Comment:
人気作家の男性が体験するナンバーワンのファンと称する女性との恐怖を描いたサイコ・ホラー。
この作品でハリウッド・スターの仲間入りを果たしたキャシー・ベイツの迫真の演技に息を呑みます。
「ミザリー・シリーズ」で人気の作家ポール・シェルダンは、新たな作品を創造したいため、「ミザリー・シリーズ」を完結させることを決意し、コロラドにあるロッジで原稿を書き終えます。
未題の原稿を手にして、ロッジを後にするポール。しかし、吹雪の中、車を走らせた結果、ポールは運転を誤ってしまい崖から車ごと転落してしまいます。
そこへポールを助ける1人の女性。
2日後、目覚めたポールは、アニー・ウィルクスと名乗るその女性から手当てを受けていました。
吹雪の中、病院にも行けず、電話も不通になってしまったということで、自宅で看病していたアニーは元看護婦ということもあり、ポールを手厚く看病します。
さらにアニーはポールのナンバーワンのファンと自称し、「ミザリー・シリーズ」を何度も読破していることを告げます。ポールは看病のお礼に書き上げた未題の「ミザリー・シリーズ」の原稿を読んでもいいことを告げます。
喜ぶアニーでしたが、途中、批判しながら半狂乱になったり、不審な面が見え隠れしていきます。
そして、アニーは知ってしまいます。
この原稿が「ミザリー・シリーズ」の完結本であることを・・・。
そして、大好きな主人公ミザリーは死んでしまうことを・・・。
じわりじわりと来る恐怖。
アニーの突然の変貌。
両足を複雑骨折してしまい身動きが取れないポールの恐怖感と同じくらいに戦慄が走ります。アニーを映す角度がポールの目線だから尚更です。
アニー役のキャシー・ベイツの顔の表情がとにかく怖いです。穏やかに話していたと思うと、突然キレまくります。キャシー・ベイツの演技力でこの作品は一級のホラーに仕上がっています。
ポール役のジェームズ・カーンも逃げられない苛立ちや諦め、アニーへの嫌悪や恐怖など、複雑な思いが入り混じった表情を見事に演じています。
そして、何と言ってもあの「足潰しの刑」。
心臓が止まるほどの恐怖。アニーの何の躊躇も無い行動にまた戦慄が走ります。
絶体絶命のポールでしたが、保安官の老人バスターがようやくアニーに不信感を抱き始めます。妻バージニアを助手にして、のんびりと捜索していましたが、真相に着実に近づいていきます。
バスター役にはリチャード・ファーンズワース。「ストレイト・ストーリー」のあのおじいちゃんでしたか。アニーとポールとは対極をなすほのぼのとした夫婦を好演しています。
監督はロブ・ライナー。「ミザリー」の原作者スティーヴン・キングの「スタンド・バイ・ミー」もロブ・ライナー監督によって映画化されていますね。人生や恋愛をテーマにした作品が多い監督作品の中で「ミザリー」は異色の作品です。
ラスト。目が離せない展開なりますが、特典映像で監督はアニーとポールのラストシーンはラブ・シーンであると語っています。確かに、ラストシーンほど2人が激しくぶつかり合い、重なることはありませんでしたけどね(^_^;
アニーにとってはラブ・シーンかもしれませんが、ポールにとってはPTSDになるほどの恐怖体験であったことに間違いないはずです。
スプラッター的な要素を極力抑えながらも、男一人、女一人、そして逃げられない密室という設定と、役者の表情や撮影手法だけで、戦慄するほどの恐怖を体感できる希少な作品です。
![]()
![]()
![]()
![]()
Title:
MISERY
Country:
USA (1990)
Cast:
(Paul Sheldon)JAMES CAAN
(Annie Wilkes)KATHY BATES
(Buster)RICHARD FARNSWORTH
(Virginia)FRANCES STERNHAGEN
(Marcia Sindell)LAUREN BACALL
Director:
ROB REINER
Awards:
Academy Awards, USA 1991
(Oscar(Best Actress in a Leading Role))KATHY BATES
Golden Globes, USA 1991
(Golden Globe(Best Performance by an Actress in a Motion Picture - Drama))KATHY BATES
