国生み~大国の存在の記紀総括106-スサノオと出雲4- | 記紀以前の日本史を探す

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古事記や日本書紀、俗に偽書とされる歴史書、古代アジア各国の歴史書などから古代(紀元前1000年頃~)日本列島の真実の歴史を考えて行くブログです。

□蛇と酒

 

古事記:

 

「爾速須佐之男命詔其老夫 是汝之女者奉於吾哉 答白
 恐亦不覺御名 爾答詔 吾者天照大御神之伊呂勢者也
 【自伊以下三字以音】 故今自天降坐也 爾足名椎手名椎神
 白然坐者恐 立奉 爾速須佐之男命 乃於湯津爪櫛取

 成其童女而 刺御美豆良 告其足名椎手名椎神
 汝等釀八鹽折之酒 亦作迴垣 於其垣作八門
 毎門結八佐受岐【此三字以音】毎其佐受岐置酒船而
 毎船盛其八鹽折酒而待 故隨告而 如此設備待之時
 其八俣遠呂智 信如言來 乃毎船垂入己頭 飮其酒
 於是飮醉留伏寢 爾速須佐之男命 拔其所御佩之十拳劔
 切散其蛇者 肥河變血而流 故切其中尾時 御刀之刄毀
 爾思怪 以御刀之前刺割而見者 在都牟刈之大刀 故取此大刀

 思異物而 白上於天照大御神也

 是者草那藝之大刀也【那藝二字以音】」

 

(爾(なんじ)速須佐之男命、其の老夫詔(みことのり)す

 是 汝の女者(は:短語)吾於(お)奉る哉

 答て白(もう)す

 恐れながら、御名を不覺(おぼえられ)ず

 ※「恐亦不覺御名」のように「亦」が入る写本がある

 爾(なんじ)答て詔(みことのり)す

 吾者(は:短語)天照大御神之伊呂勢(いろせ)の者也

 故 今、天から自ら降り坐す也

 爾(なんじ)然し足名椎と手名椎者(は:短語)、
 神を恐れて坐し立奉(たてまつる)と白(もう)す

 爾(なんじ)速須佐之男命

 乃ち湯津の爪と櫛於(お)取り成して
 其の童女而(に)御美豆良(みづら)を刺す

 其の神、足名椎と手名椎に告げ

 汝等、八つの鹽(しお)を折って之(これ)醸(かも)し酒にす
 亦、垣を廻りて作る

 其の垣に八門於(お)作る
 毎門に八つの佐受岐(さずき)を結び

 其の佐受岐(さずき)毎而(に)酒船を置き
 毎船而(に)其の八つの鹽(しお)を折った酒を盛り待つ

 故 此の如く而(に)備(つぶさ)に設けた之(この)時
 随うを告げて待つ

 其の八俣遠呂智信(まこと)の如く来て言う

 乃ち船毎に己の頭を垂らして入れて其の酒を飲む

 是於(これお)飲んで酔って留まり伏せて寝る

 爾(なんじ)速須佐之男命

 其の所で御佩(おんおびる)之(この)十拳劔を抜き
 其の蛇を切り散る者(は:短語)
 肥河を血而(に)變(かえ)る流れ
 故 中の尾を切る時、御刀之刄毀(こわ)れる

 爾(なんじ)怪しく思い
 御刀之前を以て刺して割り
 而(なんじ)見れ者(ば:短語)都牟刈之大刀が在った

 故 此の大刀の思いを取り、異なった物於(お)
 天照大御神而(に)上げると白(もう)す也

 是者(は:短語)草那藝(くさなぎ)之大刀也)

 

日本書紀第八段本文:

 

「故以哀傷 素戔嗚尊勅曰 若然者 汝當以女奉吾耶 對曰
 隨勅奉矣 故素戔嗚尊 立化奇稻田姫 爲湯津爪櫛
 而插於御髻 乃使脚摩乳手摩乳 釀八醞酒 幷作假庪
 【假 此云佐受枳】八間 各置一口槽 而盛酒以待之也」

 

(故 傷を以て哀しむ

 素戔嗚尊、勅(みことのり)して曰く

 若しく者(は:短語)、汝、然り
 當に女を以て吾を奉(たてまつ)り耶(や)

 對(こた)えて曰く

 勅(みことのり)に隨(したが)い奉(たてまつ)る

 故 素戔嗚尊は奇稻田姫を立たせ湯津爪櫛に化かすと為す

 而(なんじ)御髻(みずら)於(お)挿す

 乃ち脚摩乳と手摩乳を使って八つの醞醸(うんじょう)の酒と
 幷(あわ)せて假(かり)の庪(棚?床?)を作り
 八つの間に各(おのおの)槽口(ふなくち)を一つ置き
 而(すなわ)ち酒を盛るを以て之(これ)待つ也)

 

「及至得酒 頭各一槽飮 醉而睡 時素戔嗚尊 乃拔所帶十握劒

 寸斬其蛇 至尾劒刃少缺 故割裂其尾視之 中有一劒

 此所謂草薙劒也【草薙劒 此云倶娑那伎能都留伎

 一書云 本名天叢雲劒 蓋大蛇所居之上 常有雲氣 故以名歟

 至日本武皇子 改名曰草薙劒】 素戔嗚尊曰 是神劒也

 吾何敢私以安乎 乃上獻於天神也」

 

