★足元が濡れているような気がした。
ライターで確かめようとしたが、ふと揮発性の臭いに『止めろ!』という天の声がした気がした。
夜中にタバコを吸うベランダである。
『ああ、こぼれてしまったみたいね。ても、温かくなっていいわよね』
悪気なく、そんな声が返ってきた。
★この家には悪魔がいます。
朝起きても、テーブルにご飯がありません。
食べた食器も、汚ないままです。
明らかに、この家には悪魔がいます。
はあ。
さようですか。
主夫するのも、いささか疲れましたなあ。
★私は世界を幸せにします。
と言って、翌日から消えた。
手術前日のことだ。
医者は、立会人がいなくて困っていたようだが。
約半年後、変なメールが入ってきた。
とりあえず300万送ってくれという。
はあ?
もうこれ以上、馬鹿にされるのは御免である。
★悪魔かいなと思った。
子どもが初めて作った料理である。
それを、体に悪いからと言って自分で全部食べ尽くした。
残ったものは、空の器と子どもの啼き声だけであった。
★思い出すのも身の毛がよだつことがある。
まるで、うわさに聞くゲシュタポの手口だ。
★大学時代以来、不思議な手紙が入っていた。
督促状というやつである。
変だと思った。
が、変ではないことが分かった。
毎月給料日には、定額が別口座に流れるようになっていた。
いまでも、しらばくれている。
★実用的なものこそ、素晴らしいのだ。
わたしは日ごろ、そう言っていた。
ある日、桐箱入りの茶碗が消えているのに気づく。
時々箱から出しては眺めていたものだ。藤太郎の作である。
かつて記念日に、親戚からもらったものだ。
クナッパーの大皿と並ぶ、ほとんど国宝級の作である。
見ているのは、確かに実用的ではない。
だから持たせた。なるほどね。子どもの遠足に持たせたら、割ってしまったと言っている。
事実は知らない。
これは泣いた。
★私は常に家事をしています。
あいつが体調が悪い時には、冷凍庫裏に隠れていた、半年前に買った刺身を見つけ解凍して出しました。
なんと私は親切なのでしょうか。
でも、その後あいつは入院しました。
たぶん、よほど体が弱っていたのでしょうね。
不運なことに。
いや運良く、あいつは生き延びました。
※これは小説でしょう。
もしもこんな人がいて、キチガイ野郎と言ったらヘイトスピーチになるらしい。
では、なんとお呼びしていいものやら。
リベラルだか人権家の方、教えてください。