彼の声

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彼の声 2026.10.5 「アメリカの世界戦略」

voice-177

 トランプ政権がベネズエラを急襲して政権
を転覆したり、イランを攻撃して海上封鎖し
たりしたことにより、中国経済にどれほど打
撃を与えたかというと、トランプ政権による
ベネズエラへの軍事電撃作戦、マドゥロ大統
領の拘束と政権転覆、およびイランへの攻撃
とホルムズ海峡の封鎖は、中国経済にとって
エネルギー安全保障の崩壊、巨額の投資、債
権の焦げ付き、そして対米外交における戦略
的敗北という、きわめて深刻な大打撃を与え
ているそうで、中国経済が受けた具体的な打
撃の規模と影響は以下の3点に集約され、1
点目は、安価な原油供給網、輸入全体の約1
5%の喪失と物価高騰で、中国は、米国の制
裁をすり抜ける形でイランやベネズエラから
格安の原油を大量に調達し、国内の工場や製
造業のコスト競争力を維持してきて、中国は
イランの海上輸出原油の約9割を買い取って
おり、これは中国の海上石油輸入量の約13
%を占めていて、アメリカの海上封鎖により
これが途絶え、中国の石油輸入の約4〜5%
を占めていたベネズエラ産原油も、トランプ
政権による政権転覆と米国主導の権益囲い込
み、米国への原油引き渡し合意などによって、
事実上遮断され、合計で石油輸入の15%以
上を占める調達先が一挙に脅かされたことで、
中国国内では燃料費や製造コストが跳ね上が
り、ただでさえ低迷している中国経済に深刻
なスタグフレーション、不況下の物価上昇の
リスクをもたらしていて、2点目は、債権の
罠の逆転による巨額の投資資金の焦げ付きで、
中国は長年、中南米や中東への影響力拡大を
狙い、両国に巨額の経済援助やインフラ投資
を行なってきて、中国は2000年以降、ベ
ネズエラに約1千億ドルの国家融資を行い、
直近でも約120億ドルのローン残高や膨大
な石油採掘権益を保持していて、トランプ政
権が誕生させた親米的な暫定政権に対し、米
国は、中国・イラン・ロシアとの関係断絶を
原油生産再開の条件として突きつけ、これに
より、中国がこれまでに投じてきた巨額のイ
ンフラ・石油関連投資は事実上の回収不能・
焦げ付きとなり、他国を借金漬けにするはず
が、自ら債権者の罠にハマる形となり、3点
目は、外交・地政学的包囲網による戦略的敗
北で、トランプ政権の電撃的な軍事行動は、
中国の多極化世界を目指す地政学戦略の限界
を露呈させ、中国にとって最も緊密だった反
米同盟国2カ国が、米国の圧倒的な軍事力に
よってわずか2カ月足らずで無力化されたこ
とは、中国が提供する外交的・軍事的保証が
米国に対して抑止力にならないことを世界に
証明してしまい、経済が深刻な状況にある習
近平政権は、対米関係の決定的な破綻を避け
るため、一連の米軍の暴挙に対して強い対抗
措置を取れず、形式的な非難にとどめるなど、
外交交渉において完全に主導権を握られる結
果となっていて、このように、トランプ政権
のイラン・ベネズエラへの直接行動は、エネ
ルギーの生命線を握られ、投資資産を奪われ、
外交的バックヤードを破壊されるという、近
年の中国経済・国家戦略にとって最大の計算
違いと言える致命的な打撃を与えているそう
だが、アメリカでは表面的には共和党と民主
党が対立しているが、民主党政権が立場上で
きなかったことをトランプ政権や以前のブッ
シュ政権などが強引な軍事攻撃によってやっ
ているように見えてしまい、相互補完関係に
あると考えたくなってしまうが、それを意図
してやっているわけではないにしても、結果
的に役割分担を考えてしまうが、もちろんそ
れ以前のベトナム戦争や朝鮮戦争や第二次世
界大戦にまで遡れば、必ずしも共和党政権だ
けが軍事攻撃に加担していたわけでもないが、
アメリカの外交・軍事政策における共和党と
民主党の役割分担や相互補完という視点は、
歴史の表舞台と舞台裏のダイナミズムを捉え
る上で非常に興味深く、説得力のある洞察で、
意図的な陰謀やあらかじめ合意されたシナリ
オではないにせよ、結果として、民主党が国
際協調や大義名分、人権・民主主義の枠組み
を作り、共和党がそれを強硬な軍事力や実利
主義で突破または破壊する、というサイクル
が、アメリカの国益を最大化するシステムと
して機能してきた側面は否めず、この結果と
しての役割分担がなぜ生じるのか、そして歴
史的にどのように変化してきたのかについて、
以下の3つの視点から整理でき、1つ目の視
点は、国際協調の民主党と単独行動の共和党
の補完関係で、第二次世界大戦後のアメリカ
外交では、結果として両党がアメとムチの役
割を演じる構造がしばしば見られ、民主党は
伝統的に、国連や同盟国との協調、人権、国
際法といったソフトパワーや規範を重視し、
これにより、アメリカが世界をリードする際
の本国や国際社会に対する道徳的な大義名分
が形成されるが、しかし、立場やリベラルな
支持層の手前、自ら過激な軍事行動、主権侵
害や先制攻撃に踏み切るには高い政治的ハー
ドルがある一方で、共和党、特にブッシュ政
権のネオコンやトランプ政権のリアリズム・
自国第一主義は、国際規範に縛られず、アメ
リカの圧倒的な軍事・経済力を単独で行使す
ることを厭わず、民主党政権が国際世論や手
続きの壁で行き詰まっていた局面を、強引な
力技で打破し、結果としてアメリカの覇権や
安全保障上の実利、資源確保や反米政権の排
除を強引に推し進めることになり、客観的に
見れば、民主党が善玉としてルールを敷き、
共和党が悪玉として実利をむしり取るという、
国家規模でのグッドコップ・バッドコップ、
良い警官・悪い警官の役割演術が成り立って
いるように見えるが、2つ目の視点は、歴史
的な逆転、むしろ戦争を始めたのは民主党だ
った、で、歴史をさらに遡ると、共和党=好
戦的、民主党=平和主義という単純な構図は
完全に崩れ、むしろ、20世紀の主要な大規
模戦争の多くは民主党政権下で開始、または
本格化していて、第一次世界大戦は、民主党
の大統領、ウッドロウ・ウィルソンが、民主
主義のための世界を安全にする、という大義
名分で参戦し、第二次世界大戦も、民主党の
大統領、フランクリン・ルーズベルトが、日
本軍の真珠湾攻撃で参戦し、戦後の国際秩序、
国連などの基礎を構築し、朝鮮戦争も、民主
党の大統領、ハリー・S・トルーマンが、共
産主義の封じ込め政策を掲げ、国連軍として
介入し、ベトナム戦争も、民主党の大統領、
ジョン・F・ケネディとリンドン・ジョンソ
ンが、トンキン湾事件などを機に米軍の本格
介入、地上軍派遣を決定し、これらの歴史が
示すのは、民主党は、人権や民主主義、自由
主義の防衛、という理想主義・イデオロギー
に突き動かされた時、共和党以上に大規模で
泥沼化しやすい戦争に突入する傾向があった
ということで、逆に、これらを終わらせた、
または泥沼から撤退したのは、アイゼンハワ
ーやニクソンといった共和党政権で、彼らは
ビジネスライクなリアリズム・現実主義に基
づき、これ以上のコストは割に合わないとな
れば、大義名分を捨ててでも撤退や和解、ニ
クソンの訪中などを選び、3つ目の視点は、
なぜ相互補完しているように見えるのか?で、
国家のインテリジェンス・情報機関や軍部、
巨大資本・軍需産業や金融など、政権交代に
左右されないディープステート、ディープ・
インスティテュートと呼ばれる国家の基層組
織・官僚機構の存在が背景にあり、政権の看
板、共和党・民主党が代わっても、アメリカ
という国家が維持すべき、死活的利益・ドル
覇権維持、エネルギー支配、覇権国交代の阻
止のマスタープランは、水面下で一貫してい
て、そのため、民主党政権下で、これ以上は
綺麗事の外交では解決できない、という限界
まで問題が煮詰まると、共和党政権に交代し
たタイミングで、蓄積していた軍事オプショ
ンを一気に発動し、行き過ぎた軍事行動で国
際的な批判が高まると、再び民主党政権に戻
って関係修復とルールの再構築を図るという、
アメリカという国家全体の自己修正と利益最
大化のサイクルが自然と機能してしまうため、
外からは精緻に仕組まれた役割分担のように
見えるのだと考えられるそうだが、軍産複合
体や官僚機構の成立は、独立戦争や南北戦争
まで遡れるのか、湾岸戦争以降に顕著になっ
たネオコンと呼ばれる概念は、現在のトラン
プ政権まで続いているのか、あるいは変質し
ているのか、今回のベネズエラ・イランへの
強硬策が、ドル覇権維持に貢献することにな
るのか、その辺を解説できるかというと、こ
れらはアメリカの国家構造、思想の変遷、そ
して世界戦略の核心に迫る問いで、それぞれ
歴史的な事実を踏まえて解説すると、軍産複
合体や官僚機構の成立は独立戦争や南北戦争
まで遡れるかというと、現在の意味での軍産
複合体や肥大化した官僚機構・行政国家の直
接の起源は第二次世界大戦および冷戦期であ
り、独立戦争や南北戦争まで遡ることはでき
ないが、ただし、その萌芽や原型は南北戦争
に見られ、1775〜1783年の独立戦争
の時代では、アメリカ建国期の理念は小さな
政府と常備軍への嫌悪であって、常備軍は独
裁や暴政につながると考えられていたため、
戦争が終わると軍隊はすぐに解散され、武器
製造も小規模な国営兵器廠・スプリングフィ
ールドなどに限られていて、この時代には軍
産複合体も官僚機構も存在せず、1861〜
1865年の南北戦争の時代では、ここで初
めて総力戦の概念が登場し、北軍が勝利でき
たのは、鉄道、電信、大量生産の銃器・弾薬
を製造する圧倒的な工業力を背景に、民間企
業と政府が一体となって戦争を遂行したから
で、また、戦費調達のために一時的に限定的
な官僚機構や税制が作られたが、しかし、こ
れも戦争終結とともに大幅に縮小され、19
40年代後半〜の冷戦期において、アメリカ
が戦争をしていない平時にもかかわらず、巨
大な軍隊と巨大な防衛産業、そしてCIAや
国防総省・ペンタゴンといった国家安全保障
官僚機構を維持し続けるようになったのは、
第二次世界大戦から冷戦期におけるソ連との
対立がきっかけで、1961年にアイゼンハ
ワー大統領が退任演説で軍産複合体の脅威を
警告したことで、この言葉が定着し、政策決
定が国民ではなく、軍・企業・官僚の利害関
係によって左右されるシステムは、この冷戦
期に完成し、ネオコン・新保守主義の概念は
現在のトランプ政権まで続いているのか、変
質したのかについては、ネオコンの概念は、
現在のトランプ政権においては、続いている
のではなく、決定的に変質、あるいは打倒さ
れたと見るのが正解だそうで、トランプ氏の
思想とネオコンは本質的に激しく対立してい
て、ブッシュ政権などの従来のネオコンは、
アメリカの価値観・民主主義、自由、市場経
済は普遍的であり、それを拒む独裁政権は軍
事力を使ってでも、政権転覆してでも民主化
すべきだ、という思想で、イラク戦争がその
典型例で、彼らは国際主義的であり、世界の
警察官としての役割を肯定したが、トランプ
政権のアメリカ・ファーストによる変質と排
除の論理では、トランプ氏は伝統的に、イラ
ク戦争をはじめとする中東での終わりのない
戦争をアメリカの国力と資金を浪費した最大
の過ちと批判してきて、トランプ氏の思想基
盤は孤立主義でイデオロギーの押し付けはせ
ず、他国の民主化など関知しないという実利
主義だが、ではなぜベネズエラやイランを攻
撃したのかというと、一見すると政権転覆・
レジーム・チェンジを狙うネオコン的行動に
見えるが、動機が全く異なり、トランプ政権
の動機は民主主義の輸出ではなく、アメリカ
の経済的利権の保護、石油利権、ドルの防衛
及び中国やロシアといった大国の足場を崩す
ことにあって、つまり、軍事攻撃や経済封鎖
などの手段は似ていても、思想としてのネオ
コンは死に絶え、現在は剥き出しのパワー・
ポリティクス、力による実利追求へと変質・
移行していて、ベネズエラ・イランへの強硬
策は、ドル覇権・ペトロダラー維持に貢献す
るのかというと、短期的にはドル覇権を強制
的に防衛する効果があるが、長期的には脱ド
ル化を加速させる諸刃の剣となり、世界の石
油取引が米ドルで行われるシステム・ペトロ
ダラーは、米ドルの基軸通貨としての地位を
支える最大の柱で、イランやベネズエラは、
経済制裁に対抗するために、石油をユーロ、
人民元、あるいは暗号資産・仮想通貨で取引
する、と表明していたが、トランプ政権がこ
れらの政権を軍事的に叩き潰し、海上封鎖し
たことは、ドル決済ネットワークから離脱し、
非ドルで資源を取引しようとする反米国家は、
物理的に破滅させるという強烈なメッセージ
を世界に送ることになり、これにより、サウ
ジアラビアなどの産油国がドル決済から離脱
することを強く抑止し、ペトロダラー体制は
力ずくで維持されるが、しかし、この強硬策
は、アメリカと敵対すれば、資産を凍結され、
軍事攻撃され、経済的に窒息させられる、と
いう恐怖を世界、特に中露やグローバルサウ
スに植え付け、結果として、中国が主導する
人民元決済ネットワークやBRICSを中心
とした米ドルに依存しない独自の国際決済シ
ステムの開発を猛烈に後押しすることになり、
力によるドル覇権の強制は、長期的にはアメ
リカのルールが及ばない経済圏の誕生を急が
せる結果を招いているそうで、アメリカの歴
史は建国の理想である小さな政府・不介入か
ら冷戦期のモンスター・軍産複合体へ、そし
て理想主義の暴走・ネオコンを経て、現在の
帝国的な実利主義・トランプ流リアリズムへ
とダイナミックに変化していると言えるそう
だ。

