この2つの映画の共通点は?
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答えは、いずれもテレビ局グループが出資して製作した作品です。
「海猿」はフジテレビグループの出資作品で、既に興行収入が60億円を突破し、今のところ先行の60億円到達作品である「テルマエ・ロマエ」を超え今年一番のヒット作品になっています。
間もなく「踊る大捜査線」のファイナルが公開されるので、今年のヒット作品ベスト3すべてがフジテレビ・グループの出資作品ということになるかもしれません
視聴率では今一つパッとしないフジテレビですが、映画の実績では断トツです。
一方の「おおかみこどもの雨と雪」は日本テレビグループが出資した作品ですが、地味なアニメ作品ながら既に興行収入は20億円を超え、30億円到達の可能性も出てきました
かつては洋楽を中心に100億円を超える作品が続出した映画業界ですが、昨今は30億円を超えれば中ヒット、50億円を超えれば文句ない大ヒットと呼ばれるようになったようです。
でもこれはあくまでも劇場公開のみの数字で、DVDやレンタルや配信収入はカウントされていません。
映画の楽しみ方が多様化してきた時代だからこそ、必ずしも劇場での売り上げに固執することはないと思うのですが、まだまだ劇場売り上げの比率は圧倒的に高いから「興行収入=ヒットの目安」は仕方ないかもしれませんね。
それにしても洋画の大ヒット作品が生まれなくなりましたね。
スパイダーマンもアベンジャーズもバットマンも日本では米国のようにブレイクしない。
人類創世の秘密に迫ると大々的な宣伝を展開している「プロメテウス」もエイリアンの息を出なかったし、主演女優がイマイチ綺麗じゃなかったし
監督がリドリー・スコットなだけに、少し失望しました。
洋画ファンとしては何とも淋しいかぎりです。
話を戻します。
フジテレビと日本テレビが出資した邦画作品が共にヒットしているけれど、作品の質は全く異なる。
記録を作った作品を製作したフジテレビと記憶に残る作品を製作した日本テレビということになるでしょうか。
フジテレビはまさにテレビ局が意識し続けてきたF1、M1という20~34歳の層をそのまま劇場で獲得してヒットに結びつけた。
「海猿」は、テレビとの連動で言えば圧倒的にマーケティングの勝利と言える作品かもしれない。
逆に言えばテレビがなければヒットしなかった作品かもしれない。
一方の「おおかみこどもの雨と雪」はテレビとの連動は薄い。
あくまでも作品の質で勝負に出た。
だから劇場に足を運んだ人も子供から大人までと幅広い。
どちらかと言えばスタジオ・ジブリの一連の作品に近いかもしれない。
そういえなジブリ作品にも日本テレビは出資していますよね。
何が言いたいのかと言えば、圧倒的な量で宣伝することができるテレビ局の出資映画だからこそ、記録を作る作品と記憶に残る作品の両方を常に作り続けてほしいということです。
F1もM1も、もちろんビジネスの上では大事だけれど、エンタテインメントを楽しむ人は子供から大人まで幅広いはずです。
テレビを見る人だって、これからはシニアがどんどん増えてくるはずだし、スマートフォンとの連動だってどんどん進んでいき新しいテレビの見方が増えてくるはずだから、テレビが果たす役割は単にヒットすればいい、だけではすまされなくなると思います。
だから、今年の夏にテレビ業界の両巨頭と呼ばれるフジテレビと日本テレビの両社から多くの人を感動させる作品が生まれたことはマスコミ業界で働く自分にとって素直に嬉しい。
これが「海猿」だけだったら、チョット淋しい。
でも、個人的に言えば、「おおかみこどもの雨と雪」のほうが好きです
素直に心に響き、不覚にも涙を何度も流しました。
素晴らしいアニメ映画でした