も~っと♡ハピネスベーカリー#10 | 青い天使のアトリエ*嵐*山love♡妄想小説*

青い天使のアトリエ*嵐*山love♡妄想小説*

気象系グループさんの名前をお借りして
腐った妄想小説を書き綴っております
主に山コンビメインですが他のCPもあります





潤くんのお店で少し早目のお昼ご飯を食べたおいらは
大きくなったお腹をポンポンと擦りながら自分の店へと戻って来た

茶色の木の扉を開けると
カランカランと心地いい音色が耳を掠める

そしてその瞬間に香る優しいパンの香り・・




「ただいま・・・」




おいらはそっと瞼を閉じ
大好きなパンの匂いをゆっくりと吸い込みながら
店番をしてくれているニノの方へと顔をあげた



    「お帰りなさい、大野さん」




「うん、ありがとう・・ニ・・・ノ・・・?」





すると突然おいらの眼の前にさっきまで
遠巻きに見ていたその人がにこやかな笑顔で立っていたんだ

おいらはその人の姿を見た瞬間に身体が固まってしまって
何て言ったらいいのか分からなくなってしまう

するとその人はレジの所に立っていたニノに何やら合図を送ると
自分の店の扉の前で立ち尽くしているおいらの方へとやって来て
いきなりおいらの手を両手でぎゅっと握りしめてきたんだ




     - ギュッ! -



「えっ!?」



    『ニノから話は聞いたよ~
     貴方がこのお店のオーナーの大野さんなんでしょ?』



「は、はぁ・・・」



    『本当にありがとう、すっごく美味しかったです
     久しぶりに本物のパンを食べた気がしました』




「あ、ありがとうございます・・」





おいらは自分の手を両手で握りしめているこの人を
ただ黙って見ているしかなくて
思わずレジの所にいるニノに目だけで助けを求めた


するとレジの所に立っていたニノが
「ふふふ・・・」と楽しそうに笑いながら
おいら達の方へと近づいて来てくれると
おいらとその人の間に入って
お互いの事を改めてきちんと紹介してくれたんだ・・・



     「先輩!ダメですって・・
      大野さんは凄く恥ずかしがり屋さんで
      口数もあまり多い方じゃないんですから・・」



     『あ・・ごめんなさい』




「いえ、大丈夫です
 でももう仕事は終わったんじゃ・・?
 おいらてっきり帰ったモノだと思っていたから
 思わずビックリしちゃって・・・こちらこそごめんなさい」



おいらはそう言うとぺこりと頭を下げた
するとおいらの前に立っている人も同じようにぺこりと頭を下げたあと
また何やらニノに合図を送っていたんだ・・




    「ごめんなさい、大野さん
     ビックリさせちゃって・・・」




「ううん・・大丈夫だよ?」



    「えっと・・改めて紹介させて頂きますね
     この人は私の大学の先輩で
     現在テレビ局に勤めながら
     グルメレポーターとしても活躍中の長野さんです」



    『こんにちは、長野です・・』



    「そしてこの人がこのお店のオーナーで
     私の幼馴染の大野さんです」



『は、初めまして・・大野です』




おいら達はニノを挟んでもう一度頭を下げた

するとニノはどうして長野さんがここに居るかをおいらに説明してくれたんだ


その説明によるとロケが終わり一旦局へと帰った後
おいらが作ったパンをもう一度食べたくて
わざわざここまで舞い戻って来てくれたらしいんだ・・






     「そしたら私がこの店にいた・・と言う事です」




「なるほど・・納得」



     「どうですか?話の内容としては大筋これで会ってます?先輩?」



     『パーフェクトだよ!さすがニノ!相変わらず頭がいいねぇ~♪』


    
     「ふふっ・・ありがとうございます
      あ、そうだ大野さん
      大野さんが潤くんのお店でご飯を食べている間に
      陳列してあったクリームパンを2つほど頂きました・・ごちそうさまでした」



「え?あ・・ううん、おいらの方こそありがとう
 あの時のニノの言葉に甘えちゃって
 少し潤くんのお店でゆっくりしてきちゃった・・ごめんね?」



     「何をそんな他人行儀な事言ってるんです?
      貴方はそんな事気にしなくていいんです・・・」



「うん・・・んふふっ♡」




     『!!!?』




おいらとニノはいつもの様に微笑み合いながら
小さくハイタッチして見せる

するとそんなおいら達の様子を
「ウンウン」と何度も頷きながら見ていた長野さんが
おいらの方を向いて今回のロケの感想を教えてくれたんだ・・




     『いや~今回のロケは本当に良かった
      最初に食べた寿司はもちろん
      コーヒーショップで出されたパスタも絶品だった・・』

 

「それは良かったです・・」



    『でも今回一番印象に残ったのはこの店のパン達だったんだよ?
     俺今までたくさんのお店を回って色々なモノを食べてきたけど
     この店のパンは間違いなく美味い・・本当に・・・』



「あ・・ありがとうございます
 そう言っていただけるとおいらも嬉しいです」



    「ふふっ・・・。良かったね大野さん
     前にも話したと思うけど先輩の舌は英才教育されているから
     よほど美味しくないと同じ店には通わないんだよ?そうですよね先輩?」


    
    『お・・おう、さすが俺の後輩だけの事はある・・
     良く俺の事分かってくれてるよな・・(苦笑)』
     



「・・・・・・・・・・・」




     「その先輩が一旦帰ったのにもかかわらず
      またこうしてこの店に来てくれたって言うのは
      この店のパンが本当に美味しかったって事ですよね?」



     『その通り!何だろうな~
      この店のパンを食べた時、凄く幸せな気持ちになったんだよ
      コーヒーショップで食べたトーストのフワリと香る甘い香りや
      サクサクとした歯ごたえのクロワッサンも、パリパリと音が鳴るバゲットも
      柔らかな触感のクリームパンも、ピリッと辛いカレーパンも・・
      ハードタイプからソフトタイプまでどれもこれも本当に美味しくて
      どうしてももう一度食べくなって我慢できなくて戻ってきちゃったんだよね♡』



「・・・・・・(汗)」



     「そしたらなぜかこの店に私がいた・・と言う事です
      まぁ、こうしてここへ先輩が帰って来てくれたおかげで
      懐かしい昔話に花が咲いてしまいましたが・・・(笑)」



     『あははっ!そうそう!!』





「そうだったんだ・・・んふふ♪
 あ~ビックリした、まじでびっくりしちゃったよ
 おいら一瞬まだロケが残ってたのかと思っちゃった・・(苦笑)」



    『ごめんごめん・・』



    「ホントにごめんなさい・・」




そう言いながら長野さんは頭をポリポリと掻いている


その横ではニノが小さく手を合わせながら
「ごめんね」と声を出さずに何度もおいらに謝っていたけど
2人ともその時の顔は本当に優しく微笑んでいて
おいらはそんな2人を見ているだけで
なんだか自分も幸せな気持ちになれたんだ