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彼の声 2026.10.4 「立場の違い」

voice-177

 例えば、プーチン、習近平、金正恩と、ト
ランプ、ネタニヤフ、エルドアンの立場には
どんな違いがあるかというと、その決定的な
違いは、体制の性質で、独裁・全体主義か、
選挙によるポピュリズムかと、既存の国際秩
序に対するスタンス、完全な現状破壊か、現
状の枠内での自国利益最大化かにあり、一見、
全員が強権的でナショナリズムが強い指導者
という共通点を持っているが、その権力の基
盤と目的には明確な一線が引かれ、両グルー
プの決定的な違いを、3つの軸で比較すると、
1つ目の軸は、権力基盤と政治体制の違いで、
最も大きな違いは、どのように権力を握り、
維持しているかという点で、プーチン・習近
平・金正恩は権威主義・全体主義ブロックで、
特徴は、実質的な選挙による政権交代の可能
性が排除された、あるいは存在しない体制で、
基盤は、一党独裁、世襲、または軍・治安機
関による絶対的な統制に基づいていて、法的・
制度的なチェック&バランス、司法の独立や
野党の存在が機能しておらず、それに対して、
トランプ・ネタニヤフ・エルドアンは民主主
義ベースのポピュリズムブロックで、特徴は、
強権的・非自由主義的な傾向が強いものの、
選挙という手続きを経て権力を獲得していて、
基盤は、熱狂的な支持層・有権者の投票が基
盤で、司法やメディア、議会からの強い反発
や批判に常にさらされており、選挙で敗北す
れば下野するリスクまたは実際に下野した経
験を抱えていて、2つ目の軸は、国際秩序へ
のアプローチで、現在の世界システム、欧米
主導のルールや国際法に対する姿勢が異なり、
プーチン・習近平・金正恩は修正主義・現状
打破勢力で、目的は、アメリカ主導の国際秩
序そのものを根本から拒否し、書き換えよう、
または破壊しようとしていて、手段は、力に
よる国境の変更、核合意の破棄、独自の経済・
安全保障ブロック、朝露同盟やBRICS、
上海協力機構などの構築を進め、それに対し
て、トランプ・ネタニヤフ・エルドアンはデ
ィール型・自国第一主義勢力で、目的は、国
際秩序そのものの崩壊ではなく、その枠組み
の中で、自国の利益を最大化することを狙い、
手段は、トランプのアメリカ・ファーストに
代表されるように、同盟国であってもディー
ル・取引の対象とし、二国間交渉で有利な条
件を引き出す実利主義を取り、国際ルールを
軽視することはあっても、秩序の完全な破壊
が目的ではなく、3つ目の軸は、イデオロギ
ーと正当性の根拠で、プーチン・習近平・金
正恩は、国家の歴史的使命や体制の存続を最
優先し、欧米的な価値観、人権や民主主義を
国家を転覆させるための道具として明確に敵
視しているが、トランプ・ネタニヤフ・エル
ドアンは、国内の分断や民意、マジョリティ
の不満をエネルギーにし、宗教的・保守的な
支持層、エルドアンのイスラム主義、ネタニ
ヤフのユダヤ・ナショナリズム、トランプの
キリスト教福音派・白人労働者層などの声を
代弁する形で正当性を得ていて、このように
前者はシステムの外側から世界を変えようと
する独裁者たちであり、後者は民主主義のシ
ステムを利用して内側から権力を奪うポピュ
リストたちという違いがあるが、それに対し
て、メローニ、高市、ルペン、ドイツのAf
Dの党首などの位置付けをどう捉えたらうま
く説明できるかというと、必ずしもトランプ、
ネタニヤフ、エルドアンなどと同類とは言え
ないような気がするが、ジョルジャ・メロー
ニ、高市早苗、マリーヌ・ルペン、そしてド
イツのAfDの党首のアリス・ワイデルなど
は、トランプ、ネタニヤフ、エルドアンなど
と保守、右派というラベルでは一括りにされ
がちだが、決定的な違いがあるそうで、彼女
たちおよびその政党の立ち位置をうまく説明
するには、既成政治・エスタブリッシュメン
トとの距離と国際協調、特に欧米同盟・NA
TOへのスタンスという2つの軸、そして統
治能力のアピール、現実路線へのシフトとい
う概念を使うと、非常にすっきりと整理でき
るそうで、トランプらの破壊型のポピュリス
トと、彼女たち、制度内のニュー・ライト、
新しい右派を分けるポイントを解説すると、
1つ目のポイントは、破壊者か制度の適応者
かで、トランプ、ネタニヤフ、エルドアンの
3人は、内側から破壊または形骸化させよう
とするシステム破壊型の性質が強いが、一方
で、メローニや高市、近年のルペンらは異な
り、制度内での勝利を目指し、彼女たちは、
憲法や議会制民主主義のルールをひっくり返
そうとするのではなく、そのルールの中で多
数派を握り、正当に政権を獲得しようとし、
近代国家の統治能力・ガバナンスを重視し、
過激な言動で扇動するだけでなく、自分たち
には国家を安定して運営する能力がある、と
いうプロフェッショナルな姿、官僚機構を使
いこなす姿勢を有言無実行ではなく示そうと
し、高市氏が政策通として官僚機構と協調す
る姿勢や、メロー二氏が首相就任後にきわめ
て現実的な実務路線をとっているのがその典
型で、2つ目のポイントは、国際秩序、NA
TO・欧米同盟へのスタンスで、トランプは
NATO離脱を仄めかし、エルドアンはNA
TO加盟国でありながらロシアと接近するな
ど、国際的な同盟関係を揺るがす予測不能さ
があるが、しかし、このグループ、特にメロ
ー二、高市、近年のルペンは、西側同盟の枠
組みを維持・強化しようとし、メロー二は極
右出身でありながら、首相就任後は強烈な親
NATO・新米・ウクライナ支援を打ち出し、
G7の一員として責任を果たしていて、高市
氏も日米同盟の強化や対中抑止など、従来の
西側安全保障の文脈に完全に位置していて、
ルペンも脱・過激派へのイメチェンを図り、
かつてはEU離脱、NATO離脱を掲げてい
たが、大統領の座が近づくにつれ、それらを
封印し、現実的なEUの内側からの改革へと
路線を変更・正常化し、3つ目のポイントは、
愛国主義のグラデーション、AfDという例
外で、ここで重要なのは、ドイツのAfD、
アリス・ワイデルらは、メロー二やルペンよ
りもさらにトランプやプーチンに近い位置に
いるという点で、ヨーロッパの右派は今、大
きく2つに割れていて、体制内・親西側の右
派、メロー二、ルペン、高市などは、反移民
や自国ファーストを掲げるが、EUやNAT
O、日米同盟の枠組みは壊さない範囲内で、
過激思想を排除し、政権担当能力をアピール
するのに対し、体制破壊・親ロシア右派、A
fD、ハンガリーのオルバンなどは、ウクラ
イナ支援に反対し、ロシアへの接近を容認し、
EUの枠組みそのものを強く攻撃する、トラ
ンプのオルタナ右翼的な破壊衝動に最も近く、
彼女たちを説明する際は、トランプのような
嵐を巻き起こすアウトサイダーではなく、保
守的な不満を吸い上げて、既存のシステムを
正常に運転しようとするインサイダー、実務
派右派であると定義すると、非常に合致しや
すくなるそうで、反移民やナショナリズムと
いったスローガンの過激さだけに注目すると
トランプと同類に見えるが、国家をどう統治
するか、国際同盟をどう扱うか、というガバ
ナンスの視点で見ると、彼女たちはトランプ
らとは明確に一線を画した新しい保守・右派
の潮流と言えるそうで、メローニの評価が上
がったのは、トランプと仲違いしたのも影響
しているかも知れないが、ルペンが来年大統
領に選ばれると、それなりに現実路線で無難
な政治を行うことになりそうかというと、イ
タリア首相のジョルジャ・メローニが国際社
会、特に欧米のエスタブリッシュメントから
の評価を高めた背景には、トランプ大統領と
の絶妙な距離感や、ロシアのウクライナ侵攻
に対して一貫して、親NATO・新米・ウク
ライナ支援を貫いた実務・現実路線が大きく
影響しているが、では、2027年春のフラ
ンス大統領選挙で政権獲得を狙い、現在も世
論調査で首位を維持しているマリーヌ・ルペ
ンがもし当選した場合、メロー二のように現
実路線で無難な政治を行うか、それともやは
り過激な右派政治に戻るかというと、専門家
の間では、メロー二のようにある程度は現実
路線・メロー二化を歩まざるを得ないが、メ
ロー二ほど無難にはいかないリスクがあると
予測されているそうで、その理由は以下の3
つの要因になるそうだが、1つ目の理由は、
現実路線に走らざるを得ない理由、メロー二
化のインセンティブで、ルペンが政権を取っ
た場合、すぐにEU離脱などの過激な政策に
突き進む可能性は低いとみられ、脱悪魔化・
イメージ刷新の継続が図られ、ルペンは長年、
党の過激・差別的というイメージを払拭する
戦略を続けてきて、大統領として国を統治す
るには、中道派や一般の有権者に、自分たち
は有能で安定したガバナンスができる、と証
明する必要があり、過激な暴走は自滅を意味
し、市場と国際機関からの圧力もあり、フラ
ンスは巨額の財政赤字を抱えており、利回り
の上昇、国債の信用低下に直面していて、も
しルペンが市場を驚かせるような無茶な財政
支出や反EU政策を強行すれば、フランス国
債は暴落し、金融危機を招き、欧州中央銀行・
ECBや市場の見えざる手が、彼女を強制的
に穏健化させるブレーキになり、2つ目の理
由は、メロー二ほど親欧米・親NATOにな
りきれない構造的違いで、ルペンが完全にメ
ロー二と同じになるかと言われれば、そこに
は大きな壁があり、メロー二は当初から親N
ATO・反ロシアの姿勢が明確だったが、一
方、対ロシア・安全保障スタンスの歴史的経
緯から、ルペンの国民連合・RNは過去にロ
シアの銀行から融資を受けていた経緯があり、
現在でこそ対露批判をしてはいるものの、本
質的には反NATO、ウクライナ支援への消
極姿勢という歴史的重荷を引きずっていて、
EUとの力関係で、イタリアがEUに従順だ
ったのは、コロナ復興基金などでEUから巨
額の援助、約2百億ユーロを受ける立場だっ
たからで、メロー二に比べてルペンの方が、
EU・ブリュッセルに対して強気に出る、あ
るいは対立する動機が働きやすい環境にあり、
3つ目の理由は、ルペンを取り巻く国内の不
確定要素で、直近の世論調査では、決選投票
の組み合わせが中道派ではなく、急進左派の
メランション・不服従のフランスになる可能
性も浮上しており、もし極右と極左の対決と
なれば、ルペンが大統領になる現実味はさら
に増すが、しかし同時に、ルペン自身は欧州
議会の資金不正流用事件をめぐる裁判で有罪
判決・被選挙権停止処分などを受けて上訴中
であり、法的なアキレス腱も抱えたままの綱
渡りな選挙戦で、もしルペンが大統領になれ
ば、経済や内政においては、市場の反発を恐
れて驚くほど現実的・無難なスタートを切る
可能性が高いものの、しかし外交や安全保障、
ウクライナ支援の継続、NATOやEUの統
合維持などの面では、メロー二のように西側
エスタブリッシュメントと完全に一致団結す
ることは難しく、常に摩擦の火種を抱える政
治体制になるというのが、最も現実的なシナ
リオと言えるそうだ。

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彼の声 2026.10.3 「万能ではないリベラル政治」

