【記憶】算盤 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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小学校高学年の時から同じクラスで、ほとんどいつも隣の席になっていた子に、算盤がいる。

今だと差別だ!とか騒がれそうだが、当時は学習能力などで席を決めていた。
で、だいたい算盤と私はいつも隣席になっていた。

中学の数学クラスの時ほどではないが、 最後部席は無法地帯でもあった。

算盤は、男女が別れた高校になってからも、ある意味心の支えでもあった。
体型や容姿は全く違うが、氷の微笑のあの方くらいのずば抜けたIQがあり、中学生になってからの行動もまた、彼女にどこか似ていた。

私などとても比較できない大人だったが、なぜか大学の下宿には、私の写真を飾ってあったのを知っている。
彼のあるヴェガが年中頭の中にありながら、算盤とは遠く離れた大学になってからも、多少のつながりがあった。

とにかく鋭い子だった。

どうも私の親あたりは、この子と私をくっつけたいらしかった時もある。


これは私の長所なのか短所なのかはいまだに不明だが、私は同時に複数を好きになれる。


算盤の家は、はるか離れた田んぼの中というイメージがあったが、実は、去年までの私なら散歩範囲である。

そりゃそうだ。
いくら田舎とは言え、分校には通っていなかった子なのだから。


今はどっかの養護教諭をしているらしい。





父の葬儀に、彼女の親友だった子に、同窓会の誘いを受けた。
相手はその子の名前まで覚えていたのに驚いたようだ。

そりゃ、女の子の顔や名前は、半世紀くらいでは忘れない。

昨日の飯は忘れても。


私は入院寸前で、体調がボロボロだったから、丁重に断った。