Uender the Rose~秘密の花園~第66話 | 青い天使のアトリエ*嵐*山love♡妄想小説*

青い天使のアトリエ*嵐*山love♡妄想小説*

気象系グループさんの名前をお借りして
腐った妄想小説を書き綴っております
主に山コンビメインですが他のCPもあります



英徳学園・・・






この学園は日本でも名だたる名門校



学園設立以来、数多くの有名人や著名人を排出してきたこの学園は
いわゆるセレブが通う私立学園として名を馳せていた・・・

広大な敷地には普通の学校ではあまりにも高額すぎて
設置不可能な設備も数多く取り揃えられており
まるで一つの独立国家のようになっていた





とりわけ俺達学生が日々の学校生活を送っているその校舎は素晴らしい




左右対称の古いゴシック建築で構成されているその建物は
その中心の一番高い場所に大きな鐘を携えたドームが設置されており
その姿は学校の校舎というよりもむしろ
”教会”や外国に多く存在する”大聖堂”に近い造りとなっていた・・・




「・・・・・・・・・・」






でもその校舎が
今は全然違う物となり俺達の前に姿を現している




白く綺麗な壁は暗く澱んだ色になり
校舎に纏わりつく黒い影が辺りを禍々しいまでの空気を醸し出していて
綺麗に左右対称だったその建物はもはやその原型を留めていない

丸く作られていた屋根は天を突き刺さんとばかりにその先を鋭く尖らせていて
この場所へやって来るものを激しく拒んでいるように見えた











     - カラ~~ン ー







!?

「・・・・・・、まただ・・・」





そして時折鳴り響く鐘の音・・・

本来ならもうすぐ0時になろうとするこんな時間に
学校の鐘が鳴り響く事などありえない

なのに今夜は静まり返った校内に鐘の音が鳴り響いていて
その音が響く度に学園の周りの景色が歪んで行くように見えた







。。。。。。。。。。。。。。









俺は屋敷から続く光の筋を俯瞰で眺めながらその先を辿っていた時      
直ぐ近くにいた潤にさっき俺に手渡してくれた薬の事を聞いたんだ


すると潤は申し訳なさそうな顔をしながらも
その薬の事を教えてくれた・・・

そしてその時に智を抱いてしまった事も・・・


全部話して聞かせてくれたんだ・・・




*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆




     「ごめんね、翔さん・・・」



「いや・・本来ならそれがルールだ、謝らなくても良い
 それに例え今俺がこの屋敷の主であっても
 その件に関しては俺がどうこう言う立場ではないんだ・・・」



     「そう言ってもらえると助かる・・」




「・・・で?それでお前は何を確かめたかったんだ?
 その答えは出たのか?」



     「うん、出たよ。だから俺はあの時、1人離れた場所にいたんだ
      薬を完成させるために必要なあるモノを探しに行ってた・・・」




「もしかしてずっと研究してた・・ヤツか?」



     「そうだよ、今までずっと実験を繰り返して来たけど成功しなかった
      でもあの時、カーミラ本人に話を聞いて分かったんだ
      何が足りなかったのか・・・何を足せば成功するのか・・って・・・」




「お前・・カーミラに逢いに?
 そのために智を抱いたのか?」



     「うん、だって・・・
      もうこの世にはいない彼女に会うためにはこうするしかなかったんだ
      智の中に流れる血はカーミラから受け継いだものだって知ってたから・・
      それにあの時カーミラが教えてくれたんだ
      <この薬が完成すれば自分自身をも救う事にもなる>って・・・」




「そうか・・・カーミラがそんな事を・・・」




     「だから俺は急いで薬を作り上げたんだ」




「・・・・・・・・」




      「でも俺の作り上げた薬は2種類あるんだよ?
       あの時手渡した薬は智に効くように作ったモノじゃなく
       カーミラの意志の籠ったあのロザリオに効くように作った薬だったんだ」



!?
「え?どういう事?」



      「智と、カーミラは一心同体なんだよ?
       いや・・違うな、身体は1つだけど魂は2つある・・って言った方がいいかな?
       俺が作った薬を飲んでカーミラの力が復活すれば智の力も蘇る」