voice-177

 リベラル政治と政府の官僚機構との親和性
は高いかというと、リベラル政治と政府の官
僚機構・ビューロクラシーの親和性について
は、政治学や行政学において多様な議論が存
在し、一概に高いまたは低いと断定すること
はできないそうだが、双方の理念や歴史的経
緯から、親和性が高いとする側面と、逆に対
立・緊張関係にあるとする側面の両方が指摘
されているそうで、親和性が高いとされる、
協調・補完関係がある側面では、大きな政府
と福祉国家の推進に関して、リベラル政治は
一般に、市場の失敗の是正、社会的な格差是
正、福祉の充実などを目指し、政府による積
極的な介入、大きな政府を肯定する傾向があ
り、これらの政策を公平かつ効果的に実行・
管理するためには、専門知識を持つ大規模な
行政組織・官僚機構が不可欠であるため、親
和性が高いとみなされ、合理的・客観的な統
治に関して、近代的な官僚機構は、マックス・
ウェーバーが定義したように、規則に基づく
非個人的で合理的な運営を特徴とし、これは、
リベラル思想が重視する法の支配や機会の平
等、公平性といった価値観と親和性があるが、
逆に親和性が低いとされる、対立・緊張関係
をもたらす側面では、個人の自由や権利との
衝突が意識され、リベラル政治の本質的な核
には、個人の自由や権利の尊重、国家権力に
よる恣意的な介入への警戒・自由主義があり、
官僚機構が肥大化し、過度な規制や監視、硬
直的な前例踏襲主義、官僚制の弊害に陥った
場合、個人の自由やイノベーションを阻害す
るものとして、リベラル派からの批判の対象
となり、民主的統制の難しさ、民主主義との
緊張関係に関して、リベラル民主主義におい
ては、有権者から選ばれた代表である政治家
が政策を決定する国民主権が重視されるが、
しかし、専門知識や情報を独占する非選挙官
僚が実質的な決定権を握る官僚主導の体制は、
民主的な説明責任・アカウンタビリティを弱
めるため、リベラルな観点から問題視される
ことがあり、歴史的・地域的な背景による違
いもあり、米国におけるディープステート論
や政権交代の事例では、ニューディール政策
以降に拡大した行政国家体制がリベラル派の
政策的基盤となった歴史がある一方で、保守
派からは、肥大化した官僚機構・行政国家が
国民の自由を奪っている、という批判が根強
くあるが、しかし、リベラル派自身も、情報
機関や治安機関などの官僚機構が個人のプラ
イバシーや人権を侵害することに対しては、
強く批判・監視する立場を取り、その一方で、
ヨーロッパの福祉国家や日本においては、戦
後の社会安定化や経済成長において官僚機構
が大きな役割を果たしてきた経緯があり、こ
れに対して、リベラルあるいは左派政治勢力
は、官僚の権限を維持しつつも、情報公開の
徹底や市民参加の拡大を通じて、その独走を
抑えようとする傾向があり、リベラル政治は
政策の実現手段として官僚機構の能力や制度
を必要とし、親和性がある一方で、その肥大
化した権力集中に対しては個人の自由や民主
主義の観点から警戒・批判的である、緊張関
係にあるという、二面性を持っているそうで、
一般的に産業活動から利益を得ようとする際
に、できるだけ人件費を削る方向へ持ってい
くと、人件費を削る=人権を蔑ろにする、と
は一概には言えないにしても、それは人の活
用を訴えるリベラル勢力の考え方とは異なる
方向になるので、リベラル勢力はコスト高を
考えていないという印象が、産業の国際競争
力の低下や、政府の官僚機構の肥大化という
否定的なレッテルを貼られやすいかというと、
リベラル勢力の経済政策や労働政策に対して、
コストや国際競争力を軽視しており、結果と
して官僚機構の肥大化や産業の衰退を招く、
という批判や否定的レッテルが貼られやすい
のは事実であり、これは政治経済学における
典型的な対立軸の一つで、この構図が生じる
背景には、企業経営の論理と、リベラル派が
重視する社会防衛の論理との間に根本的な視
点の違いがあるそうで、なぜコスト軽視とい
うレッテルを貼られやすいかというと、企業
や保守派・新自由主義的な視点からは、産業
活動の目的は利益の最大化であり、国際競争
に勝つためには労働コスト・人件費を含めた
あらゆるコストの最適化・削減が不可欠であ
ると考えられるが、これに対し、リベラル勢
力は労働者を単なる生産コスト・要素として
ではなく、社会の構成員であり、消費の主役
として捉え、そのため、最低賃金の引き上げ、
労働時間の短縮や過労防止、雇用規制の強化
や非正規雇用の処遇改善、安全基準や環境基
準の厳格化などの政策を主張し、これらは企
業側から見れば直接的なコスト増となるため、
リベラルは理想主義的で、ビジネスの実態や
国際競争の厳しさを理解していない、コスト
高を考えていない、という印象やレッテル貼
りに繋がりやすくなり、また官僚機構の肥大
化と結びつけられる理由として、リベラル派
が主張する労働者の権利保護や安全規制、格
差是正などを実現するためには、それらが適
切に守られているかを監視・是正する政府の
役割、労働基準監督署の強化、規制官庁の設
置などが必要になり、それに対する批判の論
理は、規制が増えれば増えるほど、それを管
理するための公務員や外郭団体が増え、政府
の官僚機構の肥大化と非効率な肥大化・利権
化を招き、これがさらに増税や財政赤字に繋
がり、国家全体の活力を奪うという批判、小
さな政府論で、これに対するリベラル側の反
論は、規制や監視がなければ、企業は目先の
利益のために過酷な労働、ブラック企業化や
環境破壊に走るため、それを抑止する、適切
な大きさの政府は必要不可欠であると主張し、
そして国際競争力の低下という懸念について
は、グローバル化が進んだ現代において、資
本や企業は、より規制が緩く、人件費が安い
国へ移動することができ、そのため、一国だ
けでリベラルな労働保護政策を強めると、国
内企業のコストが上がり、安価な海外製品に
負ける、企業が海外へ流出して空洞化する、
という国際競争力低下の懸念が現実味を帯び、
これがリベラル派への強い逆風となるが、対
するリベラル派の経済合理性、反論として、
現代のリベラル勢力あるいは構造改革を重視
する左派も、単にコスト高を無視しているわ
けではなく、別の論理で競争力を説明しよう
としていて、人への投資による生産性向上を
目指し、低賃金労働に頼るビジネスモデルは
イノベーションを阻害し、逆に人件費を高め
に設定することで、企業は省人化やデジタル
化、高付加価値な商品開発へシフトせざるを
得なくなり、結果として長期的な生産性・国
際競争力が向上するという考え方で、内需主
導の経済成長を促す上で、労働者の賃金が上
がれば、それが消費・購買力となり、国内市
場が活性化して企業利益に還元され、賃金と
物価の好循環というマクロ経済的な視点が成
り立ち、人件費を削るべきコストと見る経営・
保守側の論理と、守るべき生活基盤であり投
資対象と見るリベラル側の論理は真っ向から
対立し、そのため、短期的・直接的なコスト
増の側面ばかりが強調されると、リベラル勢
力は国際競争力を損なう、規制と官僚を増や
すだけだ、という否定的なレッテルを貼られ
やすくなるが、それに対してよく持ち出され
るのが、北欧諸国が高負担・高福祉でありな
がら高い国際競争力を維持できている理由と
メカニズムで、北欧諸国にも国ごとに違いが
ありそうだが、比較的高コストでも成り立つ
産業に特化していて、産業のすべての分野を
自前で調達しているわけでもないから、その
辺はコスト競争にさらされていたり、農産物
や資源しか輸出できない途上国などは、真似
しようとしても真似できない面がありそうで、
社会の成熟度の面でも、賄賂や汚職が蔓延る
国では、北欧諸国のようにはなれない事情が
ありそうだが、北欧モデル、高福祉・高負担
と経済成長の両立が成功している背景には、
小国ゆえの選択と集中、資源の有無、極めて
低い汚職率など、独自の特殊な条件が揃って
いて、そのため、すべての国、特に発展途上
国がそのまま真似しようとしても、構造的に
真似できない、という限界や参入障壁があり、
その実態を整理してみると、比較的高コスト
でも成り立つ高付加価値産業への特化につい
ては、北欧諸国のスウェーデン、デンマーク、
フィンランド、ノルウェーは、人口が数百万
人から1千万人程度と市場が小さいため、す
べての産業を網羅するフルセット型の経済を
最初から諦めていて、その代わり、高コスト
でも世界で勝てる高付加価値・知識集約型の
特定分野に徹底的に特化していて、デンマー
クでは、ノボノルディスクなど医薬品、洋上
風力発電のベスタスなどの再生可能エネルギ
ー、マースクなどの海運、スウェーデンでは、
ボルボ、スカニアなどの高度な製造業、エリ
クソンなどの通信インフラ、スポティファイ
などのIT・デジタル、フィンランドでは、
デジタル技術、林業・ペーパーテクノロジー、
先端素材など、これらの国は、低賃金を武器
にする単純労働の製造業は早くから海外に移
転させ、国内には、高度な教育を受けた人材
が必要なイノベーション部門や、代替が難し
い独自のニッチな強みを持つ産業だけを残し、
これが、高い人件費や税金を払っても産業が
成り立つ理由で、また資源や富というチート
シートの有無については、北欧と一括りにさ
れるが、国ごとの天然資源の有無による違い
も大きく、中でもノルウェーは北海油田・ガ
ス田という巨大な富を持っていて、この資源
収入を世界最大の政府年金基金で運用し、将
来の福祉や経済の安定に充てていて、これは
高付加価値の知恵というよりは、恵まれた資
源によるものであり、他の国が最も真似でき
ない部分で、モノカルチャー・単一商品輸出
の途上国との違いとして、農産物や単純な鉱
物資源しか輸出できない途上国は、価格の決
定権を先進国やグローバル市場に握られてい
るため、コスト競争・買い叩きの波にまとも
に晒され、北欧のように、自ら付加価値をつ
けて高く売る構造に転換するための資本も教
育インフラもないため、北欧モデルへの移行
は極めて困難で、そして最大の壁として、社
会の成熟度と汚職・賄賂の壁があり、北欧モ
デルが成り立つ最大の前提は、国民が政府や
官僚機構を百%信頼していることで、北欧諸
国は、国際NGO、トランスペアレンシー・
インターナショナルによる世界腐敗認識指数
で、常に最も汚職が少ない国、世界トップを
独占していて、所得の半分近くを税金として
納める高負担であっても国民が暴動を起こさ
ないのは、払った税金が、教育・医療・福祉
として確実に自分や社会に還元され、官僚や
政治家に盗まれない、という強固な信頼関係
があるからで、もし汚職や賄賂が常態化して
いる国で、北欧を真似して大増税し、大きな
政府を作ろうとすれば、集まった税金は官僚
の懐や利権構造に消え、国民には還元されず、
結果として、経済は破綻し、国民の困窮と不
信感だけが募ることになり、社会の成熟度・
ガバナンスの質が低い段階での真似は、むし
ろ国家を衰退させるリスクになり、このよう
に、北欧諸国のモデルは、高度な教育が導く
高付加価値産業の確立、歴史的に培われた透
明性の高い政治・行政機構、小国だからこそ
可能な迅速な方向転換、社会的な合意形成の
容易さ、という条件が奇跡的に噛み合った結
果であり、汎用性のある万能の正解とは言え
ず、リベラル勢力が北欧をお手本にしようと
主張する際、こうした前提条件、産業構造の
転換の難しさや、汚職耐性という地盤の重要
性を見落としている、という批判は、経済学
や比較政治学の観点からも的を射ているそう
だが、欧米以外でも、社会主義や共産主義で
はないリベラル、中道左派〜自由主義勢力が
政権を獲得した例は数多くあり、発展途上国
や新興国における左派政権が社会主義・共産
主義に傾倒しがちだったのは、冷戦期のソ連
の影響や、反米・反植民地主義に結びついた
ためで、冷戦終結後は民主主義的なルール・
選挙に則り、私有財産や市場経済を認めつつ
社会保障の充実を目指す、欧米型のリベラル・
社会民主主義政権、中道左派が世界各地で誕
生しているそうで、台湾の民主進歩党・民進
党政権は、社会的自由主義・リベラルを掲げ、
同性婚の法制化など多様性や人権を重視する
政策を展開していて、経済的には市場経済を
ベースにしており、共産主義とは明確に一線
を画していて、韓国の民主党系政権は、保守
派と対峙する進歩・リベラル系の政権で、対
北朝鮮の融和政策や社会保障の拡充、労働者
の権利拡大を掲げているが、社会主義ではな
く資本主義体制の中での改革を目指す勢力で、
ブラジルのルラ政権・労働者党は、かつては
急進的だったが、政権獲得後は市場経済を維
持し、積極的な福祉政策で数千万人の貧困層
を中産階級に押し上げ、国内外の資本からも
信頼を得た、実務的な中道左派、ソーシャル・
リベラルの代表例で、チリのバチェレ政権、
ボリッチ政権は、独裁政権崩壊後のチリでは、
中道左派・リベラル連合として長く政権を担
い、緊縮財政や新自由主義を是正しつつも、
高度なデモクラシーと財政規律を両立させた
北欧型に近い社会民主主義・リベラル路線を
とっているそうで、南アフリカ共和国のアフ
リカ民族会議・ANC系の政権は、かつては
反アパルトヘイト活動家のネルソン・マンデ
ラが率いていたが、アパルトヘイト・人種隔
離政策撤廃後、多民族共生、レイボー・ネー
ションと社会的リベラリズムを掲げて政権を
維持していて、憲法で同性愛の差別禁止を世
界で初めて明記するなど、人権に関しては極
めてリベラルな社会民主主義路線であるそう
で、ソ連崩壊・冷戦終結以降は、中国による
経済援助絡みの影響力拡大もあるが、一般的
な傾向というか、民衆の意向としては、資本
主義の枠組みの中で格差を是正する、という
欧米型のリベラル・中道左派政権が選挙を通
じて支持を得やすいようだが、もちろん経済
が行き詰まれば、右派ポピュリズムや軍事独
裁などの台頭を許すことにもなるわけだ。

