すべては年末の大掃除がきっかけだった。
以前このブログで紹介したが、BADISというロックレーベルの設立に参画したとき、最初に担当したのがSIONだった。
今から25年前、1986年の年の初めだったような気がする。
当時の新宿がよく似合うアーティストだった。
物置にあるCDラックの中から出てきたSIONのアルバム。
後にCD化されたものを後輩が送ってくれたものだ。
ユーチューブを見るとSIONの歌がかなりたくさんアップされていて、デビュー当時を知らない若い音楽ファンがSIONに傾倒していることがコメントから分る。
久しぶりに出会ったSIONのCDをiPhoneにDLし、このところ毎晩聴いている。
SIONの歌は昼間には似合わない。
夜中に聴くほうが断然よい。
でもユーチューブで見る最近のSIONは、随分と穏やかな表情をしている。
「新宿の片隅から」で衝撃的なデビューをしたSIONも確か昨年50歳になったと思う。
何か透明になったような気がする。
時代がSIONに追いついたというと嫌な表現だが、先が見えない今の時代だからこそSIONの歌が今の若者に届くのかもしれない。
担当している頃、BAY-FMのAさんというプロデューサー(現在は同社の役員です)から電話がありレギュラー番組を持っている福山雅治さんがSIONの大ファンでゲスト出演してほしいという。
それがきっかけで福山さんがSIONの「Sorry Baby」をカバーした。
そんな縁が続いて「龍馬伝」にSIONが出演したのかもしれない。
下の映像は数年前の日比谷野音でSIONが歌った「Sorry Baby」です。
もう1曲、当時私が大好きだったSIONの「12月」。
街にはジョンの歌声が流れクリスマス気分になっているのに、この頃になると俺はいつもやり残したことがあるように、柔らかな後悔をしているという歌詞だが、当時は「柔らかな後悔をする」というフレーズがいたく気に入っていた。
当時ニューヨークでジョン・ルーリー率いるラウンジリザーズと競演したアルバムを制作した。
そのメンバーでギタリストのマーク・リボットからSIONがギターをもらったことは知っていたが、この「12月」ではそのギターを弾いている。
この曲を25年経った今聴くと、とても新鮮だ。
孤独が似合う今の時代に合っているような気がする。
もう10年以上も会っていないが、今度ライブがあったら久しぶりに出かけてみようと思う。