「あぁ・・成る程、だからあの時ロザリオが反応してたのか・・・」



      「うん、結局ルシファーはカーミラと智2人の血とその能力が必要なんだ
       ”新旧2人の奇跡の子(メシア)”の血がね・・・」



「”奇跡の子”・・・か・・・」




      「・・・・・・・・・」




「それで?もう1つの薬は・・なんだ?」



     「う~ん、それは今はまだ言えないな・・・
      でももし必要になったら直ぐ使えるように渡しておくよ」



「え?いやそれじゃ・・・」



     「大丈夫・・何も心配しなくてもいいよ
      恐らく智も、<きっとそうなる事>を望んでる筈だから・・・」
 



「????
 何を言ってるのか良く分からんが・・・
 まぁとりあえず預かっておくよ・・ありがとう」




     !?
     「・・・・・・・、ふふっ」



「な・・なんだ?」



     「翔さんから<ありがとう>なんて久しぶりに聞いたよ・・
      智のおかげかな?あの笑顔は俺達も魅了するからね・・・(笑)」

      
 
「・・・・・、そうかもな・・・(笑)」
      





そんな話をしながら俺達は夜の空を静かに舞う
雅紀と和也は嬉しそうに微笑みながら
俺達の事を見守っててくれていたんだ










やがて俺達は学園へと辿り着く



でもその姿を見て愕然としたんだ



だってあの美しかった学園が
見るも無残な姿に成り代わってしまっていたから・・・










。。。。。。。。。。。。









。。。。。。。。。。。。











コツ・・・コツ・・・コツ・・・・





「・・・・・・・・・」





俺達は姿形の変わってしまった校舎の中を歩いていた・・・





教室の脇を通り抜け


中庭を横切り


暗い闇へ向かって伸びる長い廊下を進む




「・・・・・・・・・・・」





そう、俺達は今ある場所を目指してまっすぐに進んでいるんだ



それは堂本がまだこの学校の先生だった時に使っていた部屋だ






「ここだな・・・」




やがて辿り着いた目的の部屋・・・

俺達は4人並んでその扉の前に立ちそっと目で合図を送る



そしてその扉をゆっくりと開けた・・・





ガチャ・・・










~♪








(えっ!!?)




俺達は扉を開けた瞬間に見えた景色を見て戸惑いを隠せない
だってそこは全く別の空間になっていて
何処からともなくパイプオルガンの音が流れてたから・・・



!!?
(な・・なんだ?ここ・・・?)




俺達は予想だにしていなかった光景に一瞬息をのむ




~♪





オレンジ色の小さな光を放っている高い天井と



真正面に見える大きなステンドグラス



そして


そのステンドグラスに影を映す大きな十字架



綺麗な花で彩られている礼拝堂



静かに流れるパイプオルガン・・・











「・・・・・・・、これ・・は・・・?」





そう・・その光景はまさに教会そのもので
その雰囲気から今まさに結婚式を執り行う場のように見えた・・・



俺は突然現れたその景色に戸惑いながらも
ゆっくりと周りを確認する



ー !!!? -



やがて目線の先に見えた祭壇

その祭壇の上には何かが横たわっているのが見えたんだ・・・



!?
(まさか・・!?)



俺はその姿を見つけた瞬間に背中を冷たいモノが一筋走った
嫌な予感と共にドクンドクンと鳴る胸を必死で抑え込みながら
その場所まで一気に走り寄ってみる


すると綺麗な装飾の施された台座の上には
何かを埋めるように白い花がたくさん飾られて
その上からは花嫁が身に着けるような
薄いヴェールが1枚掛けられていた・・




!!!
「智っ!!?」





まるで遠い昔に見た貴婦人のように静かに眠る智の姿があった


長い睫毛と赤い唇が綺麗な刺繍の施してあるヴェールを通してみると
本当の女性のように見えて胸が高鳴る・・・




「智・・・迎えに来たよ?
 眼を開けて?俺達と一緒に帰ろう・・・?」




俺はそう囁きながら智の上に掛かっていたヴェールに手をかけ
そっとそれを外そうとした・・・


するとその時ずっと流れていたパイプオルガンの音が突然止まり
その代りにアイツの声が頭の上の方から響いてくる






     - 思っていたよりも早かったね・・・-







!!!?
「ルシファー・・・」




     - だから・・その名前で呼ぶの止めてくれない?
        今度その名前で呼んだら本気で怒るからね? -




「・・・・・。
 何処にいる・・・姿を現せよ・・・」




     - ん?フフフッ・・・何言ってるの?
       俺はすぐ近くにいるじゃない・・・ -




「えっ!?」




     <ほら・・・ココダヨ・・・>






ー !!!? -






そう言って突然俺達の前に姿を現した堂本は
まるで花婿が着るような全身真っ白なタキシードを身に纏い
その手は1輪の薔薇の花をを持ちながら
俺達がいる祭壇の直ぐ近くに姿を現した・・・