2007年/フランス

「鋳造所」アキ・カウリスマキ


「ロミオはどこ?」アッバス・キアロスタミ


「職業」ラース・フォン・トリアー


「平和の中の戦争」ヴィム・ヴェンダース


「映画をみる」チャン・イーモウ



3分間が、これほど長い時間だとは思わなかった。

何をするにも、おぼつかないような短い時間だと思いきや、
観客が一目見て、
誰の映画かを当てることが出来るような、
それぞれの個性を溢れさせながらも、
同じテーマながら全く違う話を作り出す。


表現するには3分もあれば十分なんだ。
と思いながらも、
数人の監督の作品はもっと長く観たいと思う。


中でも好きだったのは、上の作品。
初めて観た監督も多く、
これから探してみてみよう。




監督:アンドリュー・ピディングトン
出演:ジョナス・ボール、J・フランシス・カーリ、ニコール・デロリー、ソフィア・ダブロウスキー
2006年/イギリス


全ての、自分以外の事。
恐らく自分の事でさえも、
その瞬間の感情、精神状態、性格、考え方で、同じはずのものが違うものに見える。

そういった、何でもない当然の事をこの映画では改めて目の当たりにする。


人は善くも悪くも自分の思い込みで生きている。
そして、自分自信を信用していない人でさえ、その自分の「自信のない考え方」に翻弄されている。
翻弄されているという事は自分の考え方を受け入れているという事。

人を殺すのは極端な結果と言え、
人はどこかで、自分の中で突然導きだした解答に恐ろしく忠実に従う。
世間的な善悪や道徳心を失う事も多かれ少なかれある。











監督・脚本:ホン・サンス 
出演:ユ・ジテ、キム・テウ、ソン・ヒョナ
2004年/韓国・フランス


タイトルだけを見て、フランス映画だと思い録画。
韓国映画だった事に驚く。
映画が、静かなトーンで始まったので観る事に。


最初、この監督は女の人だと思った。
あまりにも、女が巧く描けているから。
矛盾が当然として一緒の場所にいる。
その矛盾を混乱なしに描く事が出来ている。
これは、女の人か、女を肯定している男の人しか描けない。
そういう意味で、フランス映画っぽい。

そして、男の情けなさというか、
呆れるほどのバカさも、巧く描く。
感情と体や本能が、完全に二分化している。
世界や日常の混乱へと導く矛盾が描かれている。
男の監督かもと、思い直す。


男と女のお互いの理解できない部分や、
それでもどうしても惹かれることの繰り返し。
曖昧過ぎる人間の感情。
それを簡単には否定できないこと。
肯定はしないこと。


なんだか、悪く言えば人間の欲だとか理性を失った本能を、
良く言えば、人間そのものを、
巧く描いているなと思った。





監督:ジャック・リヴェット
出演:ジュリエット・ベルト、マリー・フランス・ピジェ、バルベ・シュローデール
1974年/フランス


全く、物語を知らないまま観る。
なんていう、化け物のような作品。

一体、何の話をしてるのか、頭の方は全く理解できない。
それでも、そういう映画なんだろうとずっと見続けていくと、
だんだん話が見えていくようで、
いつまでも、狐に包まれたままのようで。


ほとんど言葉のない冒頭。
言葉がなくてもこれだけ惹き付けられるのかと、
すでにとりこに。
そして、本当の最後の最後に、
「そこに戻るの!?」
って、声を上げたくなるような展開。


セリーヌとジュリーの関係は、今イチ分からない。
二人の行動や言葉が、
偶然に会った警戒心よりも、昔から知っているような親しさを感じる。
二人の素性も今イチ納得できない。
二人は、本当に二人?って思うような、
まったく見た目も性格も違うのに、
妙な、何か繋がりを感じる。


二人がある館に入り込むことから、
おかしな夢のような、まったく現実離れな出来事が起こる。
それは、次第にハッキリしてくるのだけど、
私の方はますます混乱していくような本当に不思議な感じ。

何も怖くないのに、身震いに近いどうも理解できないものを見た時のような、
言葉にならない感情を生む。

こんなことある訳ない。と思いながらも、
この映画の、白昼夢の中にいる感じがすでに私を麻痺させていて、
今さら現実だろうとファンタジーだろうと構わなくなる。


私が生まれた年に、もうすでに、
こんな末恐ろしい映画があったとは。
これほど言葉にするのが難しい映画はない。

未だにこの映画を思いだす時、
なんとも言えない感覚が戻ってきて、
全くあの3時間から抜け出せていないことに唖然とする。





監督/脚本:松尾スズキ
出演:内田有紀、宮藤官九郎、蒼井優、りょう、妻夫木聡、大竹しのぶ
2007年/日本


頭の方。
彼女に会いに病院に来た宮藤勘九郎演じる男のジョークが不愉快で、
松尾スズキの笑いのセンスはこんな感じだったか考える。
とにかく、ユーモアが私には合わないなと思っていたが、
最後まで観ると、男のあの時の態度は、
明確な意味を持ちあそこに在ったんだと感心する。

そのような感じで、
主人公が本当に病院に来た理由と、
本当の自分の中にあるものに気づきだした時、
彼女が自分を直視していなかったように、
私たちも彼女を信用し本当に起こっている”事”を、
全く直視していなかったことに愕然とする。


些細な一言が、正常を訴える彼女達の狂った部分をあからさまにし、
人に対しては「おかしい」と疑問を感じることが出来るのに、
自分に対してはひたむきに疑うことを避ける。


誰が一番まともなんて誰にも分からないことだけど、
少なくとも「自分は狂っていない」と言い切る人間は信用できない。
そもそも、狂った世界で気が狂わずにいられる事自体、気が狂ってるとしか言えない。

