Tell me why 4 | 蒼のエルフの庭

蒼のエルフの庭

蒼の方への愛を叫んでおります
主に腐小説中心の妄想部屋でございます
ご理解いただける方のみお入りください
(男性の方のご入室はお断りいたします)

ソラスのメンバーの中で

一番物腰が柔らかくて優しい無門さん

俺の中では一番気弱に見えてた

だから、用を思い出したと言って

帰ろうと思ったら

 

「言い訳を考えてる時って

 眉間に皺が寄るんだよ

 野良君、くっきり皺が出てる(笑)」

 

俺の顔をじっと見つめ

聖女の様な優しい笑みを浮かべる

 

笑顔がこんなに怖いとは思わなかった ・・・

 

ここは無駄な抵抗などせずに

ついて行こうと考え直した

 

「言い訳なんか考えてないです ・・・

 内定を辞退させてもらおうと思って」

 

「そうなんだ

 翔君、強引だから ・・・

 君は我が社の期待のルーキーなんだって(笑)」

 

期待のルーキーなんだ ・・・

 

「どうしてそう思うんですか?

 付き合いが短いのに ・・・」

 

「諦めずに努力する姿を見てきたからかな」

 

「ただの負けず嫌いです ・・・」

 

「それこそが才能じゃない(笑)

 難しい話は置いておいて

 店に着いたよ」

 

商店街の中の小さな洋食屋さん

準備中の札が掛かってる

 

「どうぞ!」

 

ドアを開けて中に入るよう促した

 

「相葉君 ケーキと珈琲お願い」

 

いきなりオーダーする無門さん

奥に座ってた相葉さんがにやりと笑って立ち上がり

 

「大ちゃん、こんな時間に珍しいね」

そう言って近づいてきた

 

「お客様も一緒だよ

 飛び切り美味しい珈琲とケーキを

 後で翔君も来るから3人分ね」

 

「お客様か ・・・ って

 野良君じゃん、元気だった?」

 

人懐っこい顔で笑みを浮かべた

 

「御無沙汰しています ・・・元気です」

 

「そう?ちょっと痩せたよね

 ちゃんと食べてる?」

 

心配そうに顔を覗き込んで

 

「ケーキよりサンドウィッチとかの方がよくない?」

 

返事を聞かずに

無門さんに提案する

 

「翔君もサンドウィッチかも

 僕はケーキが良い」

 

「了解!直ぐに用意するね

 野良君ゆっくりしてって」

 

それだけ言って厨房の中に入って行った

 

「無門さんって大ちゃんって呼ばれてるんですね」

 

「昔からの仲間たちは「大ちゃん」って呼ぶ

 さとち君たちと出会ってから

 無門って呼ばれるようになったんだ

 名前が同じ人ばかりだから

 その方が分かりやすいでしょ」

 

「確かにそうですね ・・・」

 

珈琲が運ばれてきてすぐ

櫻井さんが駆け込んできた

 

「智君!」

 

走ってきたのか息が荒い

 

「落ち着いて

 水を持ってくるから座ってて」

 

櫻井さんの背中を優しく叩いて

椅子に座るよう促し

水を取りに行った

 

「受付に話を通していなかった俺の落ち度

 気分を害したら申し訳ない」

 

「いいえ、先に連絡しなかった

 俺の落ち度ですから ・・・

 内定通知を頂きましたが

 ご辞退させてください」

 

一気に言った方が良い

引き止められたら心が揺れる

 

「なんで?

 去年の夏、内定出したよね」

 

「それは ・・・ 社交辞令だと思って ・・・」

 

「他の企業の内定は取れたの?」

 

「3次に進んだ企業は有ります

 まだ内定は出ていないけど ・・・」

 

「職種は?」

 

「それは ・・・ 営業職です ・・・」

 

「営業職も色々あるでしょ

 理由を聞いていい?

