Uender the Rose~秘密の花園~第65話 | 青い天使のアトリエ*嵐*山love♡妄想小説*

青い天使のアトリエ*嵐*山love♡妄想小説*

気象系グループさんの名前をお借りして
腐った妄想小説を書き綴っております
主に山コンビメインですが他のCPもあります

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智の身体を抱きかかえた堂本が消えた数秒後
暗く長い廊下の先からこの部屋へと走ってくる足音と共に
聞きなれた低い声が小さく木霊しながら響いてる





カン、カン、カン!!






速いスピードで近づいてくるその足音がどんどん大きくなってくる
やがて薄暗い暗闇からその姿を現してくれたのは
唯一この場所居なかった潤だった・・・




カン!カン!・・・カツッ!!
     





     「はぁっ、はぁっ・・!」







「潤!?」







     「翔さん!?皆大丈夫!?・・・うっ!!?」




「???」




扉の前に現れた潤はここまで走って来た所為か
額に薄らと汗をかき大きく肩で息をしてした

そして俺達の様子を確かめようと部屋の中へ足を踏み入れた瞬間
眉を強く寄せ口元を手で覆い隠しながら言葉を詰まらせた・・・




「どうしたんだ?」



     「何・・・?この匂い・・・?」



!?
「匂い・・・?
 いや・・俺には全然分からないんだけど・・」



     「嘘だ・・・こんなに血なまぐさい匂いがしてるのに・・・?
      それに獣の匂いもする・・この匂いは・・・冥府の匂いだ・・」




「潤、悪いが俺と一緒にこの呪縛を解いてくれないか?
 雅紀と和也の時間が止まったままなんだ・・・・」




     「うん!分かった!!」



潤はその力強い瞳を真っ直ぐ俺に向けると
大きく頷きながら手を真っ直ぐ前に翳してくれる


俺はベッドの上から潤と同じように自分の手を翳すと
部屋中に広がる薔薇の花達に向かって命令したんだ・・・



   「我の名は翔・・・汝等の主であり慈しみ育てたモノである・・
     汝等に命ずる・・・我と、我の血を分けた者の力を借り
     今この空間を支配している邪悪なモノから我等を解き放ち
     ここより去りし堕天使の元へと道を指し示せ・・・」













キラキラ・・・・キラキラ







「・・・・・・・・・」







キラキラキラ・・・・・キラキラ











俺が自分の能力である声に言霊を乗せそう呟くと
部屋の中にあった薔薇の花から小さな光が舞い上がり始めた

そしてその光は目の前で大きくなってゆくと
眩しい光と共に大きく弾け散った


「綺麗だな・・・」



俺はまるで雪のように静かに舞い降りてくる光の粒の行方を眼で追いかける
するとその粒が落ち、触れたモノから順番に時間が動き始めたんだ・・

花も、土も・・空気も・・・

そして当然雅紀と和也の時間も
再び時を刻み始めた・・・




。。。。。。。。。。。






堂本の呪縛から解放された俺達は
地下室から屋敷へと舞い戻りそのまま外へと慌てて駆けだす


俺達が外へ出るともう辺りは真っ暗になっていて
夜空にぽっかりと綺麗な月が浮かんでいるのが見えたんだ・・・





「はぁ・・はぁ・・・今夜は満月か・・・」




満月は俺達バンパイアにとって一番能力を発揮できる夜だ
しかも今夜の月はいつもより大きくてキラキラと光り輝いている



「・・・・・、こんなに大きな月は久しぶりだな・・・」



     「翔さん、今夜はスーパームーンだよ
      俺達にとっては願ってもない夜だ・・」

     「そうだよ、この月は俺達の体力を回復させてくれる・・」

     「そう、そして俺達の能力も・・・いつもよりも強くなる」



「・・・・・、あぁそうだな・・・」







いつの間にか俺の後ろにいた兄弟たちが
俺と肩を並べて月夜を眺めている

そしてそっと顔を見合わせ微笑み合うと
俺達はふわりと宙を舞い
花達が指示している方角を確かめたんだ・・・




キラキラキラ・・・キラキラ




「・・・・・・・」





キラキラキラキラ・・・・キラキラ







俺達4人は手を繋ぎ合いながら
夜空に輝く月をバックに宙に浮かんでる
そして暗い街並みに這う光の筋を追いかけた

するとその光はある場所を目指してまっすぐ進んでいる事に気が付いたんだ



「あ・・・」



でも俺達はその道筋には覚えがあったんだ

だってそのルートは俺達が車でよく通っている道だったから・・・





      「えっ!?これって・・・」




「あぁ・・・
 間違いない・・・」




      「翔ちゃん・・・」




「この先にいる・・・」




      「翔さん・・・」




「堂本いや・・・ルシファーは・・・」










「英徳学園だ」






     -!!!!? -







そう、この屋敷から繋がっていた小さな光の筋は
俺達の通っている学校へと続いている




「・・・・・・、行くぞ・・・」




俺は強引に連れていかれた智を連れ戻す為
星たちが瞬く夜空の上を飛び続ける

そしてやがて見えてくる学校の濃いシルエット
でも見慣れたはずのその学校の光景が
今まで見たことがないような姿に変貌していたんだ・・





。。。。。。。。。。






「・・・・・・・・・・」




     
     「これは何?」





「・・・・・・・・・」





      「ここは確か、学校・・だよね?」





「あぁ・・・」
      



      「・・・・・・・」







俺は自分の近くにいた兄弟たちにもう一度確かめると
禍々しい雰囲気を漂わせている学校の中へと入っていたんだ・・・


「智・・・待っててくれ
 俺が必ず助け出してあげるからね・・・」


そう、心の中で強く想いながら・・・