面白い脚本を書く監督。







監督:山下敦弘
脚本:向井康介、宮下和雅子、山下敦弘
出演者:ペ・ドゥナ、前田亜季、香椎由宇、関根史織、三村恭代、湯川潮音
音楽 ジェームス・イハ
2005年/日本


青春映画は苦手だ。こそばゆいからだ。
思いだしたくない事が溢れてきて、なんとも言えない気持ちにさせる。
その反面で、そんなことも含めて気持ちよかった感じも思いだす。

そういう意味でこの映画を観ることを避けていたのだけど、
観てみると不自然な熱っぽさもなくていい。


情熱は、外に向かうものと内に向かうものがあって、
内に向かうものは、一見冷めた感じに見えるけど、
いつかその内にたまった情熱は行き場をなくして、
外に出ざるをえない。
そういった経過を経て出てきた情熱は、
とても静かだけど力がある。


爆発するような熱っぽさだけが、青春に必要なものと考えられがちだけど、
こういう感じで過ごした人も山のようにいて、
恐らくそういった側だった山下監督は、
当然としてこういう青春の空気をもつ青春映画を、
彼の体内リズムと体内温度を結びつけて作っていく。

それが、熱っぽさに憧れながらも恥ずかしさを覚えた世代や、
熱にうなされた人達をも引き込んでいい青春映画と評されたのだと思う。


作中の音楽がいいなぁ。
なんて思っていたら、ジェームス・イハ。
あんまりロックを聴かない私の永遠のロックスター。
映画の内容と重なって、私には感慨深かった。



監督/脚本:三木聡
出演:オダギリジョー、三浦友和、小泉今日子、吉高由里子
撮影:谷川創平
編集:高橋信之
2007年/日本


妻殺しを桜田門まで行って自首しようとする男・福原がすること話すことには嘘がない。
人を不快にさせることも他の人がしないことも、するし言う。
初めはそういうことが、
不可思議だったり非常識だと思ったりするが、
ある瞬間、自分の方が全てにおいて枠を作ろうとしていることに気づく。

福原への不快感は枠を越えたことであって、
福原のする言動自体は、
むしろ信頼と可笑しさを含んだ愛しさを感じる。



飄々として、安定した気分をもつフミヤは今の時代の鏡だと言える。
人を不快にすることも言わないししない。
過去に執着しない。

でもある瞬間、過去に執着していないのではなくて、
過去に触れることを避けているだけだと分かり、
向き合うことを徹底的に避けた形が板についてきているだけだと感じる。

福原によって、避けていたことをいじられているうちに、
段々彼の言動が少しずつ変化してきて、
彼も自分が正直者なのだとやっと気づく。


そういう流れの中でこの話は続いていき、
お金のために付き合っていた散歩は100万円以上の意味を持ち出し、
この散歩が終わらないことまで望み始める。


冒頭で、借金取りだけでなく「もっと大事なものをやめた」と福原は言う。
その大事なものが何なのか。
言葉には出来ないのだけど最後まで観ていくと分かる気がする。
分かるのではなく、分かる気がする。


三木監督のユーモアが随所に置かれているが、
そのユーモアもさることながら、置かれている場所が素晴らしい。
福原は基本的に真面目だけど、
そんな中でも飛び抜けていい一言を言っている最中に、必ず笑わずにいられないことが起こる。
間の悪さとも言えるし、重い話にさせないためとも言える。
実際、真面目な話をしている時には必ずと言っていいほど邪魔が入る。

監督の巧みな物語の展開は、
シュールなようでいて、実はリアリズムに徹底しているのではないかと思う。

現実世界は、映画のように全てがキレイには進まない。
言葉も遮られるし、やりきる事や解決できる事も多くはない。
色んなことを途中のままで終わらせたことは、
ある意味ですごく現実的だ。



監督:ジョン・カーペンター
脚本:ラリー・サルキス、ジョン・カーペンター
出演:アイス・キューブ、ナターシャ・ヘンストリッジ、クレア・デュヴァル、パム・グリア
音楽:アンスラックス、ジョン・カーペンター
撮影:ゲイリー・B・キッブ
2001年/アメリカ


普段は選ばない映画。
阿部和重の本を読んでいて、あまりにも絶賛しているために観てみることに。

当然、カーペンター監督の他の作品は観ていないし、
SF映画を観ないので他と比べようもないのだけど、
単純に面白い。
エンターテーメント性が面白いのではなくて、
とてもしっかりと丁寧に作られていて、
いい意味で隙がない。


セットはとてもチープで、
2000年以降に作られたハリウッド映画とは思えないものだけど、
いつも観ている映画がいい例で、
そういうセットは案外どうでもよい。
むしろ、ゴダールのアルファヴィルを初めて観た時に感じた、
アイデアと撮り方と脚本が良ければ大金をかけた映画を簡単に越えるんだという感動が、
ちょっと戻ってきたりして楽しかった。


最後のシーンは要らないかな。ベタかな。
なんて思いながらも、
当然だけど映画監督にまでなるほど映画好きな人が作ったもの。
ハリウッドだとかミニシアターとか、
ちゃんと作られているものは良くて楽しめると、
本当に当たり前のことを思う。







我ら天下をめざす
監督:山下敦弘、向井康介
2008年/日本



人に歴史あり~十八歳の暗黒
監督:井土紀州
2008年/日本


こんにちわーChim↑Pom!!
監督:チン↑ポム
2008年/日本


日本イスラーム化計画
監督:しまだゆきやす
2008年/日本