 家がダメな理由 ・・・」

 

「それは ・・・ 」

 

隠しても仕方ないんだけど

それを言葉にするのも辛い 

 

「翔君、強引に話を進めたらダメ

 野良君、質問していい?」

 

ゆっくり腰を下ろした無門さん

表情も柔らかい

 

「はい」

 

「マネージメントの仕事に興味はない?」

 

あの人所マネージメントならしたいと思うけれど

もう、俺の近くには居ないから ・・・

 

「興味はないです ・・・

 今は ・・・ 芸能の世界から距離を置きたい ・・・」

 

「その気持ちわかるよ

 新しく始めたいから

 全く違う場所に身を置きたい

 ただ ・・・ 後悔しない?」

 

「後悔ですか?

 何に対して ・・・」

 

本心を見透かされたみたいで

つい怖い顔をしてしまった

 

「勘違いするなよ

 俺たちは敵じゃない

 君が何を望んでるのか

 話してくれなければ協力できないだろ

 思い通りにいかないからって

 智君に当たるな!」

 

怖い顔ですごまれてしまった

 

「翔君!ちょっと黙ってて」

 

「はい ・・・」

 

無門さんに叱られた櫻井さんは

不服そうな顔のまま下を向いた

 

「難しい話してるね

 甘いものを食べて

 ひと息ついてよ

 サンドウィッチもあるよ」

 

相葉さんがケーキとサンドウィッチを運んできて

 

「大ちゃんの事となると

 頭に血が上るんだから

 ほら、隣の席に移って」

 

腕を掴まれて

有無も言わさない勢いで

後ろの席に移動させた

 

「ごめんね

 僕の事になると見境ないんだ」

 

苦笑いを浮かべて

ケーキの皿を手に取った

 

「そうなんですか ・・・」

 

目が怖かったから

そうなんだろうな

 

「ケーキ美味しいよ

 サンドウィッチも ・・・

 芸能の仕事はしなくていいから

 friendshipに入らない?」

 

一口食べた後、にっこり笑う

俺の話聞いてたのかな?

芸能の世界から離れたいって伝えたのに

 

「芸能事務所ですよね?」

 

訝しげな顔をして見つめると

ふわっとした笑みを浮かべて

 

「friendshipはもともとはこのお店なんだ

 そこから飲食店部門

 芸能部門に分かれたんだ

 最初は事務所も小さくてね(笑)

 話がそれちゃった ・・・

 祖父ちゃんの財団が有能な人材を探してて

 君ならピッタリだと思って 

 鮫島グループなんだけど」

 

鮫島グループって

ホテル業界では一流企業

 

friendshipと関係があるの?

 

 

「ホテルマンですか 

 興味は ・・・」

 

「ホテルじゃないよ財団

 夢を持った若者の手助けをする会社

 野良君には祖父ちゃんの秘書になって

 欲しいかなって思って

 頑固爺だけど仕事は出来るよ」

 

鮫ちゃんって鮫島Gの人だったの?

無門さんって ・・・ 鮫島Gの跡取り?

 

「秘書ですか ・・・」

 

「主に海外部門担当」

 

「秘書なのにですか?」

 

禅問答してるみたいで

全く話が見えてこない ・・・

 

「秘書と言っても

 祖父ちゃんの代わりに動ける人を探してるんだ

 海外に出向いてもらいたいんだ

 君ならピッタリかなって思って」

 

「お祖父さんの直属の部下ってことですか?」

 

「翔君、財団ってどれくらいの人が働いてる?」

 

「どれくらいだろう ・・・

 少数精鋭って言いながら

 あの部署、80人くらいは

 居るんじゃないかな ・・・」

 

「野良君が希望する会社と違い

 規模は小さいかな?

 でも、考えてみて 

 一応、祖父ちゃんの面接はあるけどね」

 

「 ・・・ ありがたいお話なんですけど ・・・」

 

自分の道は自分で ・・・

それに ・・・

 

「就職するしないは別にして

 鮫ちゃんに会ってみなよ

 面白い爺さんだよ」

 

相葉さんがにやりと笑った ・・・

 

 

「それも含めて考えさせてください

 後日また連絡をします」

 

「ひとつだけ!

 僕たちは鍵を持ってる

 それを使うか使わないかは君次第

 それすら考えたくないなら

 もう何も言わない」

 

無門さんの言葉は

かなり重みがあって 

何が一番最善なのか

正直分からなくなった

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>