「男はつらいよ」DVDマガジンー2 | ソフィアの森の「人生は、エンタテインメントだ!」

ソフィアの森の「人生は、エンタテインメントだ!」

音楽が好きで、映画が好きで始めたブログですが、広告会社退職後「ビジネスの教訓は、すべて音楽業界に学んだ」を掲載しました。

前回のブログの続きです


前回書き足りないところがあったもので・・・・・・

私が一番言いたかったことは、この「寅さん~DVDマガジン」で、今まで「男はつらいよ」を一度も見たことのない若い世代の人に是非観て欲しいということなのです。

第一作が封切られたのは1969年、昭和44年でした。

この年、東大紛争が勃発し、いわゆる安田講堂事件で600名の逮捕者が出ました。

東大の卒業式と入試が行われなかった年でもあります。

この年、私は高校を卒業したが、上記の理由で東大の入試を受けることができなかった。

と、誰でもが言える唯一の年代なのです(笑)。

また、アポロ11号が人類初の月面着陸を成し遂げた年でもあります。

この年に生まれた人でも現在41~42歳。

企業で言えば中間管理職にあたる人が多い世代ではないでしょうか。

そういう人たちには特に観てほしいと思います。

当時よりどんどん窮屈になった今の日本で、この作品が何故、今、輝いてみえるのか?

それはこの作品が、人間が人間らしく生きることがどれほど難しいのか、を真面目に語っているからだと思うのです。

「人間が人間らしく生きることがこの世にあってはいかに悲劇的な結末をたどらざるをえないか、ということを、笑いながら物語ろうとするものなのである」(山田洋次)

そうなんです。

寅さんという人はピュアであるがゆえに、嘘のつけない人間そのものなのです。

だけど、世の中の人はそうではない。

人が人として成長するということは汚れていくことになる。

だから、ピュアな寅さんは他人とぶつかるし、喧嘩もする。

寅さんの心の奥底を本当に理解しているのは妹、桜しかいない。

孤独な寅さんにとって妹・桜は唯一の家族なのです。

長年映画を観続けてきて思うことはいつも同じです。

「哀しいことを笑いながら語る」映画ほど素晴らしいものはないと。

「ニューシネマパラダイス」然り。

「アパートの鍵貸します」然り。

「グッバイガール」然り。

「ライフ・イズ・ビューティフル」然り。

「恋愛小説家」然り。

哀しいことを涙ながらに訴える映画や哀しいことを生真面目な顔で語る映画は多いが、哀しいことを笑いながら語る映画は難しいと、山田洋次監督が演出ノートに書いています。

「人の幸せを見るのが幸せ」

寅さんとはそういう人なのです。

今の時代にはいなくなってしまったが、日本人であればいて欲しいと思うのが寅さんなのです。