マガジンハウス 向田邦子を旅するより 向田邦子さんの部屋
前述①の方で、
『美術品との真剣に向き合うことは
心を成長させると私は思っています。』
と書きました。
そのようなことを言われたって
そういうものはお高いでしょうし、
私には関係ないわ。
美術館で見るのが一番よ、と
思われる方も多いと思います。
では、人の心を揺さぶるような、
美術品はすべてが高価なものなのか?というと
そうではないのですね。
それほど高価ではなくても
感動をもたらしてくれるもの・・・は
確実に存在します。
(ここから先の話は私が宝石商であるということは
抜きにして考えてくださいね。
ジュエリー、宝石の世界は
どうしてもある程度高額なものがほとんどですので・・・
ただ高いということに理由のある世界なのですが・・・
それはまたゆっくりと話しましょう。)
たとえばインテリアデコレーションの世界では、
西洋風のインテリアにする為に
壁を埋め尽くした方が良いので
(確かに外国人は壁に何かを飾ることがお好きですよね。)
とにかく何かを飾りましょう。
その場合お高いものではなくても構いません。
中身の絵は何でも良いのです。
それよりも額縁の美しいものを・・・と
書かれているのを見つけたことがあります。
インテリアデコレーションをする人の立場にたって考えてみれば、
日本人は現在までのところ、
インテリアに拘って生活をする人が少なくて
(概ね住宅メーカーの『規格』を受け入れて
生活していたりします。)
まずはインテリアにもお金をかけてみましょう。
その場合壁面の絵画までも拘ると
予算がいくらあっても足りないので
絵の質はなんでも良いのです・・・ということになるのだと思いますが・・・
(いくら壁面に何かを飾ることが好きな外国人でも
『質』にはまるで拘らないという人は少数派だと思うのですが・・・)
ただこれは、もしも私にこの方法を押し付けられたら
拷問に近いだろうな、と思ってしまったわけです。
感動のポイントのない、或いは何をもって感動して良いのかわからない、
そんな質の絵画を見ながら暮らすなんて
私にはできません。
人間の『眼』というものは
実のところ非常に繊細で、
偽物を見て暮らせば、それに眼が馴染み、
本物を見て暮らせば、本物に眼が馴染むものです。
でも、ここで本物はお高いじゃない・・・という問題が出てくるわけです。
いえいえそんなことはないのです。
たとえばインド更紗の小さな裂を購入してみる。
更紗はご存知の方が多くて
馴染みがある方が多いと思いますが、
ここでは少なくとも19世紀のインド更紗を求めてみて欲しいのです。
(更紗の源流はインドにあります。
インドの染織の技術はとても素晴らしくて、
100年以上経た布でも、その一色一色に、
またその意匠に
私たちを感動させてくれる何かがあるのです。)
小さなものであれば、そんなに高価なものではありません。
それを額装して身近に置いてみて下さい。
そこに眼をやれば、日々新しい発見があるのです。
同じものを見て『日々新しい発見がある』
それこそが本物の持つ力なのです。
そして自身の『眼』は毎日を前向きに生活をしている人ならば、
一日も休まず成長を続けていくものなのです。
高価ではなくて感動をもたらしてくれるものは
考えたらいくらでもあります。
ギリシャ、ローマ時代のコインなども
高価なものもありますが、そうではないものもあります。
或いは自分を表現したくてギラギラしている
中途半端な才能を持った芸術家の絵を購入するのなら、
ご自分のお子さんの絵に目を向けてください。
彼らは一人残らず天才なのです。
お子さんの絵を丁寧に額装して
飾ることもとても素敵なことだと思います。
私は宇野千代さん、向田邦子さんの
部屋の設えが好きです。
彼女達が本物の仕事を残した所以を
彼女達の部屋に感じることができるから・・・
本物の仕事をする人たちは、
何かしらの美術、骨董などを拠り所にして
パワーをいただいているのですね。
雑誌 『太陽』 1997年1月号より 宇野千代さんの部屋
自宅には200年前のカシミールショールを飾ってあります。
7歳の娘でさえ、
「すごい綺麗・・・」という存在感があります。
古の『赤』は
心を打たれる美しさです。。。
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本当に久しぶりにランキングに復帰しました。
ちょっと思うところがあったのですね。
私の日記、固い内容と思うのに
大健闘させていただいております。
皆様のおかげです。
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