https://www.koike-t.org

彼の声 2026.10.2 「政治の部族化とファシズム」

voice-177

 順応主義、宗教、部族主義の3つの概念は、
いずれも人間が社会や集団を形成する上で、
強力な原動力となってきた要素で、これらは
集団の結束を高める一方で、他者への排他性
を生むという共通の二面性を持っていて、順
応主義は周囲の行動や社会の規範に自分の意
見や行動を合わせようとする傾向で、利点は、
多くの人が同じルールやマナーに従うことで、
予測可能性が高まり、社会の摩擦が減り、社
会の安定と秩序をもたらし、また災害時や緊
急事態において、一糸乱れぬ行動や迅速な協
力が可能性になり、効率的な集団行動がもた
らされ、みんなと同じであることで、孤立す
る恐怖や、意思決定に従う不安が和らぎ、個
人の心理的負担が軽減されるが、その一方で、
問題点は、自分で善悪を判断せず、周囲に盲
従することで、個人の創造性や批判的思考が
失われ、思考停止と個性の喪失を招き、少数
派の意見が抑圧され、いじめや排除の論理が
動きやすくなり、過剰な同調圧力が生じ、明
らかに誤った方向であっても、みんなが賛成
しているから、という理由で暴走を止められ
なくなり、時に過激なナショナリズムへの傾
向が強まったりするが、それに対して宗教は、
特定の神聖な存在や教えを信じ、それに基づ
いた世界観や儀礼を共有するシステムで、利
点は、何が善で何が悪かの基準を提示し、社
会全体の犯罪を抑制し、相互扶助を促し、普
遍的な道徳の提供に貢献し、苦難、病気、死
の恐怖に直面した際、人々に意味や希望を与
え、心の平穏をもたらし、精神的な救済と回
復力を人々に与え、人種や国境を超えて、同
じ信仰を持つ人々が深く結びつき、大規模な
支援ネットワークを形成でき、強固なグロー
バルコミュニティが生まれるが、問題点は、
自分たちの信仰こそが絶対の真理だと信じる
ことで、他の信仰や無宗教者を見下したり、
排除したりしやすくなり、絶対主義と排他性
を増長し、古い経典の文言への固執から教条
主義に陥り、新しい科学的事実の受け入れや、
ジェンダー平等の実現などを阻み、社会的進
化や科学との対立をもたらし、政治的・領土
的な対立が宗教的な大義名分、聖戦などと結
びつくことで、紛争が長期化し過激化しやす
くなり、紛争の正当化に宗教が利用され、そ
して部族主義は、自分が所属する血縁・地縁・
現代では政党やファンコミュニティなども含
む特定の集団への強い忠誠心と、それ以外へ
の敵対心を特徴とする傾向で、利点は、仲間
を絶対に裏切らないという強い絆が生まれ、
危機的な状況下でもお互いを命がけで守り合
い、それが究極の帰属意識と生存戦略となり、
内部における信頼関係が非常に厚いため、集
団内での取引や協力が極めてスムーズに行わ
れ、高い社会資本・信頼のネットワークとし
て機能するが、問題点は、自分の部族を過剰
に優遇し、外部の人間を不当に扱う派閥主義
によって、公平な社会の実現を阻み、社会に
身内びいきと分断を生じさせ、彼らが増長す
れば、私たちが損をするという思考に陥りや
すく、妥協や対話が不可能な社会の分断を引
き起こして、ゼロサム思考や敵味方の二元論
が集団内で蔓延し、身内の人間が犯した過ち
を隠蔽したり正当化したりする一方で、敵対
するグループの落ち度は執拗に攻撃する傾向
が顕著になり、客観性の喪失を招き、これら
3つは、人間が数千人、数万人規模の社会を
構築して生き残るためには必要不可欠だった
社会の接着剤だが、しかし、それらが過剰に
なり自動化されると、現代の多様な人々が共
生する社会においては、分断と抑圧のツール
へと変貌してしまい、現代社会においては、
これらの利点を活かしつつ、いかに客観性と
個人の自由を保つかが課題となっているそう
だが、中でも部族主義と政党制の関係は、現
代の政治学において、政治の部族化として非
常に重視されているテーマだそうで、本来、
政党制は政策や理念に基づいて有権者が選択
を行うシステムとしてデザインされているが、
しかし、部族主義に結びつくと、政党が単な
る政策の提示者ではなく、アイデンティティ
をかけた敵・味方の集団へと変貌し、この両
者の関係性とそれによって生じる影響を、以
下の3つの側面から解説すると、1つ目の側
面は、政策論争からアイデンティティの対立
への変質で、部族主義が政党制に侵入すると、
投票行動の本質が変化し、何を成し遂げるか
から誰が勝つかへと変質し、有権者は政党の
経済政策や外交リスクを客観的に評価しなく
なり、自分の属する部族・政党が勝ち、敵の
部族・対立政党を打ち負かすことそのものが
目的化し、信条のパッケージ化が起こり、本
来、個人の意見は、経済は保守だが、社会政
策はリベラルのように、多様なはずだが、し
かし、部族化された政党制では、この党を支
持するなら、このテーマもあのテーマもすべ
て相手側を否定しなければならない、という
同調圧力が働き、2つ目の側面は、感情的極
性化の加速で、現代の政党制、特に二大政党
制において部族主義は、感情的極性化を明確
に引き起こし、相手政党を単なる意見の異な
る競争相手ではなく、社会を破滅に導く敵・
悪とみなすようになり、セロサムゲーム思考
に囚われ、政治における妥協は民主主義の根
幹だが、部族主義的な支持者の前で相手党と
妥協することは裏切りを意味するため、議会
の機能不全を招きやすくなり、3つ目の傾向
は、メディアとSNSによる増幅構造で、政
党の部族化は、現代のテクノロジーやメディ
ア環境と強力なシナジー・相乗効果を生んで
いて、SNSのアルゴリズムは、ユーザーが
心地よいと感じる情報だけをタイムラインに
流し、これにより、自分たちは常に正しく、
敵は常に愚かだ、という部族意識が強化され、
エコーチェンバー現象に意識が囚われ、相手
政党を皮肉ったり、スキャンダルを叩いたり
するコンテンツが、部族内の絆を深める儀式
として消費され、敵への攻撃の娯楽化が促進
され、例えば、アメリカ合衆国は、民主党と
共和党の二大政党制が完全に部族化している
典型例で、支持政党が、住む場所、見るメデ
ィア、乗る車、信仰する宗教と強固に結びつ
き、相手党の支持者との結婚を嫌う割合が激
増していて、またケニアなどのアフリカ諸国
では、植民地時代に引かれた国境線の中に複
数の実際の民族・部族が共存していて、政党
が特定の民族・部族の利益代表となりやすい
ため、選挙のたびに民族・部族間の利権争い
となり、時に大規模な暴動に発展したりして、
さらに欧州では、労働者対資本家などの伝統
的な階級政党が衰退する一方で、移民問題な
どを軸とした、自国民のアイデンティティを
強調する右派ポピュリズム対多様性や国際協
調を強調するリベラルという新たな部族主義
的対立が多党制の中で先鋭化していて、本来
の民主主義は、間違っていたら軌道修正でき
るという柔軟性がメリットであったが、しか
し、政党制が部族主義化すると、有権者は、
自分の部族が間違うはずがない、敵の言うこ
とはすべて嘘だ、と信じ込むため、政治の自
浄作用や客観的な検証機能が完全に失われ、
思想信条の面から事態を見るなら、以上のよ
うな考え方がもっともらしく感じられるとこ
ろだが、その一方で、政治と産業の結びつき
を考慮に入れるなら、それとは少し違った面
も見えてきて、IT・AI革命以前では、鉄
鋼業や石油産業、あるいは化学や機械といっ
た重化学工業の発展とファシズムの台頭・深
化の間には、極めて強力な相互依存の並行関
係があり、歴史家ダニエル・ゲランの古典的
名著『ファシズムと大資本』をはじめとする
政治経済学的分析では、ファシズムとは、重
工業セクターの利益を最優先するために、国
家権力を動員したシステムである、とさえ指
摘されていて、この両者がどのように並行し、
結びついていったのか、そのメカニズムを4
つの構造から解説すると、1つ目の構造は、
重工業界からの要請による労働運動の弾圧で、
1920〜1930年代、重工業は莫大な設
備投資と多くの労働者を必要とする産業であ
ったが、しかし、世界恐慌や戦後の不況によ
り、労働運動や社会主義革命の機運が高まり、
ストライキが頻発し、工場が占拠され、利益
が圧迫されることを恐れた鉄鋼・機械などの
大工業家たちは、強力な力で左派や労働組合
を叩き潰してくれる政治勢力を求め、実際に
ムッソリーニやヒトラーが政権を握ると、独
立した労働組合を即座に解散・禁止し、これ
により重工業界は、ストライキに怯えること
なく、国家の統制下で労働力を最大限に搾取・
動員できる環境を手に入れ、2つ目の構造は、
軍備拡張という巨大な市場の創出で、鉄鋼業
や石油産業がさらに発展するためには、生産
した製品を大量に消費してくれる巨大な買い
手が必要であって、ファシズム政権は、国民
の消費生活、軽工業や農業を犠牲にしてでも、
軍備拡張・再軍備や巨大な公共インフラ開発
へと国家財政を集中させ、ドイツのクルップ
(鉄鋼・兵器)やイタリアのアンサルド(造
船・重機械)、日本の三菱重工などは、軍艦、
戦車、航空機などの大量発注を受け、ファシ
ズムと軍事化と並行して空前の規模へと急成
長を遂げ、3つ目の構造は、自給自足・自閉
的経済への傾斜と資源確保の欲望で、ファシ
ズム国家の多くは、外国への経済依存を嫌い、
国内で経済を完結させる自給自足・国家自給
圏を掲げ、資源の乏しいドイツやイタリアに
とって、近代戦に不可欠な石油の確保は死活
問題で、ドイツの化学トラストであるIG・
ファルベンは、石炭から人工的に人造石油や
合成ゴムを製造する技術を開発し、ナチスか
ら巨額の補助金を得て発展し、イタリアも国
営石油会社を設立して石油開発を急ぎ、国内
での自給に限界が来ると、鉄鉱石や石油、石
炭が眠る領土を武力で奪うというファシズム
の侵略政策、ナチスの生存圏、日本の大東亜
共栄圏などへとシフトし、重工業界は、この
侵略によって得られる新たな資源や市場を求
め、政権の戦争遂行を全面的に支え、4つ目
の構造は、国家・企業パートナーシップ、コ
ーポラティズムで、ファシズムは共産主義の
ように、企業の私有財産を没収して完全国営
化はしない代わりに、私有財産を認めつつも、
国家の計画に従わせる国家と大企業の独占的
パートナーシップ、コーポラティズムを形成
し、国家は中小企業を整理統合し、重工業を
中心とする少数の巨大独占企業、ドイツのコ
ンツェルン、日本の財閥に権益を集中させ、
これにより、企業は国家の強力な保護のもと
で効率的に発展し、国家はそれらの企業を通
じて経済全体を完全にコントロールし、かつ
てマルクス主義的な歴史観では、大工業・資
本家が裏でファシズムを操り、台頭させたと
言われていたが、近年の歴史研究では、台頭
期には重工業界も必ずしもヒトラーらを全面
的に資金援助していたわけではなく、政権を
握った後に、お互いの利害が一致して急速に
癒着し並行発展していったという、より相互
的・日和見的な関係であったことが明らかに
なっていて、この国家の軍事化・自給自足化
と重工業の巨大化のサイクルは、最終的にコ
ントロールを失い、破滅的な世界大戦へと突
き進むことになるが、それに対して、現代の
IT・AI産業の発展と、ネット右派あるい
はオルタナ右翼、ネット右翼などに象徴され
るマイルドファシズムあるいは新右翼・ポピ
ュリズムの平行関係は、21世紀の政治・経
済学において最もホットかつ危機感を持って
議論されるテーマだそうで、戦前の重工業が
物理的な暴力と領土拡大のためのファシズム
と結びついたのに対し、現代のIT・AI産
業はデータ、アルゴリズム、認知の支配を通
じて、新たな形での排他主義や権威主義、マ
イルドファシズムと強力な並行・相互依存関
係を築いていて、この両者がどのように結び
ついているのか、4つの構造的側面から解説
すると、1つ目の構造的側面は、関心経済、
アテンション・エコノミーと部族主義のマネ
タイズで、メタ、X、グーグルなど、ビック
テックのビジネスモデルの本質は、ユーザー
の潜在時間、関心を最大化して広告収入を得
ることで、人間が最も長くエンゲージ・反応
するのは、ポジティブな情報ではなく、怒り、
恐怖、敵への嫌悪感といった感情で、AIア
ルゴリズムは、ユーザーをプラットフォーム
に繋ぎ止めるために、ネット右派的な敵とみ
なすリベラル、マイノリティ、既得権益、外
国などを攻撃するコンテンツを優先的にイン
マニ、拡散させ、IT企業のアルゴリズムは
政治思想を持っているわけではないが、しか
し、分析やエコーチェンバーを煽るほど儲か
る、という経済的インセンティブが、結果と
してマイルドファシズム的なネット右派勢力
を巨大化させる土壌をシステム的に提供・平
行発展させていて、2つ目の構造的側面は、
シリコンバレーの思想的変質、テクノ・リバ
タリアニズムから暗黒啓蒙へで、かつてIT
産業は、民主主義と自由を広げるリベラルな
ものとされていたが、近年のトップ経営者や
投資家の思想は急速に変化していて、イーロ
ン・マスクやピーター・ティールといったI
T界の巨頭たちは、効率の悪い民主主義的な
合意形成や政府の規制、多様性・公平性・包
括性、環境規制などを激しく嫌悪していて、
彼らの一部は、テクノロジーの進化を最大化
するためには、強力は一人のリーダー、CE
Oのような独裁者が国家を統制すべきだ、と
いう思想、暗黒啓蒙などに傾倒していて、こ
の反リベラル・反民主主義のトップ思想が、
草の根のネット右派が掲げる、強いリーダー
シップへの渇望、リベラルエリートへの敵意
と完全に共鳴していて、3つ目の構造的側面
は、AI生成コンテンツによる認知のジャッ
クとポピュリズムで、LLMや画像・動画生
成AIなどの生成AIの爆発的普及は、マイ
ルドファシズム的な世論誘導のコストを劇的
に下げ、大量のアカウント・ボットと生成A
Iを組み合わせることで、特定の移民排斥や
陰謀論、敵対勢力を貶めるディープフェイク
を自動で24時間拡散できるようになり、何
が本当で何が嘘かわからない状態、情報環境
の汚染が作られると、人々は疲弊し、客観的
な事実ではなく、自分が信じたい物語=ネッ
ト右派が提示する強い身内意識にすがりつく
ようになり、これはまさに、戦前のファシズ
ムがプロパガンダで行なったことを、AIが
自動かつマイルド・日常的に行なっている状
態で、4つ目の構造的側面は、監視資本主義
とデジタル統制のインフラで、IT企業が開
発した高度なユーザー追跡・プロファイリン
グ技術は、国家や政治勢力が国民を監視・誘
導するための最高のツールになり、ユーザー
の検索履歴やAIとの対話データから、どの
ような恐怖や不安を抱えているかを分析し、
その人が最も右傾化しやすいピンポイントの
政治広告やフェイクニュースを届けることが
でき、安全保障やテロ対策、サイバー戦の名
のもとに、パランティア社などのデータ分析
IT・AI企業は国家の防衛・警察機構と巨
額の契約を結んでいて、これは戦前の重工業、
クルップ等が軍需産業として国家と癒着した
構図の、現代版・データ版と言えるそうで、
現在のIT・AI産業とマイルドファシズム
の関係は、企業が意図的に右派を育てたとい
うより、IT産業の収益モデルと技術的特性・
アルゴリズムが、人間の部族主義や排他性を
刺激するのに最適だったため、ネット右派と
いう政治勢力と奇妙な並行進化を遂げてしま
ったというが正確な構図で、物理的な暴力は
見えにくいため、マイルドと呼ばれるが、人
人の脳や認知・情報空間をハッキングし、民
主主義を根底から機能不全にするという意味
では、戦前の重工業とファシズムの並行関係
以上の深刻な影響を及ぼしているとも言える
そうだ。

