『いや~今回ご紹介したお店はどれも本当に美味しくて
この商店街の名前の通りとても幸せな気持ちになりました
本当にごちそうさまでした♪
皆さんもお近くまで来られた時はぜひ立ち寄ってみて下さいね
以上、ハピネス商店街から長野がお送りいたしました♡』
- カット! -
-以上で今回のロケは終了です
お疲れ様でした~!-
『お疲れ様でした~~っ』
ー わぁっ!! -
パチパチパチ・・・
『ありがとうございます~
皆さんもご協力ありがとうございました』
パチパチパチッ・・・
マイクを持った人がにこやかな笑顔と共にそう言葉を発すると
それまで明るい光を放っていた照明が消えていつもの風景が帰って来た
年間1000件を超えるお店を食べ歩いている事で有名なレポーターさんを
一目見ようと集まっていた商店街のお客さん達は
照明が消えた瞬間ロケが無事に終わったんだと知り
「わぁっ!」と声をあげながら思わず拍手をしていたんだ
「・・・・」
「無事に終わったようですね、大野さん」
「うん、そうみたいだね」
「これで落ち着いてお昼ご飯を食べることが出来ますね」
「うん・・、はぁ~疲れた」
「ふふふっ、コーヒーでも淹れましょうか?
あ、そうだ何ならもうこのまま
潤くんのお店にランチを食べに行って来てください」
「え?あ・・・」
「フフフ・・」
おいらの隣で手を口元に添えながら優しい瞳で笑っているニノは
緊張で昨日の夜もほとんど眠っていないおいらの背中をそっと押してくれた
「ニノ・・?」
「ほらほら、遠慮しないで早く行って来て下さい
今日は少しゆっくりしてきても大丈夫ですから」
「で・・でも・・」
「私の事は心配しなくても大丈夫ですよ?
店番している間に大野さんが作った
美味しいクリームパンを1~2個頂きますから・・(笑)」
「ん?あ、んふふっ♪
ニノこそ遠慮しなくていいよ?
1~2個じゃなくてもっと食べてもいいから・・」
「いえいえ、そんなに食べるとまたお腹が出ちゃうから・・(苦笑)」
「んふふっ♪ありがとうニノ・・
じゃ遠慮なく行ってくるね?」
「はい、行ってらっしゃい♪
あ、ちなみに今日のランチは
春キャベツと海老のクリームパスタだと言ってましたよ?」
「やった!潤くんお得意のクリームパスタだ!
美味しいんだよね~~♡ホント・・」
「そうですね私も潤くんの作るパスタは大好きです
さっきのロケの時も先輩が絶賛していましたし・・」
「うん、そうだったね
ロケだから残すのかなと思ってたけど
あの人綺麗に全部食べちゃったもんね~
しかも一気食いだったし・・(笑)」
「フフフ・・、先輩は昔からそうなんですよ
出されたものは残さずに黙って最後まで食べるんです
それが例え口に合わないモノでもです
でも・・さっきはガチ食いでしたね(笑)私もびっくりしました」
「うん・・んふふっ
あれだけ美味しそうに食べてくれると
見ている方も気持ちいいよね?
