月の兎が見える夜 | 蒼のエルフの庭

蒼のエルフの庭

蒼の方への愛を叫んでおります
主に腐小説中心の妄想部屋でございます
ご理解いただける方のみお入りください
(男性の方のご入室はお断りいたします)

窓際のソファーに座って

空に浮かぶ月を眺める

 

「寒くないんですか?

 窓まで開けて」

 

特別居住区「RAY」には

まだ四季が残っている為

冬の季節はかなり寒い

 

「この時間だと下弦の月だな

 故に、月の兎は見えない(笑)」

 

「それが窓を開ける理由にはなりません

 折角温かくなってる部屋を

 寒くする必要はないでしょ」

 

誰よりも寒がりだったような気がするけど

呆れた顔で文句を言うと

思いっきり文句を言われる

 

「文句があるなら

 さっさと部屋に帰れ」

 

「帰りたいですが帰れないの

 連絡を待ってるんです」

 

音楽会の後から

母星復興計画が立ち上がり

副社長がメンバーに入ることになった

社長はと言うと ・・・

母星側のメンバーではなく

エルフ側のメンバー

どうしても母星側は嫌だと

ごねたのが理由

 

社長には社長の言い分がある

今回の計画も

『クー』に住む特権階級が主導権を握る

そこがどうも納得がいかない

考えたらご尤も

俺もエルフ側でと申し出たが

蒼さんに却下された

俺は母星との交渉役って事かな?

 

勿論、直ぐに母星が元に戻る訳はない

ここまで環境が破壊されている以上

気が遠くなるほどの時間が必要だろう

今できる事は段階を踏んで少しずつ

特別居住区を広げていき

未来につなげる事

 

「ああ ・・・ 彼奴からね ・・・

 忘れてんじゃねえの ・・・」

 

忌々しそうな顔をしてそっぽを向き

手にしたグラスの酒を飲み干す

 

「そうですかねぇ ・・・

 じゃあ、帰ろうかな ・・・」

 

「帰って寝ろ(笑)」

 

「そうします

 その前に窓を閉めますね」

 

冷たい風が入り込んでくる窓の戸を閉めて

してやったりって顔をすると

苦笑いを浮かべて

グラスをテーブルに置いて

ゴロンと寝ころがった

 

「お疲れ!

 気を付けてな」

 

気を付けてって

階段降りるのを?

帰る場所は此処の庭の離れだけど

 

そもそも、何で俺はそこに住んでるんだろう?

このアパートの中でいいのに

 

 

「社長 ・・・ こっちに引っ越して来ても良い?」

 

「こっちってどっち?」

 

むくりと起き上がって

怪訝な顔をする

 

「この2階ですよ

 部屋余ってるでしょ?」

 

「余ってるけど ・・・

 お前の荷物入るの」

 

「別に全部の荷物を運ばなくても

 寝る場所さえあれば

 問題ないでしょ

 いちいち通うのも面倒ですし」

 

「別にいいけど ・・・」

 

「じゃあ、引っ越してきますね」

 

社長の顏に自分の顔を近づけて

良いですねと念を押す

 

「どうぞ」

 

いやにあっさりと認めてくれるから

少々肩透かしを食らった気分

 

「後で駄目って言っても

 知りませんからね」

 

「言わねえし ・・・」

 

この人絶対に隣の部屋だって思ってる

俺は社長の部屋に

引っ越すって言ってるんだけど

そこ突っ込まないから

聞かない方が悪い

 

「じゃあ、毛布持ってきますね」

 

社長の部屋

(当時の間取り2DKと言うらしい)には

備え付けのベッドが二つある

その一つを使うのに問題はないはず

 

「毛布だけだと寒いぞ」

 

「布団も持ってきます」

 

「手伝わねえぞ」

 

ひらひらと手を振って

ソファーの傍に有る毛布にくるまった

 

「部屋で寝てください

 風邪引きますから」

 

それだけ言って

そそくさと部屋を出た

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>

 

 

う~ん このお話

恋文企画になるかしら?

ちょっと不安だぁ💦

 

お江戸の二人の

ショートショートの恋文編を

描けたらとは思ってます

 

 

 

 

 

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