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彼の声 2026.10.1 「ネット右派問題」

voice-177

 今、日本も含めて世界的にネット右派問題
というのが結構流行っているらしく、それと
対になってリベラル批判というのも、だいぶ
紋切り型的な提示のされ方がされているらし
いのだが、それに関して、リベラルはきれい
ごとしか言わない、というありふれた評価や、
ネット右派による批判の背景に、政治的な思
想の対立だけでなく、実質的な経済問題、格
差や生活の不満が深く絡んでいるという指摘
が、政治学や社会学の議論では多くなされて
いるそうだが、この現象は、国内外の社会・
経済構造の変化から、以下のように分析され
ることが多いそうで、ネット右派の支持層と
経済的な背景に関して、多くの社会学的調査、
例えば、社会学者の辻大介氏らの研究などに
よると、日本のネット右派、あるいはネット
右翼的傾向を持つ層は、必ずしも社会の最貧
困層ではなく、中流の下、ロワーミドルや自
営業、中小企業の労働者、あるいは非正規雇
用を含む、将来への経済的不安を強く抱える
層に多いと指摘されていて、彼らは、バブル
崩壊以降の失われた30年の中で、実質賃金
が上がらず、社会保障費の負担が増えるなど、
経済的な地盤沈下を直に経験していて、そん
な背景から、きれいごとが既得権益に見える
構図が生じ、リベラル勢力や左派が主張する、
ジェンダー平等、外国人などの人権の擁護、
多様性の尊重、LGBTQ+などは、人権論
として正当なものだが、しかし、生活の余裕
を失った層から見ると、以下のような認知の
歪みや反発、バックラッシュを生むことがあ
るそうで、まずは優先順位の乖離で、明日の
生活や自分の雇用すら危ういのに、なぜ身近
ではないマイノリティの権利ばかりを最優先
するのかという不満があり、そして偽善、き
れいごとへの反発として、ネット右派から見
ると、リベラルな主張をする層、大企業のホ
ワイトカラー、公務員、学者、メディア関係
者などは、比較的経済的に恵まれた、安全な
場所にいる人々と映り、そのため、彼らの主
張が、痛みを伴わない高みの見物、きれいご
とに見え、一種のエリート特権に対する反感、
ポピュリズム的性質へと変換され、それが、
マジョリティの逆差別感という経済問題を生
じさせ、リベラルが生活困窮者やマイノリテ
ィの分配を訴えるとき、ネット右派層はそれ
を、自分たちの取り分が減らされ、努力して
いないと彼らがみなす他者に流れていると捉
えがちで、努力が報われないという不満に結
びつき、過酷な労働環境で耐えている自分た
ちへの支援はなく、福祉や人権の枠組みで保
護されている人々ばかりが優遇されていると
いう逆差別感を生み、これは、限られた経済
的資源を奪い合うという、極めてリアルな経
済問題から生じる感情で、欧米のラストベル
ト、錆びついた地帯との共通性を連想させ、
この構図は日本特有ではなく、世界的な現象
で、アメリカのトランプ支持者、白人労働者
層や、欧州の右派ポピュリズム支持層も同様
で、かつて労働者の味方だった民主党や左派
政党が、経済のグローバル化や文化的リベラ
ル、アイデンティティ・ポリティクスに傾倒
した結果、経済的に取り残された伝統的な労
働者層が右傾化し、リベラルをエリートのき
れいごとと批判するようになったという文脈
と完全に一致しているそうで、リベラルはき
れいごとしか言わない、という言説は、単な
る言葉の好みの問題ではなく、経済的な閉塞
感や格差に対する不満が、文化的一致点やア
イデンティティの対立、政治的主張に形を変
えて噴出している側面が非常に強いと言える
そうで、言葉の裏には、自分たちの苦境を見
てくれという切実な経済的動機が隠されてい
るケースが少なくないそうだが、リベラル政
権の経済政策がうまくいかないことが、右派
ポピュリズムの台頭を招いていることは確か
だが、右派政権になっても必ずしもうまくい
くわけでもないだろうが、とりあえず経済発
展の幻想を抱けるという現状を考えるなら、
まさに経済発展あるいは復活への幻想や期待
感を抱かせること自体が、右派ポピュリズム
や右派政権の強力な支持基盤になっているそ
うで、右派政権の経済政策が必ずしも成功す
るわけではないにもかかわらず、なぜ有権者
が幻想を抱き、支持が集まるのかについては、
政治経済学や社会心理学の観点から以下のよ
うに分析されているそうで、まずはシンプル
で力強い物語、ナラティブの提示によって、
リベラルや左派の経済政策は、富の再分配、
格差是正、セーフティネットの拡充、増税に
よる財政再建など、地味で、負担を伴い、か
つ複雑な議論になりがちだが、一方で右派ポ
ピュリズムは、有権者に分かりやすい力強い
成長の物語を提示し、かつての偉大な姿を取
り戻すという主張は、トランプ氏の、メイク・
アメリカ・グレート・アゲイン、や、アベノ
ミクスの、日本を取り戻す、のように、過去
の成功体験に結びついた、直感的にワクワク
できる幻想、ノスタルジーを提供し、敵を明
確化して、経済が停滞しているのは、既得権
益に結びついたエリートや官僚や、不当に利
益を得ている国あるいは移民のせいだ、とい
うシンプルな構造を作り、それを打破すれば
経済が良くなるという幻想と共に、痛みを伴
う分配より経済成長の果実の分配へと期待を
抱かせ、リベラルが言う分配は、どうしても
持てる者、中流以上から持たざる者へという
税の移転を連想させ、中流層や労働者層に、
自分たちが損をするのではないか、という警
戒感を生むのに対して、右派は規制緩和、減
税、自国第一主義的な投資によって経済全体
の規模を大きくする、成長させるという言い
切り、経済規模が大きくなれば、あなたの生
活も良くなる、というトリクルダウンの幻想
を伴った説明の方が、有権者にとっては耳触
りが良く、希望を持ちやすくなり、一時的な
カンフル剤による演出として、右派政権が実
際に経済を構造改革できなくても、株価の引
き上げや、一時的な大型減税、財政出動、国
債発行などといった、目に見えやすい短期的
な成果を出すことは得意で、株価やマクロ指
標の連動によって、実際に生活実感が伴って
いなくても、株価が上がっている、円安で大
企業が儲かっている、というニュースが連日
流れると、社会全体に経済が上向いているよ
うな空気感・幻想が醸成され、人間は不確実
な未来に怯えるより、たとえ根拠が薄くても
前進している感覚を強く求めるが、実際には
右派政権の経済政策が長期的にはうまくいか
ない理由は、規制緩和や減税は、結果として
富裕層や大企業をさらに富ませ、皮肉にも彼
らを支持したはずのロワーミドル・労働者層
をさらに困窮される結果に結びつき、格差の
さらなる拡大を招き、自国第一の関税政策な
どは、一時的に国内産業を守るように見えて
も、輸入物価の高騰や他国からの報復関税を
招き、最終的には国民経済を疲弊させ、有権
者は、右派政権の具体的な政策の緻密さを支
持しているというより、彼らが提供する、こ
こから抜け出せるかもしれないという希望・
幻想や力強さに一票を投じていて、現実の経
済が停滞し、未来への不安が強い社会ほど、
正しいが暗い話をするリベラルよりも、根拠
は薄くても明るい話をする右派にすがりたく
なるという心理的なダイナミズムが働いてい
ると言えるそうだが、実際にアベノミクスが
もたらした期待感と、現在の日本経済の現実
を検証してみると、2012年末からのアベ
ノミクスは、それまでのデフレによる閉塞感
を打破する強力な期待感を演出することに成
功したが、その後の現実には大きな課題が残
され、もたらされた期待感と初期の成果は、
異次元の金融緩和、機動的な財政政策、民間
投資を喚起する成長戦略の3本の矢を掲げ、
日本経済は必ず復活する、という強力なアナ
ウンスメント効果を生んだ結果として、大幅
な円安・株高が進み、企業業績の改善や雇用
者数の増加、特に女性や高齢者の就労拡大な
ど、マクロ指標の上では、戦後最長級の景気
拡大という空気感を醸成したが、現在の日本
経済の現実は、一方で、アベノミクスが前提
とした、企業が儲かれば賃金が上がり、消費
が増えるというトリクルダウンは限定的で、
企業の利益は内部留保、現預金に回り、実質
賃金は長年低迷を続け、その結果、潜在成長
率の引き上げ、構造改革が進まないまま、異
次元緩和による財政ファイナンス、国債の大
量買い入れのツケが残り、近年の世界的なイ
ンフレ局面において、悪い円安や実質賃金の
さらなる目減りという形で国民生活に跳ね返
るという厳しい現実に直面しているそうだが、
それに対して欧米のトランプ政権や欧州右派
が掲げた経済公約の実際の成否は、欧米の右
派ポピュリズム政権・勢力も、自国第一主義
による経済復活の幻想を掲げたが、その結果
は複雑なものとなっているそうで、米トラン
プ政権においては、第1期トランプ政権は、
大規模な法人税・所得税の減税や、環境・金
融規制の緩和を断行し、これは一時的に米国
内の投資を刺激し、株高や低い失業率を実現
して支持層を熱狂させたが、しかし同時に、
中国や同盟国に対する高関税・保護主義はサ
プライチェーンを混乱させ、製造業の雇用を
米国内に劇的に連れ戻すまでは至らず、結果
として、財政赤字の大幅な拡大と国内の経済
的分断・格差の固定化を招いたと指摘されて
いるそうだが、また欧州右派の変遷は、イタ
リアのメロー二政権やフランスの国民連合な
どの右派勢力は、当初ユーロ離脱や過激な保
護主義を掲げて財政的な不満層の支持を集め
たが、しかし、実際に政権に就いたり、ある
いは現実的な権力に近づくにつれ、過激な公
約は市場の信用失墜、国債暴落などを招くた
め、現実的なマクロ経済路線、EU強調、財
政規律の一定の維持への修正を余儀なくされ
ていて、結局、右派であってもグローバル経
済の構造から完全に離脱することはできない
という現実を示していて、それに対して、リ
ベラル側が提示すべきオルタナティブな、も
う一つの選択肢となるべき、経済成長の模索
としては、右派が提示する経済規模を大きく
すれば全員が潤う、という幻想に対抗するた
め、リベラル側は、格差の是正自体が、持続
可能な成長を生むという新しい成長論、オル
タナティブを提唱し始めているそうで、右派
ポピュリズムの経済論・幻想が、成長の原動
力として、規制緩和、減税、投資の呼び込み、
自国産業の保護で、分配のアプローチが、ト
リクルダウン、成長の果実が滴り落ちるのを
待ち、産業・環境方針が、伝統産業の保護、
環境規制の緩和、エネルギーコスト削減で、
社会保障の位置づけが、財政の無駄、依存を
生むものとして抑制的であるのに対して、リ
ベラルのオルタナティブ経済論・現実路線は、
成長の原動力が、人への投資、教育、リスキ
リング、現役世代への支援で、分配のアプロ
ーチが、プレディストリビューション、賃金
引き上げ、中間層の再生、産業・環境方針が、
グリーン・ニューディール、脱炭素投資によ
る新たな雇用創出で、社会保障の位置づけが、
社会的共通資本、医療・ケア・教育の充実に
よる将来不安の解消だそうで、人から始まる
経済循環として、リベラル側が提唱するのは、
富裕層をさらに富ませるのではなく、社会の
土台である中間層・困窮層の底上げ、ボトム
アップこそが消費を活性化させ、健全な経済
成長をもたらすという理論で、育児や教育の
無償化、非正規雇用の処遇改善は、単なる福
祉、施しではなく、将来の労働生産性を高め
るための不可欠な経済投資であると位置づけ
直すことが核心となり、このように比較する
と、右派が過去の栄光への回帰というエモー
ショナルな物語で惹きつけるのに対し、リベ
ラルは将来の安心と構造の安定という持続可
能性を訴える構図が見えてくるそうだが、自
分としてはこれらの見解は、現在進行形の世
界の変化からズレているような気がするわけ
で、もう少し考える猶予がほしいし、AI革
命のさらなる進展を待ってから、時期が来た
ら自分の考えをまとめてみたいと思っている
のだが、この先どうなるにしても、言葉で説
明してもっともらしく感じられるような成り
行きではなく、たぶんリベラル的な主義主張
や価値観からしたら断じて受け入れられない
だろうが、否応なくそうなってしまうような
成り行きになるのではないかと予想したくな
るわけだ。

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彼の声 2026,9,30 「万能ではない偏った見解」

voice-176

 人は言葉や行動に対して万能な存在ではな
く、別に万能でなくても構わないのだが、そ
の人の言動が何かしら制約を課されていると
考えるなら、何によって制約を課されている
のかといえば、その人を取り巻く環境や他の
人や物や情報との関係性によってだろうが、
それを把握するためにその人に関する情報を
取り集めて分析し、そこから何を推測してみ
ても、必然的にそう言える面以外では偶然に
そうなっている面も否定できないが、それを
人から社会へと範囲を広げてみれば、何かし
ら確からしい関係や成り行きに沿って事態が
動いていくのではないかと想像でき、その人
が囚われている特定の成り行きの中でその人
が視野狭窄に陥る原因には、その人に特有の
こだわりや思い込みに起因する何かが関与し
ているように感じられるが、それと同時にそ
の人と似たような境遇や立場にある他の人々
もその人と同じようなこだわりや思い込みに
囚われているとしたら、やはりその人個人の
問題ではなく、社会的な傾向からそれが生じ
ていると考えるしかないが、そこでその人が
何かを語ろうとする際に、その人の思考の型
枠にその対象を押し込めようとして、結果的
にそれを観察しているつもりが、自身のこだ
わりや思い込みを正当化するために対象を利
用したいだけだと感じられる限りで、その人
にとって都合の良い面ばかりを強調するよう
な事態に陥っていて、その人を現にそんなふ
うに存在させている世の中の制度や社会の仕
組みが、その人が囚われているこだわりや思
い込みを生じさせているのではないかと推測
したくなるが、例えば、経済的な文脈で語ら
れる成り行きを政治的な文脈で語ろうとする
際に生じてくる齟齬とは何なのかというと、
経済的な文脈における市場原理や自動調整メ
カニズムなどの成り行きを政治的な文脈にそ
のまま持ち込もうとすると、前提とする目的、
時間軸、責任の所在の3つの決定的な違いに
より、様々な齟齬、ズレや摩擦が生じてくる
そうで、主な齟齬の本質を以下の3つの視点
に整理すると、1つ目の視点は、合理性と正
当性の齟齬で、経済的な成り行きでは、効率
性や利益の最大化という経済的合理性で人や
物事が動き、市場の自動調整、見えざる手に
よって、勝者と敗者が生まれることは必然の
成り行きとして受け止められるのに対して、
政治の文脈では、公平性や人権、社会の安定
という倫理的・法的な正当性が求められ、政
治において、弱者が切り捨てられる成り行き
を放置することは、統治の正当性や国民から
の信頼、社会契約を失うことを意味し、2つ
目の視点は、事後調整と事前合意の齟齬で、
経済的な成り行きでは、結果オーライの事後
最適の世界で、事前の計画がなくても、価格
変動や需給のバランスによって最終的に需給
が一致すれば、倒産や失業などの経済的なプ
ロセスの痛みはシステムの一部として処理さ
れるのに対して、政治の文脈では、プロセス
と合意の事前決定の世界で、民主主義政治で
は、意思決定のプロセスが透明であり、事前
に合意形成、コンセンサスがなされているか
が重視され、結果的に社会が回っているから、
途中の不満は無視していいという経済的な成
り行きのロジックは、政治的には独裁や強権
政治と批判されかねず、3つ目の視点は、匿
名の主体と明確な責任者の齟齬で、経済の成
り行きでは、不特定多数の消費者や企業の行
動がもたらす匿名の結果で、バブル崩壊や構
造不況が起きても、市場の波という抽象的な
もののせいにされ、特定の誰か一人に全責任
を問うことは困難であるのに対して、政治の
文脈では、責任の明確化、アカウンタビリテ
ィが不可欠で、政治の世界で成り行きでこう
なったという説明は、政策の失敗や統治能力
の放棄、無責任とみなされ、国民は常に、結
果に対するリーダーの作為や不作為の責任を
追及し、このように、経済の自然な流れ、成
り行きを政治に適用しようとすると、政治が
本来果たすべき再分配、弱者救済、秩序の維
持という機能を麻痺させてしまうという根本
的な齟齬が発生するが、経済的な成り行きを
政策のせいにできるかどうか、例えば日本の
失われた30年と呼ばれる経済の低迷期を単
に政策的な失敗に帰するのは微妙なところだ
が、説明できないことはなく、その辺のこん
がらがった関係をどう説明できるかというと、
日本の長期的な経済の低迷を、すべて政策の
失敗、作為・不作為とする見方と、避けては
通れなかった経済の成り行き、構造的要因と
する見方のどちらか一方だけで説明すること
はできないそうで、この2者は独立している
のではなく、経済の成り行き、構造変化に対
して、政治がどのような政策を選択し、ある
いは選択しなかったか、対応の遅れという形
でこんがらがっているからで、この複雑な因
果関係は、以下の3つの階層に分けて整理す
ると、すっきりと説明・理解することができ
るそうだが、1つ目の段階は、経済の成り行
き、政策を超えた巨大な潮流、構造要因で、
まず、政策の成否以前に、日本経済が直面し
た抗えない地殻変動があり、これらは世界的
な潮流であり、一国の政策だけで逆転させる
ことは不可能な成り行きの側面が強いもので、
急激な少子化と生産年齢人口の減少は、国内
市場の縮小と潜在成長率の低下を自動的に引
き起こし、また中国をはじめとする新興国の
工業化により、日本の製造業の優位性が揺ら
ぎ、これは国際分業の成り行きで、そして1
990年代以降の世界的なITシフトに対し、
日本の既存のハードウェア中心、終身雇用、
自前主義などの成功体験が裏目に出て、2つ
目の段階は、政策の失敗、成り行きへの対応
ミスと選択の誤りで、一方で、政策に責任が
ないとは言えず、上記の成り行きに対して、
政府や日銀が取った手が経済をさらに冷え込
ませ、あるいは構造改革を阻んだという政策
的な不作為・誤謬が指摘されていて、90年
代初頭のバブル崩壊時、不良債権処理を先送
りして、銀行の救済を躊躇したことで、経済
の目詰まりが長期化し、1997年の消費税
増税や、その後のマクロ経済政策において、
まだデフレ脱却が不十分な段階で財政再建を
優先し、回復の芽を摘んだという批判があり、
雇用の流動化や産業の代謝、ゾンビ企業の淘
汰を促す政策が、政治的な反発、票田への配
慮から不徹底に終わり、潜在成長率を底上げ
できず、3つ目の段階は、こんがらがった関
係、成り行きと政策の相互作用で、最も重要
なのは、経済の成り行きが政策の選択を縛り、
逆に政策の失敗が最悪の成り行きを固定化し
てしまったというループ、悪循環で、日本が
直面したデフレと少子高齢化の同時進行は、
世界のどの先進国も経験したことのない未知
の現象、成り行きであり、そのため、従来の
経済学の教科書通りの、景気が悪いから利下
げする、財政出動するなどの政策が通用せず、
結果として政策決定者が誤った判断を繰り返
す原因になり、政治が国民の痛みを和らげよ
うとして行なった、中小企業の延命策や、非
正規雇用の拡大による企業のコスト削減容認
などの政策が、結果として賃金が上がらない、
生産性が向上しない、という日本独自の新し
い成り行き、デフレマインドを社会に定着さ
せてしまい、日本の長期低迷は、世界的な経
済の構造的変化・成り行きという荒波の中で、
日本政府という船長が舵取りの判断・政策を
誤り続け、さらに船の構造自体を時代の変化
に合わせてリフォームできなかった結果と説
明できるそうで、すべて政策が悪いとするの
は決定論的すぎるが、すべて時代の成り行き
だから仕方ないとするのは政治のアカウンタ
ビリティ・説明責任の放棄になるそうだが、
ではその後のアベノミクスからコロナ禍以降、
決定的な経済破綻や財政破綻も免れていると
見るなら、批判し出したらキリがないものの、
それを経済的な失敗や政治的な失敗だと断定
したい側からしたら、ちょっと空ぶっている
感を免れないと考えられるが、その辺の現状
をどう捉えられるかというと、アベノミクス
からコロナ禍、そして2026年現在に至る
までの日本経済を振り返ると、大破綻はして
いないという厳然たる事実があり、ハイパー
インフレになる、日本国債が暴落して財政破
綻する、失業者が街に溢れる、といったかつ
ての破滅的な予言はどれも的中しておらず、
そのため、批判派が、大失敗だ、政治の敗北
だ、と声高に叫べば叫ぶほど、雇用が維持さ
れ、企業倒産も抑え込まれた現実との間にギ
ャップが生じ、批判が空ぶっている、あるい
は現実味を欠くように見えるのは、鋭く的を
射た認識だが、この決定的な破綻は免れてい
るが、手放しでは喜べない、という複雑な現
状を、政治と経済の文脈からどう捉えるべき
か、3つの解釈の視点に整理できるそうで、
1つ目は、政治の視点で、大破綻の回避は、
政治・政策の部分的な成功であり、まず、最
悪の事態・破綻を免れたことは、政策が一定
の機能を果たした結果=成功として評価でき、
アベノミクスの大胆な金融緩和や、コロナ禍
での巨額の財政出動、持続化給付金や雇用調
整助成金などは、マクロ経済の即死を防ぐ、
という意味で強力な防波堤になり、もしこれ
らがなければ、大量の倒産と失業による本物
の政治的・社会的危機が起きていた可能性が
高く、その意味で政治は役割を果たしたと言
えるそうで、批判派がどれだけ理論的な問題、
日銀の国債買い占めや財政規律の麻痺を突い
ても、一般国民からすれば、仕事があり、生
活が致命的に壊れていない、という実績の方
が遥かに説得力を持ち、これが、政治決定を
決定的な失敗と断定しきれない最大の防壁に
なっていて、2つ目は、経済の視点で、破綻
の回避とジリ貧・衰退は同義であり、一方で、
経済的な文脈から見ると、破綻しなかったこ
とは必ずしも健全であることを意味せず、経
済学者や実務家が問題視しているのは、急激
な破綻・心不全ではなく、じわじわと体力が
奪われる構造的な衰退・慢性疾患で、財政・
金融政策による強力な救命措置・カンフル剤
が長期化した結果、本来なら退場すべき生産
性の低い企業が生き残り、産業の代謝・イノ
ベーションが止まってしまったという側面が
あり、近年、インフレ・物価高が定着し始め
たものの、それが国内のイノベーションや強
い需要ではなく、主に円安や海外の資源高と
いう外部要因にドライブされたものであるた
め、人々の生活実感・実質賃金は劇的には改
善しておらず、破綻はしていないが、気付け
ば他国に追い抜かれ、豊かさを失っていくと
いう、実感を伴う地盤沈下が続いているそう
で、3つ目は、空振り感の本質で、批判の時
間軸と基準のズレで、なぜ批判が空ぶって見
えるのか、それは、批判する側と現状を肯定
する側の間で、何を基準・ゴールにするか、
という前提がズレているからで、批判派の基
準では、かつての経済大国・日本、持続可能
な財政構造、欧米並みの賃金上昇、といった
理想的な基準から現状を見ていて、そのため、
日銀の歪んだ市場介入や、天文学的な政府債
務の膨張を、いつかツケが回ってくる決定的
な失敗とみなしている一方で、現実の国民・
政府の基準では、現状の生活が維持できるか、
明日失業しないか、というサバイバルの基準
で動いていて、10年後、20年後の財政危
機よりも、今ここにある平穏が優先されるた
め、破綻さえしなければそれは失敗ではない、
むしろ成功であると受け止められ、現在の日
本は、政策による超強力な延命装置によって
破綻という最悪のシナリオを回避し続けてい
るが、その引き換えとして、痛みを伴う根本
治療・構造改革を先送りし、穏やかな衰退を
受け入れている状態と捉えるのが最も実態に
近いと言えるそうだが、大失敗という極端な
断定は現実の安定、破綻していない事実を無
視しており、その手の批判は空ぶるが、かと
いって大成功と呼ぶには未来への活力・成長
性が足りず、この死なない程度に衰退してい
く国という、非常にモヤモヤした平穏こそが、
今私たちが直面しているこんがらがった現状
の本質なのだそうだが、果たしてこれが衰退
なのかどうかも、ちょっと違うような気がす
るわけだ。

