やはり、かなり老化が進んでいる。
やたら昔のことが思い出される。
若い頃は、その日の生活しか目にはなく、まず無かったことだ。
生活形態は、乳幼児並だ。
未明にも、タバコが切れて深夜に近くのコンビニへ。
どうも同じような方がいて、タバコを吸っている。
以前なら警戒されたりしたが、今では全く知らぬ人からも声をかけられる。
しかも、老若男女を問わない。
これは、昔からの夢のひとつが叶えられたと言っていい。
少し前までなら、警官に不信尋問を受けるか、保健所の痴呆徘徊捜査関係者、あるいは『あなたは神を信じますか』関係者くらいだった。
タバコと言えば、私がタバコを吸い始めたのは、確か二十歳過ぎだった。
田舎では、中学、高校の仲間の一部は吸っていたが、私は真面目に二十歳までは吸っていなかった。
が、当時黒ヘルだか赤ヘルだったかの友人に言われて、飲み会で初めてタバコを吸った。
素晴らしく旨かった。
むせることなどもなかった。
私の祖父は、小学2年生にしてタバコの害を感じ、以後禁煙したという。
偉いなと思った。
尋常小学に入った頃はニコチン中毒ぎみで、授業中さえ外に出ての一服を許されていたのにである。
で、一念発起。
精進して、強盗・警官も裸足で逃げる怖い人となる。
二十歳で初めてのタバコ。
そんなことを思い出しながら、自分の初物を記憶の底から引っ張ってきてみた。
★初酔い
4歳か5歳の時、近所で祝い事があり、どうもそこで私は当時は貴重品だったワインを飲んだらしい。
フラフラになって家に着いたらしいが、これは記憶にない。 小さい頃よく言われたことだ。
それ以降、二日酔いの記憶は30過ぎまでは、ほとんどない。
1升程度ならわりと平気で飲めたが、二十歳の時に偉い先生から、こんなことをしていたら40まで持たないと脅かされた。
★初晴れ舞台
非常に幸運なことだと思っているが、私には勝手に決めたオヤジが数人いる。
そのうち第3のオヤジの結婚式のことだ。
私とその方の近所のお嬢さんが、酒をつぐ稚児役になった。
まだ小さいのに、羽織袴を身に着けた記憶がある。
この時のお嬢さんの顔が記憶から消えている。
女性の顔を忘れるとは失礼だと思っている。
★初大注射
日本では屈指の毒を持つ木がある。
どうもそれを舐めてしまったらしい。
その直前までの記憶はかなり正確で、木があった場所、枝振りまで覚えている。
が、その後は記憶が途絶えている。
意識が戻った時、私のお尻には馬用注射がなされていた。
偉いね、よく我慢したと医者に誉められたが、私は全く痛みを感じられぬほど重体だったらしく、親には覚悟しておいた方が良いと言っていたらしい。
小学生になる直前のことだ。
★初ドキドキ
昼飯の時には、机を並べて遊んでいた子がいた。
ある時健康診断で、彼女が上半身裸になった。
当時の田舎では、男女の区別なく健康診断をしていた。
しっかり見えた彼女の胸の隆起に、不思議な鼓動を感じた。
それ以降、なぜか彼女とはよそよそしくなった。
田舎では、乳飲み子のために乳を引っ張り出すなど、あたり前だったのにである。
★初デート
田舎では一番と言われる実業家と、美少女のその実業家の娘さんがいた。
近くに大きな遊園地ができ、私と友人はそのお嬢さんとお嬢さんの友達を誘って出かけることになった。
自転車で2時間くらいかかるところである。
ボートに乗ったり観覧車に乗ったりしたのは覚えているのに、その時の感情が思い出せない。
これまた、失礼な話だ。
その人には大学時代、東京に遊びに行った時もお世話になっている。
ずいぶん失礼なこともしてしまったが、嫌われてはいなかったようだ。
★初大人の色気
部活で疲れて、廊下に大の字になっていた。
と、先生で一番の美人とされていた保健室の先生が、『大丈夫?』とミニスカートの脚で声をかけた。
目を開けると、先生のミニスカートの中が見えた。
私は見てはいけない物を見てしまったような罪悪感と同時に、隣のミヨちゃんの胸を見た時よりはるかに鼓動が高くなっていることを感じた。
あるいはあれが、初めて感じた大人の女性だったのかも知れない。
先生はやがて、郡屈指の御大尽に嫁いでいった。
なぜかすごく悲しかった。
★初蜂蜜虎婦?
いささか問題があるから、かなり暈す。
海外に多少住んでいると、週刊誌でしか聞いたことのないようなことに出合う場合もある。
どう見ても不思議なこと、正常だったなら食べたりしないものまで食い腹痛を起こすこともあるだろう。