(酒を得るに及ぶに至り、
 頭が各(おのおの)一つの槽(ふね)を飲み
 而(すなわ)ち醉(よ)って睡(ねむる)時

 素戔嗚尊、乃ち帯の所にある十握劒を抜いて其の蛇を
 寸斬(すんきり?)にして剣の刃が尾に至り少し缺(か)ける

 故 其の尾之(これ)視て割れて裂けた中に一つの剣が有る

 此れ所謂(いわゆる)草薙劒也
 (草薙劒、此れ倶娑那伎能都留伎(くさなぎのつるぎ?)と云う
 一書に、本(当)の名は天叢雲劒と云う、
 大蛇の居る所の上に蓋をし常に雲氣(うんき?)有り、
 故 名を以て日本武皇子に至り改名し草薙劒と曰(い)う)

 ※「一書云」とする所を「一書曰」と書く一書もある

 素戔嗚尊曰く

 是(これ)神の剣也

 

 吾 私が敢えて安らかに何(いず)れ乎(お)以って
 乃ち天の神に於いて上げ獻(たてまつる)也)

 

一書第二:

 

「不得一存 今吾且産 恐亦見呑 是以哀傷 素戔嗚尊乃敎之曰

 汝可以衆菓釀酒八甕 吾當爲汝殺蛇 二神隨敎設酒 至産時

 必彼大蛇 當戸將呑兒焉 素戔嗚尊勅蛇曰 汝是可畏之神

 敢不饗乎 乃以八甕酒 毎口沃入 其蛇飮酒而睡 素戔嗚尊

 拔劒斬之 至斬尾時 劒刃少缺 割而視之 則劒在尾中

 是號草薙劒 此今在尾張國吾湯市村 即熱田祝部所掌之神是也

 其斷蛇劒 號曰蛇之麁正 此今在石上也」

 

(一存で来て呑み不得(え)ず

 吾、今、且つ産むのは、呑まれるのを亦、
 見るのは恐く、是(これ)を以て傷つき哀しい

 素戔嗚尊、乃ち之(これ)教えて曰く

 汝 八つの甕(かめ)に醸した酒と
 衆(もろもろ)の菓を以てるが可(よ)い

 吾 當に汝の為に蛇を殺す

 二神、教えに隨い酒を設ける

 必ず彼の大蛇は産む時に至り、戸に當(あたり)将に兒を呑む

 素戔嗚尊、蛇に勅(みことのり)して曰く

 汝、是(これ)之(この)神乎(お)畏れて敢えて
 不饗(もてなさ)ずに可(よ)い

 乃ち八つの甕の酒を以て、口毎に沃(そそ)ぎ入れる

 其の蛇而(に)酒を飲ませて睡(ねむ)らす

 素戔嗚尊、剣を抜いて之(これ)斬り、
 尾を斬るに至った時、剣の刃が少し缺(か)けて
 之(これ)視るの而(に)割く

 則(すなわ)ち尾の中に剣が在り

 是(これ)の號(よびな)草薙劒という

 此れ今、尾張國吾湯市(あゆぢ?)村に在る

 即ち、熱田祝部所の掌(てのひら)之神、是(これ)也

 其の蛇を断った剣の號(よびな)蛇之麁正と曰(い)う

 此れ今石上に在る也)

 

一書第三:

 

「素戔嗚尊 乃計釀毒酒以飮之 蛇醉而睡 素戔嗚尊

 乃以蛇韓鋤之劒 斬頭斬腹 其斬尾之時 劒刃少缺 故裂尾而看 

 即別有一劒焉 名爲草薙劒 此劒昔在素戔嗚尊許

 今在於尾張國也 其素戔嗚尊 斷蛇之劒 今在吉備神部許也
 出雲簸之川上山是也」

 

(素戔嗚尊、乃ち醸した酒に毒を以て之(これ)飲ますと計る

 蛇、而(すなわ)ち醉(よ)って睡(ねむる)

 素戔嗚尊、乃ち蛇を以て韓鋤之劒(からすきのけん?)で
 頭を斬り腹を斬り、其の尾を斬った之(この)時、
 剣の刃が少し缺(か)ける

 故、尾を看るの而(に)裂き、即ち別の剣が一つ有り、
 名を草薙劒と為す

 此の剣は昔、素戔嗚尊の許(もと)に在り、
 今は、尾張國に於いて在る也

 其の素戔嗚尊、蛇を断った之(この)剣、
 今、吉備神部の許(もと)に在る也

 出雲簸之川の上の山、是(これ)也)

 

一書第四:

 

「素戔嗚尊 乃以天蠅斫之劒 斬彼大蛇 時斬蛇尾而刃缺

 即擘而視之 尾中有一神劒 素戔嗚尊曰 此不可以吾私用也

 乃遣五世孫天之葺根神 上奉於天 此今所謂草薙劒矣」

 

(素戔嗚尊、乃ち天蠅斫之劒(あまのはえきるのけん?)を
 以て彼の大蛇を斬る

 蛇の尾を斬る時而(に)刃が缺(か)ける

 即ち、之(これ)視るの而(に)擘(さ)き、尾の中に一つの神の剣有り

 素戔嗚尊曰く

 吾 此れ私が以て用いる不可(べから)ず

 乃ち五世孫天之葺根神を遣わして、
 天に於いて上げ奉(たてまつ)る

 此れ今、所謂(いわゆる)草薙劒なり)

 

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