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田舎に住む若者が大富豪の遺産を相続して巻き起こすヒューマン・コメディ。
フランク・キャプラ監督らしい人情味溢れる良心的なコメディ・ドラマです。
大富豪のM・センプルがイタリアで交通事故死し、たちまちその事故はマスコミによって号外が配られます。
人々の関心事はセンプル氏の遺産相続人でした。
しかし、肝心な相続人は、マスコミはおろか顧問弁護士だったシダーですら知らなかったのです。そして、調査の結果、思いもよらぬ人物が浮上します。
相続人はマンドレーク・フォールズ在住のロングフェロー・ディーズ。28歳という若者でした。
早速、マンドレーク・フォールズへと赴くシダーたち。そこは、のどかな田舎町。対面したロングフェローは、遺産のことなどどうでもいいような素振りで、趣味のチューバを吹き始めます。
これに気を良くしたシダー。実は、シダーはセンプル氏の資産を使い込んでいたのです。帳簿をロングフェローに見せないために、何とかしてロングフェローの顧問弁護士になろうと画策するのですが・・・。
ロングフェローは肝が据わっているというか、器が大きいというか・・・。
もし、突然、自分の目の前に遺産が飛び込んできたら・・・チューバは吹けませんね(^_^;
町から、NYへ旅立つシーンでも大物っぷりを魅せ付けます。民衆から慕われているんだなぁと思わせる大掛かりなシーンでしたね。アメリカでも別れるときは「蛍の光」を歌うのですね。「素晴らしき哉、人生!」でも歌っていましたが、あちらは別れではなかったので、なぜ歌うのだろうとちょっと疑問だったのですが・・・今年も終わりだからという意味なのかなぁ。
さて、NYのセンプル氏の豪邸で暮らすことになったロングフェローですが、これほどのおいしいネタを新聞社が放っておくはずもなく、ロングフェローの人柄を洗うように記者たちは奔走します。
しかし、元センプル氏の雑用係!?であったコッブが近づけさせませんでした。
編集長は最後の頼みの綱である敏腕女性記者ベイブ・ベネットに、1ヶ月の有給休暇と引き替えに特ダネを期待するのですが・・・。
フランク・キャプラ監督作品で描かれる女性って皆、気が強い女性ばかりですよね(^_^;
ベイブも例外ではありませんでした。メリー・ドーソンと偽名を使い、ロングフェローに近づきます。そして、もちろんロングフェローはベイブに一目惚れというお決まりの展開が待っています(^_^;
ロングフェローの田舎者丸出しの好奇心と勝ち気な性格はベイブにとってまたとない特ダネとなりました。そして、そのあまりの奇行ぶりを知り、世論はロングフェローを批判し始めます。
さらに、遺産相続を主張する親族も現れ、事態はシダーの思惑通り裁判へと流れていくのですが・・・。
ロングフェロー役にはゲイリー・クーパー。彼の第一印象は背が高いことでしたね。他の役者と並ぶと頭ひとつ飛び出ているかのように見えます。他の役者が低すぎるのかなぁ。とにかく、カッコいいです。
ベイブ役にはジーン・アーサー。ロングフェローに心を開いていきますが、自分の記事で彼を苦しめたこと、そして愛してしまったことに苦悩するベイブを熱演しています。彼女はこの後のキャプラスク作品にも多数出演しています。
ラスト。
ロングフェローのようなお金の使い方をする大富豪が現れれば、今の日本経済における雇用問題も即解決するのになぁ・・・無理な話ですけどね(^_^;
でも、人を助ける精神は誰にでもできることですよね。
ロングフェローの人を助ける精神は人々の信頼を得る意義のあるものでした。そして、そんな彼を間近に見ていたから、ベイブは心の奥底に眠っていた純粋な心を取り戻したのでしょうね。
法廷での彼女の発言は、もちろん本心から発せられた言葉。あの言葉をロングフェローは待っていたのでしょうね。
助け合いの精神と裏表のない心を持つ爽快さが伝わってくる作品でした。
Title:
MR. DEEDS GOES TO TOWN
Country:
USA (1936)
Cast:
(Longfellow Deeds)GARY COOPER
(Babe Bennett)JEAN ARTHUR
(MacWade)GEORGE BANCROFT
(Cornelius Cobb)LIONEL STANDER
(John Cedar)DOUGLASS DUMBRILLE
(Walter)RAYMOND WALBURN
(Judge May)H.B. WARNER
(Mabel Dawson)RUTH DONNELLY
(Morrow)WALTER CATLETT
Director:
FRANK CAPRA
Awards:
Academy Awards, USA 1937
(Oscar(Best Director))FRANK CAPRA
New York Film Critics Circle Awards 1937
(NYFCC Award(Best Film))
Venice Film Festival 1936
(Special Recommendation)FRANK CAPRA
