監督:ライアン・マーフィー
キャスト:
ジョセフ・クロス、アネット・ベニング、アレック・ボールドウィン、ブライアン・コックス
グウィネス・パルトロー、エヴァン・レイチェル・ウッド、ジル・クレイバーグ、ジョセフ・ファイン
製作:2006年、アメリカ
1972年。少年オーガステンはニューヨーク誌への掲載を夢見る詩人の母ディアドラの良き理解者。ディアドラの新作を初めに聞く度に勇気付けていた。しかし、ニューヨーク誌への投稿は失敗。単独の朗読会も客は1人きりという散々な結果だった・・・。
1978年。13歳になったオーガステン。ディアドラは相変わらず詩に熱中していたが、詩は怒りをぶつける内容になっていた。さらに、夫ノーマンとの仲も悪化。精神分析医のフィンチを頼りにセラピーを受けるが離婚してしまう。
しかし、このフィンチとの出会いによって、オーガステンとディアドラの運命は大きく変わろうとしていた。
Comment:
原作者オーガステン・バロウズの自叙伝の映画化作品。
オーガステン・バロウズの幼少時代は波乱万丈な人生でした。両親の離婚から始まり、フィンチの提案によってディアドラはオーガステンをフィンチの養子として預けてしまいます。
ディアドラは精神的に参っていたのでしょうね。でもフィンチによって治るどころかますますひどくなっていったように思えます。フィンチには金銭トラブルの疑惑があり、患者から多額の治療費を受け取っていました。初めは良い人にみえたのですけどね。
この作品全体のすべての負の元凶はフィンチでした。
でもフィンチ自身は悪いとは少しも思っていません。むしろ患者のために良いことをしていると思っています。そんなフィンチの家族もまた変わった人たちでした。
フィンチを敬愛し、フィンチもまた一番頼りにしている長女ホープ。フィンチと同じように彼女も変わった人です。
趣味が電気ショック療法を使ったお医者さんごっこだという次女ナタリー。でも彼女が一番まともな人物です。
そして、ドックフードを食べる妻アグネス。変わり者に見えて実は・・・。
こんな家族の下へ養子に出されたオーガステンがまともでいられるはずがありませんでした。
ゲイであると告白してフィンチの患者でゲイのニールと付き合ったり、ナタリーと一緒に家の天井を壊したり・・・。
ディアドラもまた状況が悪化するばかり。詩を教えている女性ファーンと只ならぬ関係になったり、またまたフィンチによって黒人の少女ドロシーを養子に迎えたり・・・。
誰一人としてまともな人物が登場しないこの状況・・・いったいどうなるのかと思っていたら・・・。
手を差し伸べる人物が意外なところから出てきました。彼女はオーガステンの母親になりたかったのかもしれませんね。
以前観た「イカとクジラ」と雰囲気が似ている作品でしたが、この作品はきちんと結論を提示しているのでスッキリしました。
ラストには主な登場人物のその後なども描かれていて、オーガステンを演じたジョセフ・クロスと原作者オーガステン本人のツーショットも登場します。
役者もディアドラ役のアネット・ベニングの鬼気迫る変貌振りや、ホープ役のグウィネス・パルトローの変人振りが見事でしたね。
原題「RUNNING WITH SCISSORS」をそのまま邦題にした「ハサミを持って突っ走る」。
少年オーガステンが自ら切り開いた人生を表現しているのかもしれませんね。
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