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彼の声 2026.9.29 「普通のトランプ」

voice-176

 人間は何に従って生きていると説明できる
か、社会、自然、慣習、法律、制度、システ
ム、機械、その場の偶然など、自らの自由意
志ではないとしたら、何に従っていると考え
られるかというと、人間が従っているものは、
層に分けると整理しやすいそうで、身体と自
然において、逃れにくい層では、生物として
の条件に起因する、空腹、睡眠、老化、痛み、
性欲、死への恐れは、意志に先立って行動を
方向づけ、遺伝と気質に起因する、性格の傾
向や感受性の一部は、生まれた時点でほぼ決
まっていて、環境に起因する、気候、地形、
資源のあり方が、農工・宗教・都市の形を左
右してきて、無意識と心理において、自分の
内面なのに自分で選んでいない層では、感情、
習慣、認知バイアスは、意識が決めたと感じ
る前に判断を偏らせ、神経科学のリベット実
験などは、意識的な決定より前に脳の準備活
動が始まっていることを示唆し、育ち方、言
語、幼少期の経験も、何を欲しいと思うか、
そのものを形作り、慣習・文化・規範におい
て、見えにくい層では、言語は、何を考えら
れるか、どう世界を分けるかを決め、空気を
読む、普通はこうする、といった暗黙のルー
ルは、法律より頻繁に人を動かし、同調圧力、
承認欲求、面子、羞恥心といった他者の視線
への反応も含まれ、ブルデューのハビトゥス
は、社会が身体化されて、自分の好みになる
仕組みを指し、法律・制度・組織において、
明示された層では、法、契約、会社、国家、
通貨といった仕組みが、行動の選択肢そのも
のを設計し、フーコーは、規律や監視が人を
自発的に従う主体に作り替えると論じ、従わ
されているというより、従うことが内面化さ
れている状態で、経済・技術・システムにお
いて、構造の層では、市場のインセンティブ、
労働、貨幣は、個人の意図とは無関係に大き
な流れをつくり、マルクスの言う、人々は自
分の歴史を作るが、選んだ状況の下で作るの
ではない、という指摘に近く、スマホ、アル
ゴリズム、推薦システムは、注意や選択を設
計し、人間が機械を使うと同時に、機械のリ
ズムに人間が合わせてもいて、偶然において、
あらかじめ設計されていない層では、どこで、
誰の子として、いつ生まれたか、誰と出会っ
たか、事故や病気に遭うかなど、これらは本
人が選ぶことはできず、人生の大きな分岐の
多くは、後から振り返ると偶然の産物で、運
の道徳的重要性という議論もあるが、これら
を並べると、人間は自由意志か、外的な力か
の二択ではなく、次のような入れ子の中にい
ると言えるそうで、最も深い前提として、自
然が偶然に作用して、人間の身体や無意識を
もたらし、そして社会から構成される文化や
慣習に囚われながら、さらに制度・経済・技
術によっても操られた上で、最も表層上で意
識的な選択が行われ、この意識的な選択は、
この層の隙間で行われる、比較的小さな調整
だという見方がある一方で、スピノザは、人
間は自分が自由だと思っているが、それは自
分の欲求を意識しながら、その原因を知らな
いからだと述べたが、ただし反論もあり、両
立論は、外的・内的な要因に決定されていて
も、自分の理由に基づいて反省し、行動を修
正できる能力があれば、それを自由と呼べる
と考え、また、これらの従うものは、法と慣
習、欲望と規範など、互いに矛盾することも
多く、その衝突の中で何に重きを置くかを考
える余地が生まれ、つまり、人間は無数のも
のに従わされている一方で、どれに従うかを
部分的に選び直せる存在だ、というのが妥当
な説明かも知れず、例えば、トランプの言動
にはどんな一貫性があるのか、もちろん明確
な一貫性があるとすればだが、その一貫性を
貫けない場合には、どんな妥協を強いられる
のか、その際に彼が従わざるを得ない様々な
何かと、時には従えないから妥協を強いられ
る場面など、彼の言動のパターンをうまく説
明できるかというと、明確な一貫性は、どの
水準で見るかによって、あるとも言えるしな
いとも言えるそうで、一貫している水準での
世界観と行動様式について、具体的な政策や
発言はよく変わるが、その下の型はかなり安
定しており、取引的な世界観においては、国
際関係も同盟も貿易も、勝ち負けのある取引
として捉え、貿易赤字を損失とみなす見方は
1980年代から公言しており、関税への執
着はその延長で、最大要求から始める交渉術
においては、過大な要求や脅しで入り、相手
の反応を見て落とし所を探り、これは『取引
の技術』以来の手法で、勝利宣言の習慣にお
いては、結果がどうであれ勝ったと語り、譲
歩しても、負けたことにはならない語り方を
作り、忠誠の重視と、敵味方の明確化におい
ては、人事も評価も個人的忠誠が基準になり
やすく、批判者は攻撃対象になり、注目の確
保においては、発言や行動の多くは、政策効
果より注目を集めて議題の主導権を握る狙い
を持っていて、支持基盤への訴求においては、
移民制限、既存エリートへの不信、アメリカ
第一などの中核テーマは、2015年頃から
大きく変わっておらず、支持者はこれを一貫
した交渉戦略と見て、批判者は一貫している
のは政策ではなく自己利益と自己像だけだと
見ており、両者が同じ事実から違う結論を出
している点は押さえておく必要があるそうで、
それに対して一貫しない水準での個別の政策
と発言では、対ロシア・ウクライナ、対中関
税の水準、同盟国への態度、特定の人物への
評価などは、短期間で大きく揺れることがあ
り、これは、最初の要求が本気の目標という
より、交渉上の位置どりであることが多いた
めだと説明でき、何に制約され、どこで妥協
するかに関して、最初の会話の層で言えば、
彼の意志は次のような従わざるを得ないもの
にぶつかり、金融市場においては、2025
年4月の大規模関税発表後、国債市場が動揺
すると、上乗せ関税の一時停止に転じ、これ
は制約として最も即効性のあるものの一つで、
裁判所・法制度においては、大統領令や関税
の権限をめぐる訴訟で差止めや制限を受け、
手段の変更や代替法令の探索を迫られ、議会・
与党内の政治力学においては、法案や人事で、
共和党議員の反対や上院の手続きが壁になり、
相手国の対抗手段においては、中国のレアア
ース輸出規制のように、相手が有効な報復手
段を持つ場面では、強硬姿勢の維持が難しく
なり、物価・雇用・世論においては、生活コ
ストへの反応や選挙が、関税や政策の調整圧
力になり、官僚機構の実務能力においては、
人員や専門性の不足、現場の抵抗で、宣言と
実行の間にずれが生じ、支持基盤の内部対立
においては、産業界と孤立主義的な支持層、
強硬派と実利派といった対立の間で、板挟み
になり、物理的・時間的制約においては、任
期、年齢、一日の注意の量なども、実際の行
動範囲を限定し、妥協のパターンとして、妥
協にもある程度の型があり、期限の延長・一
時停止は、撤回ではなく猶予にして、面子を
保ち、例外・適用除外の追加は、原則は維持
したまま、実質を緩め、枠組み合意の発表は、
詳細が詰まっていなくてもディール成立と宣
言し、争点のすり替えは、不利な話題から別
の話題へ注意を移し、責任の外部化は、失敗
や後退は、中央銀行、前政権、外国、裁判官
などの他者の責任として語り、こうした後退
を、結局引くと批判的に見る人もいれば、圧
力をかけて条件を引き出す設計通りの動きと
見る人もいて、どちらの解釈が妥当かは、後
退のたびに何が得られ、何が失われたかを個
別に検証しないと決められないが、全体像と
しての説明において、彼の言動は次のように
整理でき、内面の層では、交渉と勝利への強
い志向、忠誠と対立の二分法といった、安定
した気質・習慣がある一方で、外部要因との
衝突の層では、市場、司法、議会、他国、世
論といった、自分では動かせない制約もあり、
その間で、制約に当たるたびに、内容を変え
ても勝ったという形を保つ調整を迫られ、こ
の説明では、言動の揺れ幅の大部分をうまく
説明できるが、個々の判断が計算された戦略
なのか、その反応なのかは外部から区別しに
くく、そこは推測になるそうだが、つい数日
前の中国との交渉では、第二次世界大戦で当
時の日本のファシズムと戦ったアメリカと中
国の同盟関係について言及して話題を集めた
が、アメリカが中国に対して石炭を輸出する
から、その見返りに中国のレアアースの供給
を約束させるなどと、ご都合主義的な提案を
やっていて、かなり焦っているようにも見受
けられたが、そんな彼の意図や思惑を合理的
に説明できるかというと、まず事実関係を確
認すると、報道されている内容はそれとは少
し違っているそうで、確認できた事実として
は、ホワイトハウスは9月25日、24日の
米中首脳会談の成果をファクトシートで公表
し、石炭は、米国が中国に輸出するというよ
り、中国側が2027年と2028年にそれ
ぞれに最低1千万トンの米国産石炭を買う約
束で、レアアースと石炭との明示的な交換に
はなっておらず、ファクトシートによれば、
両国はレアアースなど重要鉱物のサプライチ
ェーンに関する米国側の懸念への対応を続け
ることで一致したとされていて、別の報道で
は、供給について適切な水準の回復を目指す
ために協議を継続しているという書き方で、
大戦の同盟国という表現については、トラン
プ氏が演説で、共通の利益が両国民を結びつ
け、第二次世界大戦で同盟国にしたと述べた
と報じられ、その他、それぞれに300億ド
ル分の非敏感品目で関税を優遇する方向も合
意され、ホワイトハウス側の発表には、中国
側の発表には含まれていない項目、石炭購入、
レアアース協議などがあり、その逆もあると
されていて、石炭の約束が実際にどこまで拘
束力を持つかは、まだ見えておらず、つまり、
石炭とレアアースの取引は、文章上の合意と
いうより、報道の解釈が作った図式に近い面
があり、これまでの枠組みで整理すると、次
のように読めるそうで、国内向けの成果づく
りとして、石炭の購入は、農産物や石炭産地
といった支持基盤に、買わせたと言える数字
で、中間選挙前に、目に見える勝利を必要と
する動機は明確で、レアアースの実質的な弱
みについては、中国はレアアース加工でほぼ
独占的な地位を持ち、その支配が米国に対す
る影響力になっている分析があり、米国側に
強い代替カードが少ないなら、関税を下げる、
購入を約束させるといった他の分野での成果
で補う設計になりがちで、歴史的な言及の意
味については、大戦の同盟国は、中国が公式
に使う世界反ファシズム戦争の物語と重なり、
習氏が喜ぶ言葉を先に差し出して、協調の雰
囲気を作る典型的な交渉術とも読め、事実と
して米中共闘は実在するが、現在の交渉に持
ち込む文脈は、儀礼的な譲歩でもあり、多正
面の事情としても、イラン戦争や中東の混乱
で石油精製品の供給が不安定な中、トランプ
氏が習氏に精製品の増産を求めたとも報じら
れていて、対中関係を安定させたい実務上の
理由は複数あり、それを焦りと見るべきかと
いうと、焦りに見える材料としては、重要鉱
物で相手に依存していること、成果の数字を
急いで積み上げていること、選挙前という時
期、歴史的な言葉での持ち上げが挙げられる
が、一方で、焦りでは説明しきれない材料と
して、いつもの最大要求から入り、勝利を宣
言する型と整合的で、相手に花を持たせる言
葉も、取引的世界観では追加コストの小さい
譲歩で、また、貿易休戦の延長や関税の一部
引き下げは、両国とも望んでいる面があり、
一方だけ追い込まれている構図ではなく、ク
ロードの見方では、焦りより交渉力の非対称
を自覚した上での、成果の見せ方の調整とし
て説明するのが、証拠に対して過不足が少な
いと思うが、ただし、内心の焦りかどうかは
外部から判定できず、ここは推測だそうで、
また日本にとっての含意は、日本にとっては、
日本のファシズムと戦った同盟国という文脈
に反応する人が多いのも自然で、これが米中
間の外交的修辞にとどまるのか、日本に関わ
る政策、台湾、安保に波及するのかは別問題
で、今のところは前者の色合いが強いように
見えるそうだ。

