監督:スタンリー・トゥッチ 、キャンベル・スコット
キャスト:
スタンリー・トゥッチ、トニー・シャルーブ、ミニー・ドライヴァー、イザベラ・ロッセリーニ
イアン・ホルム、アリソン・ジャネイ、マーク・アンソニー、キャンベル・スコット
製作:1996年、アメリカ
アメリカ、ニュージャージー州。イタリア移民の兄弟プリモとセコンドは、小さな港町でイタリアンレストランを開業したが、本場イタリアの料理では、アメリカ人の口に合わず、経営は伸び悩んでいた。さらに、向かい側には実業家パスカルが経営しているイタリアンレストランがあり、こちらはアメリカ人向けに料理と店のイメージを合わせ連日大盛況だった。
資金も底を付き、銀行からの融資も断られた経営者兼ギャルソンのセコンド。天才的なシェフの腕を持つプリモを慕うも本場イタリア料理だけでは、既に店は成り立たなくなっていた・・・。
Comment:
イタリアンレストランを舞台にした成功を夢見た兄弟の愛と食の楽しさを描いた作品。
店の経営方針を巡ってプリモとセコンドは対立します。
時間をかけても最高のイタリア料理を提供したいシェフのプリモ。
時間がかからない料理をメインにして回転率を上げたいセコンド。
どちらの言い分も判るので、観ている私も悩んでしまいます。
銀行からの融資を断られたセコンドは、あろうことか向かいのイタリアンレストランを経営するパスカルに助けを求めてしまいます。しかし、親身になって救いの手を差し伸べるパスカル。ここで怪しいと思わないところがセコンドの余裕のなさなのかもしれませんね。
何としても自分の店をアメリカで成功させる夢を実現するために。
一方、プリモはプリモでイタリアにいる叔父がローマで新しいレストランを開店する話を聞き、帰郷してそのレストランでやり直したいと思っていました。
自分の最高の料理を持て成すために。
また、2人の恋愛感も異なります。
セコンドは銀行に勤めるフィリスと付き合っていました。結婚したいと思っている2人でしたがセコンドは店が成功するまで待って欲しいと伝えます。ここまではその気持ちも判るなぁと思っていましたが、実はパスカルの店の支配人であるガブリエラと浮気していたのです。
一方、プリモは花屋のアンに片想い。しかし、奥手なプリモは店に誘うこともできずセコンドに助けてもらうばかり。
考え方も性格も似ていない兄弟でしたが、やはり遠い異国の地に2人でやって来た兄弟。喧嘩してもすぐに仲直り。その仲直りのシーンは、兄弟のいる人なら誰でも共感できると思います。言葉数はやけに少ないのですが、お互いの気持ちを汲み取って自然といつものように振舞う。この兄弟の仲直りの場合は手料理が必須アイテムなのかもしれませんね。
パスカルの助けによって有名なミュージシャン、ルイ・プリマを呼ぶことになったプリモとセコンド。宣伝効果は絶大となる著名人の招待のためにプリモとセコンドはレストランでパーティを開きます。
そこでプリモが持て成す見た目にも美味しそうな料理の数々。
特に「ティンパーノ」なる料理は、見ているだけで食欲が沸いて来ます。
招待客もみな歌い踊り、ゲームを楽しむ。そして、絶品の料理に舌鼓を打つ。ルイ・プリマが来る来ないは既に関係ありませんでした。
しかし、セコンドにとっては最後のチャンス。パーティは成功しても宣伝できるかできないかは大きな違いでした。さらに、ガブリエラとの浮気もフィリスに知られてしまい・・・。
夢と自由の国アメリカ。誰でも成功できる可能性を秘めた国。だから大きな夢を見ることも自由・・・。
でもその大きな夢を掴むには、実力だけでなく、運だけでもなく、支えてくれる人たちがいることも重要なのでしょうね。
そして、ラスト・・・私がセコンドの立場だったら、プリモの提案に従いますね。
アメリカで成功することではなく、自分たちの料理を楽しみにしてくれる人に最高の料理を持て成す・・・今回のパーティを見て、それが2人の本当の夢だと思いました。
第63回NY批評家協会賞 新人監督賞
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