佐之男命と速須佐之男命

 

以前から言っている通り、「須佐之男命」と「速須佐之男命」は

同一人物ではなく別の人物だと考えています。

 

出雲國之肥河の上に到着したのが「須佐之男命」で、

「都牟刈之大刀」入手したのが「速須佐之男命」となると、

「須佐之男命」は先遣隊として役目として情報を収集し、

「速須佐之男命」の本隊が到着してからは、

収集した情報を基にして領地経営したと受け取る事が出来ます。

 

日本書紀は「素戔嗚」とだけしか表記していませんが、

本来は古事記の表記で書かれていたのかも知れません。

 

もし、「速須佐之男命」が出雲の地に領土を持ったとするならば、

誰から与えて貰ったのだろうか?

 

それとも、侵略して奪ったのだろうか?

 

であるなら、「出雲國風土記」に「神」と付く事が無いので、

功績によって領地を獲得したのだと思われます。

 

▽伊呂勢

 

古事記にのみ記載されている重要箇所です。

 

「吾者(は:短語)天照大御神之伊呂勢(いろせ)の者也
 故 今、天から自ら降り坐す也」

 

「高志之八俣遠呂智」と同様の考え方をすると、

「伊呂勢」は「伊(聖職者)」+「呂(並んで続く)」+「勢(勢力)」と

解釈する事が出来、「聖職者と天照大御神を繋ぐ人材派遣」の事を

指しているようにも受け取る事が出来ます。

 

「速須佐之男命」と「天照大御神」の関係が良好だからこそ、

「天照大御神之伊呂勢(いろせ)」と言う肩書になったのだろうと

推測しています。

 

ただ、日本書紀にはこの記事がスルーされているのが気になります。

 

▽御美豆良

 

古事記:

 

「乃ち湯津の爪と櫛於(お)取り成して
 其の童女而(に)御美豆良(みづら)を刺す」

 

日本書紀本文:

 

「故 素戔嗚尊は奇稻田姫を立たせ湯津爪櫛に化かすと為す

 而(なんじ)御髻(みずら)於(お)挿す」

 

日本書紀では「奇稻田姫」と名を記載しますが、

古事記では「童女」とあるだけで名は分りません。

 

なぜ、古事記は「櫛名田比賣」と書かなかったのか?

 

どうも、全体の文章を改めて見ると、

「女名謂櫛名田比賣」とはあるが「童女」=「櫛名田比賣」と

するには不自然な気がします。

 

それに、「兒」や「童女」ではなく「女」としか書かないのは、

別の意味があるのではないかと考えています。

 

元々、「童女」=「櫛名田比賣」ではないからこそ、

「童女」と言う表現になったのだと推測出来ます。

 

もし、逆に「童女」=「櫛名田比賣」であるならば、

名が登場しているのだから「童女」ではなく、

「其の櫛名田比賣而(に)御美豆良(みづら)を刺す」と

記載すれば全然問題がなかった筈です。

 

▽酒

 

古事記:

 

「汝等、八つの鹽(しお)を折って之(これ)醸(かも)し酒にす
 亦、垣を廻りて作る

 其の垣に八門於(お)作る
 毎門に八つの佐受岐(さずき)を結び

 其の佐受岐(さずき)毎而(に)酒船を置き
 毎船而(に)其の八つの鹽(しお)を折った酒を盛り待つ

 故 此の如く而(に)備(つぶさ)に設けた之(この)時
 随うを告げて待つ

 其の八俣遠呂智信(まこと)の如く来て言う

 乃ち船毎に己の頭を垂らして入れて其の酒を飲む

 是於(これお)飲んで酔って留まり伏せて寝る」

 

日本書紀本文:

 

「乃ち脚摩乳と手摩乳を使って八つの醞醸(うんじょう)の酒と
 幷(あわ)せて假(かり)の庪(棚?床?)を作り
 八つの間に各(おのおの)槽口(ふなくち)を一つ置き
 而(すなわ)ち酒を盛るを以て之(これ)待つ也」

 

「酒を得るに及ぶに至り、
 頭が各(おのおの)一つの槽(ふね)を飲み
 而(すなわ)ち醉(よ)って睡(ねむる)時」

 

一書第二:

 

「汝 八つの甕(かめ)に醸した酒と
 衆(もろもろ)の菓を以てるが可(よ)い

 吾 當に汝の為に蛇を殺す

 二神、教えに隨い酒を設ける

 必ず彼の大蛇は産む時に至り、戸に當(あたり)将に兒を呑む

 素戔嗚尊、蛇に勅(みことのり)して曰く

 汝、是(これ)之(この)神乎(お)畏れて敢えて
 不饗(もてなさ)ずに可(よ)い

 乃ち八つの甕の酒を以て、口毎に沃(そそ)ぎ入れる

 其の蛇而(に)酒を飲ませて睡(ねむ)らす」

 

一書第三:

 

「乃ち醸した酒に毒を以て之(これ)飲ますと計る

 蛇、而(すなわ)ち醉(よ)って睡(ねむる)」

 

△共通項

 

記紀の文の共通項では「酒を造り酔わせて眠らす」となります。

 

しかし、「酒」は短期間で造れるものではないので、

「酒が出来上がった時期」に「八俣遠呂智」の移動があったのでしょう。

 

△蛇と酒の関係

 

そもそも、蛇は酒に弱いのだろうか?

 

調べても関連した記事が見つかりませんでしたので、

「蛇」に「酒」を与えてどのようになるのか?の

検証などはされていないようです。

 

また、TVで蛇を除去する映像を見ても、棒などで

袋に追いやる方法を目にするくらいで「酒」は使用していません。

 

もし、本当に蛇が「酒」に酔って寝てしまうのだとするならば、

罠として「酒」を置き寝ている時に除去すれば安全なはずですし、

古代から行っていれば当たり前でも不思議ではありません。

 

しかし、現代においてそのような手法は取っていません。

 

つまり、日本書紀の「蛇」を酒を使って眠らすと言うのは、

やはり、「人間」に対して行った方法ではないか?と改めて感じます。

 

△鹽と酒

 

古事記:

 

「八つの鹽(しお)を折って之(これ)醸(かも)し酒にす
 亦、垣を廻りて作る」

 

「其の佐受岐(さずき)毎而(に)酒船を置き
 毎船而(に)其の八つの鹽(しお)を折った酒を盛り待つ」

 

「鹽(しお)」に関して記載があるのは古事記だけで、

日本書紀には「鹽(しお)」の記述がありません。

 

日本書紀には「八つの醞醸(うんじょう)の酒」や

「八つの甕(かめ)に醸した酒」とは書かれているだけです。

 

古事記と日本書紀の「酒」が同一物であるのならば、

「鹽(しお)」は重要な意味があるので、

削除してしまっては何の意味もなくなってしまいます。

 

もし、古事記と日本書紀の「酒」が違う物であるならば、

違うのですから当然、同じ表現方法でなくても良いわけです。

 

これらから、古事記と日本書紀の状況は異なっていて、

同一の場面を表していない可能性がありそうです。

 

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