ずいぶんボケが進行してしまったから、最近のことは当然ながら、昔のことも忘れ始まってきた。
しかし、この日は比較的よく覚えている。
それは私の命日だからだ。
あれから36年が経った。
墓も卒塔婆もないが、私の36回忌である。
思い出したから、少し書いてみるか。
それはバケちゃんからは冗談でしょ?と言われた町に住んでいた時だ。
サルマンから電話がかかってきた。
どうして私の電話番号を知ったのかは考えても意味がないが、とにかくトンペイノーバケ連中なら知らない人はいない、あのサルマンからの電話だ。
で、そいつの言った場所に行った。
サルマンを知っている仲間には信じられないだろうが、サルマンが泣きそうなくらい緊張した顔で待っていた。
しばらくすると、車がやってきた。
サルマンの知り合いらしいが、それにしては車内の会話がぎこちなかった。
あっち系でもないようだ。
サルマンは、のどが渇いたと、何度もジュースを買いに車を止めてもらっていた。
私はほとんど無言だった。
当時はわからなかったが、車は小名浜あたりの海岸に着いた。
波が荒かった。
サルマンが何か言った。
それは半分は冗談、半分は本気に聞こえた。
その1年前の夏。
いまやメジャー入りしたジョジョバと格闘をしている頃、ケイタが呟いた言葉が脳裏に甦ってきた。
…は結構……が広いらしいよ。
で、私は今もこの世に生きているが、あれは私の命日だったろう。
ケイタはやっぱり大人だった。
ケイタの師匠であるあのじいさんがカワタビで言ったことも、やっと最近分かるようになってきた。
やっぱ。
おら、赤ちゃんだわさ。
今私が、自分の命日を思い出せるのは。
コチレドンのあのお方
ケイタのアドバイス
入った会社のオヤジ
そしてバケ仲間
のおかげである所が大きい。
この場を借りて、ひょっとしたら見ているかもしれないケイタやノーバケショクバケ仲間に感謝したい。
★追記
親父にも殴られたことが無いと言うサルマン。
私は彼の頬をはってしまったことがあります。
彼の名誉のために言いませんでしたが、もう話してもいい頃でしょうかね。