これは、小説です。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
五番町だか国分寺だったかは記憶にない。
ただ、学生気質が入るには敷居の高そうな店だった記憶があるから、先輩のドクターか助手あたりに連れて行ってもらったのかもしれない。
欧州のホテルを思い出させるような照明だった。
私は、その暗さ以上に鉛色の顔でグラスをあおっていたb。
「かわいそうよ」
そんな声が聞こえた。
「持ち帰っちゃおうかな」 「バーカ」
その声が続く。
右斜めのカウンターに座っている、お姉さん2人組だった。
大島か結城かは知らないが、品のよい着付けをしていた。
そのあとの記憶が飛んでいる。
「こんな女なんて思わないでね。あたし、めったにこんなことしないのよ」
年下の私に言い訳のようなことを言っていた。
で、やっぱり記憶が飛んでいる。
ベンズアルデヒド
その香りは覚えているが。
そういえば、このころから私の特殊能力が消えていった。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::7
そんなわけで、JALパック旅行から帰った私は、無性に一人寝が寂しいものに思えてきた。
ラビットハウスでは物足りない。
ゲランを徘徊した。
そんなある日、スージーに会った。
彼女も、ベンズアルデヒドの匂いがした。
が、ある日突然、マラヤに帰ってしまった。
食べてしまいたい。
なんでお前さんは、ここにいるの?そうも言いたかった。
色白で、雑誌などで見る女優さんより輝いて見えた、
まさに、そんな感じの子であった。