国生み~大国の存在の記紀総括104-スサノオと出雲2- | 記紀以前の日本史を探す

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古事記や日本書紀、俗に偽書とされる歴史書、古代アジア各国の歴史書などから古代(紀元前1000年頃~)日本列島の真実の歴史を考えて行くブログです。

▽出雲への移動

 

古事記:出雲國之肥河上

 

日本書紀第八段本文:出雲國簸之川上

 

一書第一:出雲簸之川上

 

一書第二:安藝國可愛之川上

 

一書第四:出雲國簸川上

 

まず、「河」と「川」では規模が異なります。

 

「河」は「大河」の様に「川幅が広い大きな河」、

「川」は「川幅が狭い川」となるので、

古事記と日本書紀の場所が必ずしも一致するとは限りません。

 

次に、「肥」と「簸」も異なると考えています。

 

「肥の河」は「肥料」などの様に「栄養が多く作物が育ちやすい河」、

「簸の川」は「箕みを左右に傾け、穀物の中に混ざっている糠ぬかや、

塵ちりをあおって取り去る。」の意味があり

「除去作業をするに適した川」と解釈出来ると思います。

 

次に、「安藝國可愛之川上」に関してですが、

一書第二のみの表記ですが、日本書紀の神代の記事では、

今回の一箇所のみが記載されていて、疑問に思っています。

 

古事記の上巻で「安藝國」など色々と検索して見ましたが、

該当の文字は検出されなかったので、情報源が気になる所です。

 

また、戦国時代で活躍した毛利氏の「安藝國」は

広島県なので「瀬戸内海」に面しています。

 

しかし、「出雲國」は島根県で「日本海」に面していて、

「瀬戸内海」ではないので同一地域と考える事は出来ません。

 

出雲國の「肥の河」、「簸の川」と安藝國の「可愛之川」が

古代において繋がっていた可能性があります。

 

繋がっていたとするならば、「瀬戸内海」側に「安藝國」が

存在したのではなく、「出雲國」の左右で「日本海」側に

存在した可能性が高いと思っています。

 

理由として「瀬戸内海」の航行技術は西暦5~6世紀まで

確立していないと言われている事です。

 

実際にどうだったのかは不明ですが、紀元前8世紀頃には、

まだ、危険な水域との認識があったと思いますし、

何より、貿易ルートは「瀬戸内海」ではなく「日本海」であったので、

「安藝國」は日本海側に存在したと言えると推測しています。

 

ただ、資料が不足している為に、

「安藝國」の存在した時期等を読み取る事は無理そうです。

 

▽オロチ

 

記紀の表記は下記の通りになります。

 

古事記:高志之八俣遠呂智(おろち)

 

日本書紀第八段本文:八岐大蛇

 

一書第二:八岐大蛇

 

一書第三と第四には「蛇」や「大蛇」とはあるが、

「八岐大蛇」と言う表記はされていませんので

同一と考えるのは間違っている可能性もあります。

 

△オロチとは?

 

オロチとは何か?を考える時、決まって「蛇」と言われます。

 

しかし、古事記には「高志之八俣遠呂智」と表記されるが、

正体が「蛇」とは一切書かれていません。

 

それに、参照のサイトを見て貰えると分る通り、

何も、「尾」があるのは「蛇」だけではありません。

 

参照:尾 - Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%BE

 

これらの事から考えても、

八俣遠呂智を「蛇」と考えるのは間違っていると思われます。

 

△オロチの正体

 

「蘿(つた)及び桧(ひのき)榲(すぎ)が生えて」や、

「八丘八谷」、「石松」など「蛇」よりも「山」全体と想像出来ます。

 

☆あかかがち

 

目に当る「あかかがち」は古事記:「赤加賀智」、

日本書紀本文:「赤酸醤」と表記され、古事記でも、

「此謂赤加賀知者今酸醤者也」と記述されている様に、

「赤加賀智」=「赤酸醤」と考えても問題なさそうです。

 

「かがち」は「ほおずき」と考えられていますが正しいのかは不明です。

 

「酸醤」の漢字から考えると、「酸っぱい醤(ひしお)」と受け取れます。

 

しかし、調べても「ほおずき」が「酸っぱい」と言う

記述は見つかりませんでした。

 

「ほおずき」は「えぐみ」があると言う記述もあり、

もしかすると、「ほおずき」ではなく「トマト」ではないかとも考えられます。

 

「トマト」であれば水分も多く、酸っぱいので条件に該当します。

 

ただ、紀元前8世紀頃の列島で「トマト」が存在したかどうかは

分からないので、他の食物かも知れません。

 

それと、「ほおずき」が違うかも知れない理由に、

山全体を外から見て、「目」の位置と思われる8~7合目にある

「酸醤」が赤く見えなければ行けませんが、

ほおずきの「草丈は60cmから80cm位」らしいので、

見る事が出来ないのではないか?と疑問が出る事です。

 

他にも、古事記には下記の文があります。

 

「彼の目は赤加賀智(かがち:ほおずき)の
 如く身一つ而(に)八頭八尾有る」

 

この文から「赤加賀智」は「八頭八尾」の様な外見を有している物と

考えらますが、ほおずきとトマトの育て方等を比較してみると、

トマトの方が「八頭八尾」に似ているのではないかと考えています。

 

何にしても、「赤加賀智」の該当条件は、

「赤い」、「酸醤」、「八頭八尾」の三つを有している事になります。

 

そもそも、「赤加賀智」は食物なのか?という疑問は出て来ますが、

現時点では「ほおずき」と「トマト」しか思いつきませんでした。

 

☆連峰

 

古事記:

 

「亦 其の身に蘿(つた)及び桧(ひのき)榲(すぎ)が生えて
 其の長い谿(たに)而(に)八峡谷に八尾度す」

 

日本書紀第八段本文:

 

「背の上而(に)於いて松柏(しょうはく)が生まれ
 八つの丘と八つの谷之間於(お)蔓(つる)が延びる」

 

この二つの記事から、周りに「渓谷」や「丘」などが連なり、

「尾」の様に見えた事が推測出来ます。

 

連峰と解釈するのなら、目に当る「赤加賀智」は

手前の山よりも後ろにある山の可能性が出て来ます。

 

そうすると、近くで見るとある程度の大きさや長さがあるが、

遠くから見れば「目」の様に見る事が出来る物と言えるかもしれません。

 

また、連峰であれば「山地」を考える事が出来、

場所は「九州山地」と推測しています。

 

☆爛(ただ)れるとは?

 

古事記:

 

「其の腹を見れ者(ば:短語)悉く血が常に爛(ただ)れる也」

 

古事記では「高志之八俣遠呂智」の正体に関する記述の

最後で上記の文で締めくくっています。

 

「腹」とあるので、連峰の中腹や一つの山の中腹が考えられます。

 

では、「悉く血が常に爛(ただ)れる」は何を指すのだろうか?

 

「爛れる」を調べると「ただれる、くさる、やわらかくなってくずれる」

と記載されていて「やわらかくなってくずれる」の意だとすると、

「土砂崩れ」が発生して山肌が見える状態になったのではないかと

推測しています。

 

☆まとめ

 

考察したように、オロチとは

「遠くの里などから見て、目の様な赤い地域、渓谷の様な大きな地域

などから構成される風景」と考えた方が納得出来ます。

 

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