Uender the Rose~秘密の花園~第41話 | 青い天使のアトリエ*嵐*山love♡妄想小説*

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気象系グループさんの名前をお借りして
腐った妄想小説を書き綴っております
主に山コンビメインですが他のCPもあります





ポタポタ・・・



「うっ・・、っく・・ひっく・・・」




    「翔様の為に・・泣いて下さるのですか?」



「分かんない・・
 でも涙が勝手に出て来て止められないんだ・・」



    「・・・・・・・」
 


「胸が苦しくて・・悲しくて・・・
 今すぐ翔さんの顔を見たくてたまらない・・」



    「智様・・」



「翔さんがどれだけ苦しんできたのか・・
 どれだけの悲しみを背負って今まで生きてきたのか
 普通の人間に生まれたおいらには全然想像もつかない」



    「・・・・・」



「でも・・愛するものを・・・
 何よりも大切なものを突然奪われた気持ちなら判るよ
 だっておいらもそうだったから・・・」



    「そうでしたね・・
     智様にも辛い事を思い出させてしまいました
     申し訳ございません」



「ううん・・おいらは大丈夫・・
 それにセバスチャンさんが謝る事じゃないよ?
 こうなる事はおいらの運命だったんだ・・・
 何が真実で何が嘘なのか分からないけど
 今おいらはこの屋敷の花嫁候補としてここに居る」



     「・・・・・・・」



「それだけは間違いじゃない事は分かってるから・・
 だからおいらは自分に与えられた使命を果たさないといけない
 そうなんでしょ?セバスチャンさん・・・」











窓から差し込む月明かりを
その細い体半分にだけ浴びているセバスチャンさんのその眼は
優しい色を纏わせながらも薄らと金色に輝いていて
おいら達日本人とは基本的に違う白い肌がより白く見えていた


シルバーグレーの髪、薄く金色に輝く瞳
血が通っていないような白い肌と赤い口元



顔の半分はキラキラと輝いているのに
もう半分は真っ暗な暗闇の中に身を隠しているセバスチャンさんは
気が遠くなるほどの時間を過ごして来た存在なんだと
おいらはその時改めて確信することが出来たんだ・・






「そうなんでしょ?
 だったらその相手位は自分自身で選びたい・・」



    !?
    「智様・・・」



「本当なら姉ちゃんがこの役割を果たす筈だった・・
 でもその姉ちゃんはもういない・・」



    「・・・・・。いえ、それは違います」



「ど・・どういう事?何も違わないよ?
 だって姉ちゃんは事故に遭って死んだ・・」



    「確かに・・でもお姉さんは生きているのです・・
     智様の中に・・貴方様と一緒にその身体の中で生きている
     だから貴方様は”奇跡の子”なのです」



「奇跡の子?」



    「貴方様の身体の中には”乙女の血”が混ざっている
     そして貴方様自身は”男”だ・・
     誰にも穢されることはない・・永遠に・・」




「へっ!!?」



    「・・・・・・・・・・・」





その時おいらはよほど間抜けな顔をしていたんだろう

ベッドの上で戸惑っているおいらの姿を見ていたセバスチャンさんは
「ふふっ・・」と意味ありげに小さく微笑むと
右手を胸に添え綺麗なお辞儀をしてから部屋を出て行こうとしたんだ
おいらはそんなセバスチャンさんの姿を見て1人焦った
だって結局肝心な事は何一つ教えてもらっていなかったから・・




「ちょ・・ちょっと待って?
 もう少し話を聞かせてよ?おいらこのままじゃ・・」



持って入って来たサイドワゴンに手を添えながら
この部屋を出て行こうとするセバスチャンさんを何とか引き留めようと声をかけた

でもセバスチャンさんはその足を止めることはせずに真っ直ぐに扉へと向かう
そしてサイドワゴンを廊下へ押しやり、扉の前で最後もう一度振り向いたその時
これからどうしたらいいのか分からなくて
戸惑ったままおいらの方をゆっくりと振り向いてこう言い残したんだ・・



     「あとの事は翔様ご自身へお尋ねくださいませ・・
      私からお話しすることはこれ以上ございませんので・・・」



「え?あの・・・?」




     「あぁ、でも一つだけお知らせしておきます・・」




「何?」




    「翔様があの温室に入って来た人間を許した事は今まで一度もございません
     ずっとお仕えしておりましたが貴方様が初めてでございます・・・」




「!!?」




    「では・・失礼いたします・・、智様」





「え?あ・・待って・・?」







パタン・・・







「・・・・・・・・・・」





あぁ・・行っちゃった・・・


え?でも最後の言葉は一体どう言う事?

おいらが直接翔様に話を聞けって事なのかな?





「う~~ん・・・」




おいらはこれからどうしたらいいのか考えながら
起こしていた身体を再びベッドの上へと沈めた

弾力のあるクッションと触り心地の良いシーツが
一瞬でおいらの身体を包み込んでくれる



ポフッ!




「ふぅ・・・」



おいらはそんな気持ちの良いベッドに身を沈めながら
グルグルと頭の中を駆け巡っている事柄を一度整理しようと
そっと目を閉じながら深呼吸を何度も繰り返したんだ

でも・・それが眠気を一気に誘ってしまったようで
おいらはそのまま夢の世界へと誘われてしまった・・













コンコン・・・





その時・・・





部屋の扉の方から小さな音が聞こえている事に気が付いた





コンコン・・・




でも・・半分眠ってしまっているおいらの身体は
ベッドに張り付いてしまっていて動くことは愚か
小さな返事1つすら出来ないほどだったんだ

両瞼は完全に固く閉じてしまっていて
力を入れようとしても眼を開ける事すらできない

その時のおいらは
ただゆっくりと夢の中へ落ちてゆく
自分を感じる事しかできなかった・・





「・・・・・・・」







カチャ・・・




キィ・・




     「・・・・・・・・・・」




コツ・・・



コツ・・・



コツ・・・






「・・・・・」





    「・・・・・・・」





ギシッ・・・






(ん・・・?)



  

ふわり・・・と優しい何かがおいらの頬に触れている

おいらはもう殆ど意識を夢の中へと投じた状態で
頬に触れているその温もりだけを感じ取っていた・・・





(あぁ・・優しい手・・・
 ずっと会いたかった・・温もり・・・)





(気持ちいい・・・)







「・・・・・すぅ・・・」







     「ずっと・・待ってた・・」






「・・・・・・むにゃ・・」






     「お前が来るのを・・ずっと待ってた・・」







     「本当にお前を・・・」






     「愛していいのか・・?」




     







     「智・・・・」