僕の頭の中にはいつもKが在り、「大事にしているか?大切にしているか?思いやっているか?感謝の気持ちは忘れていないか?」と自問自答を繰り返すことが習慣のようになってきました。これは、ふとするとすぐに大切なことを忘れてしまう自分自身への、戒めのようなもの。でも、これはきっとKに対してだけではなく、僕の周りの全ての人に対して持っていなければならない感情なんですよね。
そんな事を思ったとき、思いがけずモトカノが僕の頭に浮かんできました。振り返ればもう2年半前、お互いが別々の道を歩むことを決め、別れるという決断をした彼女と僕。そのモトカノと過ごした2年半の日々は、今でも鮮明に僕の脳裏に残っています。
僕は思いました。
今でも忘れず、イヤきっとこの先もずっと残り続けるであろうモトカノとの思い出。あの2年間、僕はそれこそ全てを忘れて恋をした。しかし、僕は本当に彼女を大切にしていたか?大事にしていたか?思いやっていたか?そして、感謝の気持ちを忘れずにいただろうか・・・?そう、いま僕が想いを寄せてやまないKと同じくらいに・・・?今の僕がもつこの心掛けを、果たしてあの頃も持つことができていたのだろうか・・・?
その問いに自信を持ってYESと答えられない自分に気付いた時、僕は携帯に入ったままのモトカノの番号メモリーを探し、発信していました。
決して未練とかそういうものではありません。現に僕にはKという心底ホレきってしまった女性がいますし、いまさら元彼女とヨリを戻そうなどとは微塵も考えていませんし、おそらく向こうもそれを望むはずもないでしょう。その行為にどれほどの意味があるのかわかりません。ただの自己満足かもしれない。でも、どうしても今一度彼女に、直接謝りたかった。そしてただ、感謝の言葉を言いたかった。本当に、ただそれだけ。そう思ったとき、僕の手は自然に電話を取っていたのです。
「はい、もしもし・・・?」。突然の電話でおそらく戸惑いもあったのでしょう。久しぶりに聴くモトカノの声は少し上ずっていましたが、付き合っていた当時よりもやや大人びたその声は2年半という月日を感じさせました。
うまく・・・話せませんでした。その声を聴いた途端、彼女と付き合っていた頃の楽しい思い出が次々に頭の中によみがえり、切なさに胸がつぶれそうになりました。堰を切って溢れ出しそうになる涙を必死にこらえ、僕は彼女に切り出しました・・・
「俺はお前と付き合ってた頃、あんまり優しくなかったな・・・。もっと思い遣って、大切にしてあげられれば良かった。本当に、ゴメンな。でも、お前と付き合ったあの2年半は本当に楽しかったよ。電話じゃうまく伝わらないかもしれないけど、本当に感謝してる。ありがとうな。」
しばらくの沈黙の後、モトカノは一言・・・
「優しかったよ。ありがとう」
僕ももう、それ以上は何も言いませんでした。その後は10分ほど他愛もない話をし、僕は静かに電話を切ったのです。片想いをしているという僕の事情は話せずじまい。でも、向こうに新しい恋が生まれているかどうかも僕はあえて聞きませんでした。それはもう問題じゃない、ただ、僕は謝罪と感謝の気持ちだけ伝えたかった。ただ、それだけだから。
この電話で、何が変わって変わらなかったのか、僕にも分かりません。でも、一つだけ言えることがあります。それは、この先たとえ想いが報われることがなくても、僕はずっとKを大事にし、大切にし、思いやり、感謝の気持ちを忘れずにいよう・・・という気持ちを再確認したということ。そして、万が一他の人を愛することになっても、今のこの気持ちだけは忘れないようにしよう、と。
そんな気持ちに気が付かせてくれたKに、この恋に、そしていつも応援してくださる心優しき方たちに、改めて感謝です。ありがとう!
ありがとうございました。