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彼の声 2026.9.28 「正義の言動を超えて」

voice-176

 何か抗いようのない成り行きに身も心も囚
われながらそうなってしまうような現象があ
るらしく、そうなってしまうことが具体的に
どうなってしまうのかについては、それが小
異を捨てて大同につくことの難しさと言った
ら、例えばリベラル的な正義を掲げる日本の
政治勢力の中で最近起こっている離合集散の
とりとめのなさだと思っておけば、そういう
もんだと思って諦めるしかないが、そんな安
易な例え話を用いれば簡単に言えるようなこ
とを、どうしても良心が邪魔をして言えない
というのも、何か言い訳じみているような気
がしないでもなく、お前に良心などあったの
かと問われると、都合の良い時だけ良心を持
ち出して何をごまかしているのかよくわから
なくなってしまうが、実際に以前から嫌な感
触を覚えていたのに、無理して善意でやって
いたつもりが、向こうにしてみればそんなの
は余計なお世話でしかないのもわかりきった
ことで、そんな自らの欺瞞に耐えきれなくな
っていったんそれをやめてみれば、意外とそ
うでもなかったことに気づくなんて、嘘も休
み休み言えと言われるわけでもないが、どう
見ても一方的に他人の非をあげつらう正義の
立場から、何かもっともらしく感じることを
述べるようなことは、やってはいけないとは
言えないものの、少なくとも自分の性に合わ
ないし、そういうことを専門的にやっている
者たちに対して、こちらが勝手にやましさや
良心の呵責など覚えてみても、多くの人々が
彼らに反感を抱くのもわかるような気がする
だけで、今さら化けの皮が剥がれるどころか、
昔から化けの皮など剥がれていたわけだから、
それもそういうもんでしかなく、その種の厚
かましい使命感が何をもたらしているのかと
いえば、現状のとりとめのない政治情勢がも
たらされているだけで、そんな現状の中で誰
もが暮らしているとしても、別にそれがどう
したわけでもなく、気にしなければそれ済ん
でしまい、そんな偽善者たちの善意の連帯な
ど無視しても、何事もなく日々が過ぎ去るに
任せていられるなら、それに越したことはな
いと思える程度のことなのかも知れず、良心
の呵責など覚えるまでもないことだとはわか
っていても、無理して正義の味方のような心
境になりたいわけでもないのに、勝手にそう
いううざったい方面へと興味や関心が誘導さ
れてしまうからイヤになってしまい、要する
にメディア的な制度に囚われていることを百
も承知で述べていることになるらしく、それ
を制度のせいだと言ってしまうと身もふたも
ないとは思えるものの、そんな制度に囚われ
ながら正義の言動に及んでしまうのをかろう
じて回避しているのだとしたら、それが何を
意味するとも思えないが、たぶん正義の言動
とは違う何かに可能性を見出そうとしている
ようで、それ以前にそもそも正義の言動とは
具体的に何なのかというと、それも簡単に言
えば、不正を憎み、自分が正しいと信じる道
徳やルール、公平性を守るために行う行動や
発言のことで、不条理なことや、決まりに反
する他人の行為を見過ごさず見逃さずに指摘
し暴露し、また困っている人や理不尽な扱い
を受けている人を守る発言や行動を心がけ、
個人的な利益よりも、全体の利益や大義、誠
実さを優先しようとして、そうやって不公平
やルール違反を正し、弱者をかばい、助け、
筋を通すことができる立場が、世の中のどこ
にあるのかと疑念を抱いているわけでもない
のだが、一方で、強すぎる正義感や一方向か
らの正義の言動は、自分が正しいという意識
から、ルールを破った相手を必要以上に非難
してしまうことがあり、立場や視点が変われ
ば正義の定義も異なるため、周囲との衝突や
生きづらさを生む原因になる場合もありそう
だが、たぶん不正を正す、ルールを守らせる
といった直接的・攻撃な正義の言動とは無関
係、あるいはそれとは異なるアプローチがあ
ることは想像に難くないが、広い意味での世
界のあり方や他者への向き合い方という意味
では、非常に深い部分で、正義の根底にある
テーマ、愛やディテールへの配慮につながっ
ている何かがあるらしく、それが、いわゆる
正義の言動とどう違うのか、何やら3つのポ
イントから紐解けるそうだが、1つ目のポイ
ントは、マザーグースの諺がベースの因果関
係で、有名なマザーグース、あるいはベンジ
ャミン・フランクリンらの格言で、一本の釘
がなかったために、をモチーフにしていて、
一本の釘が足りなくて蹄鉄が外れ、蹄鉄がな
くて馬が倒れ、馬がいなくて騎士が倒れ、騎
士がいなくて戦いに負け、戦いに負けて国が
滅びた、という内容には、誰が正しくて誰が
悪か、を裁く正義の要素はなく、どんなに小
さな油断や見落とし、ディテールも、巡り巡
って取り返しのつかない大きな破滅、世界の
喪失につながるというバタフライ効果や因果
応報を示していて、この諺のロジックを、個
人的な人間関係や人類愛の文脈に置き換え、
大きな計画・大望はあったが、ディテールに
悪魔が潜んでいて、最も重要な一つのこと、
つまり自分を愛してくれる人、自分が愛すべ
き人を置き去りにしてしまい、世界を滅ぼす
原因、足りない一本の釘を、正義感ではなく
愛あるいは他者への細やかな配慮と定義でき
るかというと、たぶんできないから現状のと
りとめのなさを招いていて、一見すると社会
派の異議申し立てのように聞こえてしまうだ
ろうが、そこで求められているのは悪を叩く
正義ではなく、私たち一人一人が身近な人や
社会への愛の配慮を忘れたら、世界は崩壊し
てしまう、という内省的な警鐘を彼らが真に
受けるかどうかも、正義が暴走して他者を攻
撃しがちなのに対し、世界を良くするのも悪
くするのも、法律や大義名分ではなく、一人
一人の手元にある小さな愛や配慮、一本の釘
次第である、という、正義の本質をより優し
く、かつシビアに捉え直したと言えるかどう
かも、そんなのも現実に正義の言動に及んで
いる者たちには理解しようがないことかも知
れないが、それがどう見ても、一本の釘が足
りなくて〜の諺通りに事態が進展しているよ
うに感じられるなら、やはり現状は何か抗い
ようのない成り行きに身も心も囚われながら
そうなってしまうような離合集散の様相を呈
していて、それが結果的に何をもたらそうと
しているのかなんて現時点では誰にもわかり
ようがないことかも知れないが、別にそれで
構わないわけで、正義の言動に及んでいる者
たちが、社会を糾弾をするプロテストソング
の類いを求めているのに、現実の世の中で流
行っているのが何なのかというと、それも誰
の知ったことでもない方面で、たわいない何
かが流行っているだけで、気にとめる必要さ
えない何かだろうが、たとえ一本の釘が足り
なくても、それが探して見つかるようなもの
ではないのかも知れず、見つかったとしても
一本の釘なんて大して重要だとも思えないだ
ろうし、そんなものがなくても誰も深刻に受
け止めないから、そのまま見逃されてしまい、
その代わりに他人の嘘や不正などが見逃され
ようなものなら、非難轟々となりそうで、彼
らにとってはそちらの方が何十倍も重要なの
だろうから、せいぜい為政者の嘘や不正を血
眼になって探し出して、どうだとばかりにそ
れを暴露し、叩いていればいいだろうし、そ
れが彼らが囚われている成り行きなのだから、
他の誰がそれを止める義理も義務もないだろ
うし、しかもそういうところでは、それが彼
らの暴走だなんて思わないどころか、逆にそ
うやって彼らが権力の暴走に歯止めをかける
のを応援しなければならない義理や義務が生
じていると感じるなら、そう感じている者た
ちも、そんな抗いようのない成り行きに身も
心も囚われながらそう感じていることになる
だろうから、一緒になって正義の言動に及ん
でいれば良さそうだが、それが一筋縄ではい
かないとしたら、何かが足りないとは思わな
いだろうが、もちろん一本の釘が足りないだ
なんて、何を言ってるのか意味不明もいいと
ころだが、一本どころか、無数の釘が過剰に
余計に打ち込まれていて、建物の強度が低下
しているなんて、それも何の喩えかもよくわ
からず、喩えになっていない可能性の方が高
そうだが、こう述べて何を回避したいかも、
現状ではよくわからないのだが、足りないそ
れや余計なそれが、重要な何かとは限らない
ところが、彼らの意図や思惑を外れたところ
で事態が進展している証拠となるのかも知れ
ず、だからといって、どうでもいいことにこ
だわれと言いたいわけではなく、絶えずこだ
わっているそれとは違う方面から事態を揺る
がす何かが到来するから、それが到来しても
気づけなかったり、気づいたとしても大して
重要だとも深刻だとも思わないから、普通に
スルーされてしまって、事の重大さや深刻さ
に気づいた時にはもう手遅れになってしまえ
ば、それで済んでしまうわけだが、そこでも
重大でも深刻でもなければそれっきりとなっ
てしまい、後からフーコーみたいな知識人が
指摘するまで忘れ去られてしまっても、それ
でも構わないわけだ。

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彼の声 2026.9.27 「継続は力なり」

voice-176

 一般的には継続は力なりとは言われている
が、何を継続しているのかにもよるだろうが、
惰性で続けているような取り組みに力がみな
ぎっているとも思えないし、しかも脱力感が
かえって無理せず力まずほどほどに取り組め
るから継続を容易にさせている面もありそう
だが、そんな言葉で語られる世の中の状況と、
実際に自分が体験しつつある世の中の実感に
ズレがあるとしたら、メディアを通して語ら
れる世の中の状況の方が嘘っぽく感じられ、
特定の物事を強調する一方で、別の何かを無
視しているように感じられるから、それが意
図してやっているとも思えないにしても、違
和感を感じさせる原因だと簡単に言えるよう
なことはないにしても、そんな疑念と共にそ
こから遠ざかって今に至っているはずだが、
高市とか、彼らが故意に貶めようとしている
と思われる対象自体にも、それ自体もメイン
で語られるような対象でさえないと思われて
しまうわけだから、すでに語られている内容
の中でバランス感覚がおかしいと感じるのだ
が、批判の全てが的外れだとは思えないにし
ても、批判メディアが語る正義の価値観が現
実の世界情勢からズレていると感じられるか
ら、その内容に無理があると感じられ、アメ
リカのトランプ政権も中国の習近平政権も、
ウクライナや中東の紛争に限らず、やってい
ることに正義などなく、ただの利害で動いて
いるようにしか見えないが、そもそもそれら
の政権を批判するメディアが語る正義の価値
観とは何なのかといえば、一般的にリベラル
な国際秩序・自由主義的国際秩序や普遍的価
値と呼ばれる思想に基づいているそうで、そ
れが何となく信用できないわけだが、とりあ
えず欧米や日本の主要メディア側が前提とし
ている主な価値観は、以下の要素に集約され
るそうで、1つ目の要素は、民主主義と基本
的人権の尊重で、国家の権力は法律によって
制限されるべきであり、すべての個人は信教、
言論、報道の自由など、国家に侵されない基
本的な人権を持つという考え方で、習近平政
権の一党独裁や人権抑圧、トランプ政権のメ
ディア攻撃や司法・公的機関への介入が、民
主主義のルールや人権を軽視しているとして
批判の対象となり、2つ目の要素は、国際法
と協調主義・マルチラテラリズム、多国間主
義で、紛争は武力や単独の力、パワー・ポリ
ティクスではなく、国連憲章や国際法、国際
裁判所などの枠組みを通じて平和的に解決さ
れるべきだという原則で、ロシアのウクライ
ナ侵攻や中東の紛争において、国際法違反を
明確に非難しない姿勢や、二国間交渉のみを
重視して多国間協調を軽視する姿勢、トラン
プ氏の自国第一主義などが批判され、3つ目
の要素は、主権の尊重と現状変更の禁止で、
どんな大国であっても、他国の主権や領土を
武力で脅かしてはならないという国際社会の
基本ルールで、米中両国が、自国の経済的・
戦略的利害、覇権争いのために他国の政情や
主権を揺るがすような動きを見せることに対
して、メディアは国際秩序の破壊者として異
議を唱えるのだが、こうしたメディアが掲げ
る正義が、現実の政治においてしばしば二重
基準・ダブルスタンダードになっているとい
う実態があり、例えば、ロシアの国際法違反
には厳しい姿勢をとりながら、中東の紛争に
おける米国や同盟国の行動に対しては批判の
トーンが鈍る、といった矛盾がしばしば指摘
され、メディアがどれだけ理想主義的な正義
を語っても、実際の国際政治は米・中・露な
どの大国による軍事・経済的な利害・リアル
ポリティクスで動いており、メディアの言説
がその現実のパワーゲームを覆い隠すための
道具・プロパガンダに見えることも少なくな
く、結論として、メディアが語る正義とは、
ルールや人権に基づく理想的な国際社会のあ
り方だが、それが現実の各国の利害関係やメ
ディア自身の変節によって、必ずしも公平に
適用されていないというギャップが存在する
そうだが、そんなのは今に始まったことでも
なく、中国やロシアの国営メディアのような
伝え方を彼らが見習うわけでもないのも分か
りきったことだが、継続は力なりという観点
から、政府やメディアの継続的な力の行使に
抗って考えなければならないことが出てきて、
彼らが意図して惑わそうとしているわけでも
なくても、惑わされてしまう現実があるわけ
で、言葉の上では正義に則った行動を呼びか
けながらも、現実には経済的な利害に従った
行動を取らなければならないという事実が、
二重基準の温存に一役買っているというか、
実際にも否応なくそうなってしまうわけだか
ら、そうなって当然なのだろうが、言葉の上
の正義・理念と経済的な利害が衝突したとき、
後者が勝ってしまう、あるいはそうせざるを
得ないというのは、ある種の必然であり、冷
徹な現実で、この構造を政府やメディアの継
続的な力の行使、継続は力なりという観点か
ら分解すると、私たちがなぜ惑わされてしま
うのか、そのメカニズムがより鮮明に見えて
くるそうで、大きく分けて、以下の3つの側
面からこの現実を整理できるそうだが、1つ
目の側面は、正義の言葉という継続的な環境
の力で、政府や主要メディアは、日々人権、
法の支配、国際秩序といった正義の言葉を継
続的に発信し続けていて、これがある種の力
の行使であり、彼らが悪意を持って意図的に
国民を騙そうとしていなくても、私たちは毎
日のようにそのフレームワーク・枠組みの中
でニュースを消費するため、気づかないうち
に、それが世界の普遍的なものさしであると
思い込まされて、惑わされてしまい、長年そ
の正義の物語を内面化しているため、そこか
ら外れた現実、生々しい利害関係を突きつけ
られたとき、認知不協和を起こし、自ら進ん
で見たい現実、正義の物語にすがりついてし
まう側面もあるが、2つ目の側面は、生きる
ための経済利害という不可抗力で、しかし、
一歩社会に出れば、国家も企業も個人も、明
日を生き抜くための経済的利害に従って行動
せざるを得ず、どんなに人権抑圧を行う国や
国際法を無視する国を言葉で非難していても、
その国からの資源、エネルギーや半導体、安
価な労働力がなければ、自国の経済や市民の
生活はたちまち破綻し、ここで、正義のため
に経済を崩壊させるべきだ、と言える政治家
や経営者はまずおらず、結果として、批判は
するが、取引は続けるという行動を取らざる
を得なくなり、3つ目の側面は、二重基準・
ダブルスタンダードの温存と構造化で、この
正義を語る口と利害で動く手足の乖離こそが、
まさに二重基準が温存され、むしろ当然の前
提として機能していく理由で、現実には利害
で動いているからこそ、その後ろめたさや大
義名分を補うために、言葉の上ではより一層
強く正義や理念をアピールする必要が生まれ、
これが継続されることで、社会全体が建前の
正義と本音の利害は違って当たり前という空
気に支配され、そして、この二重基準を指摘
すること自体が、非現実的な理想論として片
付けられてしまうサイクルが完成し、これは
人間の生存本能や社会システムがもたらす構
造的な結果であり、誰か一人の悪人が仕組ん
だものではなく、だからこそ、その継続的な
力に抗って物事の裏側を見続けるには、膨大
な思考のエネルギーが必要になるそうだが、
確かにこれを簡単に二重基準だと指摘できて
も、だからといって、例えば、口先で、パレ
スチナ人々を救え!と叫んでいる人々の論調
を否定できるかというと、それよりは極悪非
道なネタニヤフのイスラエル政府や、それに
手を貸しているトランプを非難する方が理に
適っているというよりは、実際にそう叫ぶこ
とで、多くの人々が人道的な正義のポジショ
ンを得られるわけで、そういった正義の徒の
論理を否定的に見ないことが肝要であるとと
もに、何らかの形で彼らを応援できればと思
っている自分は偽善の徒でもあるわけだが、
それと同時に彼らのことを、ずるい奴らだと
貶したい気持ちもあるわけだが、そういうと
ころで、うまく立ち回ろうとしているわけで
もなく、それはそれ、これはこれとして、お
互いに相容れない何かがあるらしいのだが、
それらを一方的に交通整理して、事の善悪を
割り振ってしまうやり方には賛同できないわ
けだ。

