(続)光が射す場所 101 | 蒼のエルフの庭

蒼のエルフの庭

蒼の方への愛を叫んでおります
主に腐小説中心の妄想部屋でございます
ご理解いただける方のみお入りください
(男性の方のご入室はお断りいたします)

坐禅のような事はした事があるが

どうするのかはよく分からない

座敷の中で戸惑っていると

翁がニヤリと笑って

 

「修業をする訳じゃない

 そう硬くならずともよいぞ

 止観(坐禅)は初めてか?」

 

「はい ・・・ お寺での坐禅は初めてす」

 

「他で座禅を組む所が有るのか?」

 

そんな所があるのを知らぬ翁

怪訝な顔をする

確かにこの時代お寺以外で坐禅はしない

どう説明したら良いのか迷いながら

曖昧な笑みを浮かべる

 

「坐禅体験みたいなものです

 普通の場所で ・・・」

 

「目を瞑ったか?」

 

「はい 目を閉じて ・・・

 心を落ち着かせて ・・・」

 

「それは坐禅ではなく瞑想じゃな」

 

「瞑想 ・・・ そうかも ・・・」

 

「止観(坐禅)は目を閉じてはならぬ

 半眼にして、一点を見つめ

 まずは無になることから始める

 そこから見えてくることがある」

 

「作法が分かりませんので

 ご教授頂けますか?」

 

「壁を背にするも

 壁を向くもよし」

 

「本来はどちらですか?」

 

「面壁が基本ではあるが

 どちらでも良い(笑)

 足の組み方は

 半跏趺坐でよいぞ」

 

翁が先に座って

手本を見せた

櫻井はそれに習って座る

 

「坐禅に時間は線香一本分

 足が痛くなるかもしれぬが

 そこは我慢じゃな」

 

「あの ・・・ 肩を叩く物は?」

 

棒の名前が分からず

手で模ってみせるが

翁は怪訝な顔

 

「それはなんじゃ?」

 

「姿勢が悪いとか

 集中できていない時とかに

 肩を叩く物です」

 

「誰が叩くんじゃ?」

 

「この場合、翁ですが」

 

「主の時代では有るのか?

 儂はそれを知らぬが ・・・」

 

昔からの作法だと思っていた櫻井

翁の話で少しだけホッとした

 

「翁、よろしくお願いします」

 

「承知した

 線香を灯すぞ」

 

翁が先行を灯し

櫻井より離れた場所で

坐禅を組み始める

 

 

静寂の中で聴こえるのは

風に揺られてざわめく樹々と

庭に来る鳥の声 

 

 

 

自然に同化していく自分 

何者にもとらわれず

無の境地で心の声を聴く

 

 

それが出来るのかは

まだ分からないが

心が穏やかになっていくのが分かった

 

 

 

線香一本分は大体四半刻(30分)くらい

線香が燃え尽きたころ

翁が顔を上げて立ち上がり

櫻井の肩に手を置く

 

「終わりじゃ

 足を直しなさい」

 

慣れないことをしたものだから

足が固まって ・・・

直ぐには立つことも出来ない

 

「痺れたかの?」

 

「はい ・・・ 面目ないです」

 

「何も面目ない事はないぞ

 誰でも最初はそうじゃ

 痺れが取れたら

 立ち上がれば良い

 儂は先に行って

 茶の準備をしておく

 そうじゃ、どっちが良い?」

 

足を擦りながら

怪訝な顔をして見上げる

 

「どっちとは?」

 

「抹茶が良いか

 煎茶が良いかじゃ」

 

「煎茶でお願いします」

 

「あはは ・・・ そうじゃな

 ゆるりと直して

 立ち上がりなさい」

 

 

満面の笑みを浮かべた翁

そのまま部屋を出て行った

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>

 

 

 

 

100話へのお祝コメント

ありがとうございました

温かいコメントの数々

とても嬉しいです

パワーも頂きました

これからも

どうぞよろしく

お付き合いください

 

 

蒼のエルフ

 

 

策(坐禅の時に使われる棒)

についてですが

いつから始まったのか曖昧の為

こちらのお話では

行っていないことにいたしました

江戸時代に入ってきたらしいのですが

歴史は浅いようです

なんちゃって歴史考察です

間違っていたらすみません