あ・・思い出したら急にお腹空いてきちゃった・・」
普段と変わらない口調で話をしてくれるニノのおかげで
ずっと続いていた緊張の糸が解けたおいらは
グウグウと鳴り出したお腹を擦りながら潤くんのお店に向かう
潤くんのお店に向かう途中、ふと振り返ると
おいらの店の前に立っていたニノが
小さく手を振りながらおいらを見送っていてくれた
おいらはそんなニノに
右手を小さく上げながら「行ってきます」と合図を送る
するとニノも何度も小さく頷きながら手を振り続けていてくれた・・
。。。。。。。。。。。
ウィーーン・・
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20160315/23/blueciel-5/aa/16/j/t02200165_0640048013593311313.jpg?caw=800)
「いらっしゃいませ♪おっ!?」
「少し早いけど・・いい?」
「いいよ?今ならいつもの席空いてるから・・」
「うん、ありがとう」
「涼介~!智にお冷出してあげて?」
<ハイッ!>
カウンターの中で手際よく料理を作り続けている潤くんは
いつもの席に座るようにと促してくれる
そして相変わらずきびきびとよく働く涼介くんもまた
いつもと変わらないスマイルで綺麗な接客をしてくれるんだ・・
コトン・・
<お待たせいたしました、智さん>
「ううん、ありがと・・」
<パスタランチでいいですか?>
「うん、よろしく」
<ハイ、潤さん・・パスタランチ1つお願いします>
「了解!」
おいらはこの2人のやり取りを聞いているだけで嬉しくなって
”あぁ・・やっと今まで通りの生活が戻って来た”ってホッとしたんだ
見慣れた店内に広がるコーヒーの香ばしい香りと
潤くんが振るうフライパンから漂うオリーブオイルとガーリックの香りが
カウンターの隅に座っているおいらの鼻を擽る
ジュワ~~ッ!ジャッジャッ!!
(凄いな~あんな大きなフライパンを片手で持ってる
しかもソースとか全然こぼれてないし・・さすがプロ・・)
「・・・・・・・・・」
なんて見事な手さばきでフライパンを操り
次々と料理を作り出す潤くんの姿をボーッと見てたら
綺麗に盛り付けたパスタをおいらの前に静かに置いてくれたんだ
コトン・・
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20160315/23/blueciel-5/dc/d1/j/t02200230_0300031413593298928.jpg?caw=800)
「お待たせ♪春キャベツと海老のクリームパスタだよ?」
「わぁっ♡おいしそうっ!」
「まだ熱いから気を付けて食べて?
トマトサラダもあるから・・」
「うんっ♡頂きます!!」
「はい、ゆっくりおあがり♪」
カウンター越しに優しく微笑んでいる潤くんは
おいらがパスタに手を付けるのを確認しながら
次の料理の準備に取り掛かっている
「んっ!うまっ!!
さっすが潤くん!!モグモグ・・」
「ふふふ・・・もっと言って?」
「潤くんのパスタ食べたら
もう他のお店のパスタ食べれなくなっちゃう~」
「あははっ、それは言い過ぎだよ」
「ううん、だって本当の事だもん
おいら潤くんの作る料理が好き♡」
「(〃∇〃)」
「美味し~~っ、パクパク・・」
<潤さん、次のオーダーお願いしま・・す・・?>
「・・・・・・・・・・」
<あれ?どうされました?潤さん、顔が・・・真っ赤っか・・>
!!?
「え?あ・・火が強すぎたのかな?あはは・・・」
<????>
「あ、次のオーダーは何?」
<え?あ・・パスタランチと、フレンチトーストです>
「了解っ!!うぉ~~っ!!燃えてきた~~っ!!」」
「・・・、んふっ♡」
そう大きな声で返事をした潤くんは
これまで以上に素早い動きで調理を始めると
次々と綺麗な料理を作り上げていった・・
。。。。。。。。。。。。。。
「ふぅ~~お腹いっぱい」
1時間後、潤くんのお店でゆっくりとランチを食べたおいらは
お腹を擦りながら自分の店へと戻って来た
ロケが終わった商店街はもうすっかり落ち着いていて
まるでさっきのロケが嘘だったんじゃないかと思うくらいだったんだ
でも・・・
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20160304/23/blueciel-5/3c/0c/j/t02200165_0320024013583997846.jpg?caw=800)
カランカラン・・・・
「ただいま~」
「お帰りなさい、大野さん」
「うん、ありがとう・・ニ・・ノ・・?」
そう言って顔をあげた次の瞬間
さっきのロケは現実だったんだと気付かされた
だって目の前にはついさっきまで
マイクを片手にカメラの前で微笑んでいた人が
優しい笑顔を携えたままで立っていたから・・・