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彼の声 2026.9.26 「株価大暴落の予感から学ぶ」

voice-176

 どうしても現状では多くの人々が近い将来
の株価大暴落を予言したくなるのだろうが、
その根拠が何なのかは、はっきりとはわから
ないが、雰囲気としてそう感じる傾向は何な
のかというと、明確な理論的根拠がないにも
かかわらず、多くの人々が、近い将来に株価
が大暴落すると口にしたくなり、社会全体が
そのような空気感・雰囲気に包まれる背景に
は、人間の心理バイアス、メディアやSNS
のアルゴリズム、そして過去の歴史的経験か
ら生じる不安の増幅が複雑に絡み合っている
そうで、人々が根拠が曖昧なまま暴落を予言
したくなる、あるいはそう感じてしまう主な
雰囲気の正体と心理的傾向は、以下の通りで、
心理的な要因として、なぜそう感じてしまう
のかといえば、株価が史上最高値を更新し続
けたり、上昇トレンドが長引いたりすると、
人間の本能として、こんなに良い状況がずっ
と続くわけがない、上がったものはいつか落
ちる、という平均回帰の心理、高所恐怖症が
働き、明確なバッドニュースがなくても、そ
ろそろ何か悪いことが起きるのではないか、
という漠然とした不安が膨らみやすくなり、
また行動経済学のプロスペクト理論では、人
は利益を得る喜びよりも同額の損失を被る恐
怖の方を約2倍強く感じるとされ、そのため、
市場が好調であるほど、今の利益を失いたく
ない、大損して破滅したくない、という自己
防衛本能が過剰に働き、暴落の予兆ばかりに
目が行くようになり、しかも近年、新NIS
Aの普及などで新しく投資を始めた人が増え
ていて、経験の浅い投資家ほど、日常の小さ
な値動き、例えば数パーセントの下落に対し
ても過剰に、大暴落の始まりではないか、と
結びつけてしまいがちで、またメディアとS
NSの構造的な傾向として、なぜ予言が溢れ
るのかというと、人間はポジティブな情報よ
りも、危機や恐怖を煽るネガティブな情報に
強く反応し、SNSやユーチューブ、ニュー
スメディアでは、株価は順調です、という発
信よりも、〇月に大暴落が来る!、バブル崩
壊カウントダウンといった不安心理を煽るタ
イトルの方が圧倒的にクリック率が高く、再
生回数が増加し、結果として、AIのアルゴ
リズムがそうした恐怖を煽るコンテンツをユ
ーザーのタイムラインに優先的に表示させる
ため、社会全体に暴落の予言ばかりがあふれ
ている、という歪んだ雰囲気が作られ、そし
て投資の世界においては、株価が上がるとい
う予測を外してもそれほど非難されないが、
大暴落が来ると言い続けて、万が一それが的
中した場合、その人物は伝説の投資家や相場
の預言者として一躍脚光を浴びることができ
るそうで、毎年暴落すると言い続けていれば、
数年に一度の調整局面に必ず重なるため、逆
張りで危機を煽ること自体が発信者のビジネ
スやブランディングになりやすいという側面
があり、しかも人々が何となく不穏だと感じ
る背景には、全く根拠がないわけではなく、
以下のような、言語化しにくい、または先行
きが見えないリスクが市場のノイズとして常
に存在していることも影響しているそうで、
雰囲気の背景にある要素として、地政学リス
クや金融政策の転換やAI・ハイテクバブル
への疑念などがあり、実際に今も世界各地で
の紛争や緊張の高まりによる、世界経済への
悪影響の懸念や、これまでの低金利・金融緩
和などのお金が世の中にあふれた状態が終わ
り、金融引き締めに向かうことへの懸念や、
AIへの莫大な投資に対して、本当にそれに
見合う利益が企業にもたらされるのかという、
実体経済との乖離不安などが影響していて、
それらに関して最も警戒すべきなのは、根拠
のない暴落の雰囲気を多くの人々が信じ込み、
実際にちょっとしたきっかけから恐怖に駆ら
れて一斉に保有株を売り急いだ結果、本当に
株価の急落を引き起こしてしまうという、予
言の自己成就という現象で、現代の市場は人
間だけでなく、こうしたSNSの総意・セン
チメントやニュースのキーワードを瞬時に察
知して動く自動取引アルゴリズムも導入され
ているため、実体経済とは無関係に雰囲気だ
けでパニック売りが連鎖しやすい環境になっ
ていて、大暴落を予言したくなる空気感は、
市場のデータに基づいた客観的な事実という
よりも、人間の恐怖心とそれを増幅させるメ
ディア環境が作り出した心理的な蜃気楼であ
る側面が強いと言えるそうだが、そもそも現
在行われている経済活動や投資活動が、度を
越した過剰さや過激さのレベルで行われてい
ることなのか、明確な判断材料があるかとい
うと、主要な5つの明確な判断材料・指標を
解説すると、経済学や金融市場では、一概に、
これが正解、という単一の基準はないが、歴
史的なデータやトレンドと比較することで、
現在の過熱度を測定することができるそうで、
1つ目は、資産価格の割高度合いを測る指標・
バリュエーションで、市場が実体経済とかけ
離れて買われすぎているかを判断する最も代
表的な材料で、バフェット指数・株式市場時
価総額+名目GDPは、一国の株式市場の総
額が、その国の経済規模・GDPに対してど
れだけの大きさかを示す指標で、一般に百%・
1倍前後が適正とされ、これを大幅に上回る
と市場が過熱していると判断され、過剰な投
資活動が行われていることになり、過去のI
Tバブル崩壊前やリーマンショック前にもこ
の数値が急上昇したそうで、CAPEレシオ・
シラーPERは、過去10年間の物価変動調
整後の利益をベースに算出する株価収益率で、
短期的な景気循環の影響を除いた企業の稼ぐ
力と物価を比較し、歴史的な平均値・米国市
場では約17倍を大きく上回り、30倍や4
0倍といった水準に達している場合は、投資
活動が歴史的に見て過激な割高水準にあると
示唆され、2つ目は、債務・借金の拡大ペー
スで、過剰な経済活動の裏には、常に過剰な
レバレッジ・借金が存在し、対GDP比の民
間・政府債務残高は、国際決済銀行・BIS
などが発表する、国や企業、個人がどれだけ
借金しているかの指標で、経済の成長スピー
ドをはるかに超えるペースで債務が増加して
いる場合、それは将来の需要の先食いによる
過剰な経済活動である可能性が高くなり、借
金による無理な投資や消費が行われているサ
インで、3つ目は、金融政策とマネーの総量
で、市場に流動性・お金があふれすぎている
かどうか見るための指標で、マネタリーベー
ス、M2・マネーストックの伸び率は、中央
銀行が供給するお金の量や、世の中に出回っ
ているお金の総量で、経済の実質成長率に対
して、中央銀行の利下げや量的緩和によって
マネーの供給量が急激に増えすぎている時期
は、行き場を失った資金が株などのリスク資
産に流れ込み、投資活動が過激化しやすくな
り、逆に利上げ局面ではこれが急激に収縮し、
4つ目は、投資家の心理と行動・センチメン
トで、市場参加者がどれだけリスクを軽視し
ているかという精神面・行動面の材料で、恐
怖強欲指数・フィアー&グリードインデック
スは、投資家の心理状態を極度の恐怖から極
度の強欲までゼロから百の数値で表したもの
で、数値が極度の強欲に張り付いている期間
が長い場合、投資家がリスクを無視して過激
に買い漁っている過熱状態と判断でき、信用
取引・レバレッジ利用の拡大に伴い、投資家
が自己資金以上のリスクを取るために借りて
いるお金、証拠金残高などの規模で、個人の
信用買い残高などが過去最高水準を更新し続
けている場合、身の丈を超えた過剰な投資活
動が行われている証拠になり、5つ目は、実
体経済の需給ギャップとインフレ率で、投資
だけでなく、普段の経済活動・消費や生産そ
のものが過剰かを測り、GDPギャップ・需
給ギャップは、経済の潜在的な供給能力に対
して、実際の需要がどれだけあるかを示す差
で、需要が供給能力を大きく上回る、プラス
のギャップが続き、それをに伴って激しいイ
ンフレ・物価上昇が起きている場合、経済活
動全体が適正レベルを超えて過熱・オーバー
ヒートしていると判断され、これらの指標は
個別に見るのではなく、実体経済・GDPや
企業利益の成長スピードと金融市場・株価・
債務・マネーの量の拡大スピードの乖離・ズ
レとして総合的に判断され、もし、経済成長
が年数%であるのに対し、株価や債務が年数
十%のペースで膨らみ続けている領域があれ
ば、そこには度を越した過剰さが存在してい
ると判断する明確な材料となるそうだが、確
かに米国の株式市場やAI投資が過熱してい
ることを示す客観的材料は、歴史的に見ても
極めて深刻なレベルで、シグナルとしては真
っ赤に達しているが、しかし、金融の世界に
おいて、近い将来の大暴落を百%の確度で予
言することは不可能で、現在、市場に点灯し
ている大暴落リスクを警告する材料と、逆に、
暴落がすぐには起きない、ドットコムバブル
とは違うとする材料の双方を、2026年現
在の最新データをもとに客観的に整理すると、
まず、大暴落の予言に足る、猛烈な過熱を示
す材料として、過去のあらゆるバブル崩壊前
夜と比較して、現在の米国市場、特にAI・
ハイテク株の割高感は、歴史上2番目の極端
な水準にあるそうで、ウォーレン・バフェッ
ト氏が二百%に近づけば火遊び・極めて危険
と警告した米国のバフェット指数は、202
6年現在236%に達していて、実体経済の
成長を完全に無視して株価だけが膨張してい
る明確な証拠であり、また過去10年間の実
質利益をベースにしたシラーPERは41倍
を超えていて、これは150年以上の米国株の歴
史の中で、1999年のITバブル崩壊直前
の約44倍に次ぐ史上2番目の高水準で、1
929年の世界恐慌直前の約33倍すらはる
かに上回っていて、現在の株価上昇はS&P
500全体ではなく、マグニフィセント7や
エヌビディアなどのAI関連の超大型株数社
が牽引する極度に歪んだ市場構造で、大手ハ
イテク企業・ハイパースケーラーはAI向け
に巨額の資本支出・設備投資を続けているが、
市場ではこれほど巨額のAI投資に見合う最
終的な利益・リターンを本当に回収できるか?
という不確実性が急速に高まっているが、一
方で、大暴落はすぐには起きないとする反証
材料として、これだけ危険信号が出ているに
もかかわらず、市場が崩壊せず上昇を続けら
れている背景には、1999年ITバブル時
とは異なる強固な防壁が存在し、企業の財務
健全性が、1999年ITバブル時には、赤
字のドットコム企業がアイデアだけで買われ
ていて、資金調達の源泉も、過剰な借金によ
る無謀なレバレッジで、企業のグローバル化
も、米国内の経済規模に依存していたのに対
して、現在の2026年AIブームにおいて
は、企業の財務健全性は、巨大テック企業が
莫大な現生利益を元手にAI投資を行なって
いて、資金調達の源泉も、基本的には自社の
豊富なキャッシュフローで賄われていて、企
業のグローバル化も、米国GDPに含まれな
い海外利益の割合が大幅に増加していて、つ
まり、現在のAI投資は実体のないバブルで
はなく、稼ぎすぎた企業の資金の使い道であ
るため、利益が出ているうちは一気に連鎖倒
産するような急激な崩壊には至りにくいとい
う見方があるそうで、現在の材料から言える
ことは、大暴落の火薬は十分に充填されてい
るが、いつ着火するかは誰にも分からないと
いうことであり、歴史が示す通り、バブル的
な市場は割高だからという理由だけでは崩壊
せず、限界まで膨らみ続け、今後、近い将来
に市場の調整や大暴落の引き金になり得る具
体的なリスク要因は、主に以下の3点に絞ら
れ、1点目は、ビックテック企業が、AI投
資のトーンダウン・設備投資の縮小を少しで
も示唆した瞬間、ドミノ倒しのようにAIセ
クター全体の株価がリセットされるリスク、
2点目は、原油価格の変動や物流コストの上
昇によりインフレが再燃し、中央銀行が想定
以上の高金利を維持せざるを得なくなった場
合、3点目は、中東情勢やエネルギー危機に
よる、世界的なサプライチェーンの切断、な
どだそうだ。

https://www.koike-t.org

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