まさに秒殺だった。
席を探して狭い教室を歩いていた時、ルビーが目の前にいた。
ニコッとしたその姿に、私は40年以上酔っている。
彼女のNo.は4041。
なんと、私の目の前の席だった。
試験時間の半分は、その長い髪を見ながら過ぎた。 そう、あまり知られていないかも知れないが、ルビーは教養の頃までは髪を長くしていた。
結果発表の片平。
私は、自分の番号より、その番号が気になっていた。
あった!
相手の番号を見つけ、喜んでいる自分がいた。
ずっと後になって、その話をしたが、相手は忘れていたようだ。
が、これは嘘だったかも知れない。そう思わせることがあった。
でも、彼女にはこの頃から先を決めた相手がいたのだった。
3年目、下宿の近くで、彼女が彼と仲むつまじく買い物をしているところに出くわした。
彼女は、ワーイ、ヤッホーと言いながら、彼に私を「お友達」と紹介した。
おそろいの真っ黒なシャツが、いやになるほど決まっていた。
ああ、こりゃ降参だと、ひどく落ち込んでいる私があった。
とにかく、私にとっては別世界のかぐや姫に見えた。
一度だけ、別クラスだった彼女にパーティーに誘われ、踊ったことがある。
ひどく括れたウェストに、驚いたものだ。
いまでも、その感覚が残っていたりする。
現像室、自転車置き場、深夜の実験室……。
いろいろあったが、結局なにもなく終わった。
社会人になってからお会いした時も、結局彼女は人妻になっていて、やはり何もなく終わった。
はあ。
また、情けない話でした。
かなり長い間子宝に恵まれなかったようだが、うちの次男と同じくらいの子ができたらしい。
これに似たことを、遥か昔随筆として全国的な公募に出したら、入賞し全国の本屋に並ぶ書物となった。
作品が文字になることは、当時は珍しかった。
かつ、かなり著名な作品群のひとつでもあった。
自慢して妻に見せてから、態度が一変した。
ぞれ以後、自分の飯は自分で作っている。
いや、洗濯も・・・・・・。
はあ、・・・・・・
情けない話の2乗、3乗。
こういう話は、身近に話してはいけないことさえ知らなかった、おバカな私。