リニアモーターカーが、時速603kmという世界記録を出したそうな。
すごい。
秒速にしたら、約168m。
とんでもない速さだ。
が、これは地上での話。
宇宙に話が及ぶと、あまりに遅くて、いろんなことが実感できないほどの遅さとなる。
例えば、最近木星の衛星エウロパに生命がいるかも知れないという話があった。
地球から木星に行くには、太陽の周りををまわりながら、地球や月の引力を利用して渦巻のような航路で行かなければならない。もちろん、リニアカーのような乗り物では無理だ。
しかし、このあたりのことをまったく無視して、リニアカーで直線的にエウロパまで行けたと仮定する。
つまり、最短距離で行けたと考える。
そんな条件でさえ、秒速168m程度の速度の乗り物では、片道だけで150年くらいかかる計算になる。
実際には、上記に述べたように渦巻航路となるから、500年は必要だろう。
と、あまりに遅いのである。
そこで、今世紀末ぐらいには可能になるであろう宇宙船でこれを考えてみた。
現在人類が乗れる最高速度のロケットは、おそらく秒速15km位だろう。
北海道から沖縄までなら、2分程度だと思われる。
今世紀末にはこれが、秒速30km程度までにはなるのではなかろうか。
これでエウロパまで直線的に行けたとする。
それでもまだ、1年くらいかかってしまう。
実際には直線航路は無理だから、渦巻航路で4~5年くらいだろうか。
エウロパに生命が存在したとしても、ミジンコよりはるかに小さな生物だろうから、生きものと言う感覚は薄い。
そこで、あと少し遠くに目をむけてみよう。
太陽に一番近い星は、ケンタウロスのα星と呼ばれるもので、光で4.24年くらいの距離にあるところだ。
ここまで仮に直線的に行けたとすると、秒速30kmの宇宙船でも4万年以上かかってしまう。
もう、これだけでとんでもない時間だ。
これは単に、一番近いところにある星と言うだけで、地球型の惑星は知られていない。
地球型の惑星がありそうなところといったら、光でも何百とか何千年先。
秒速30kmというとんでもない宇宙船で行っても、何百万年とか何千万年とかかかってしまう。
そこまで人類が存在するのやら。
現在の科学では、いわゆる宇宙人とやらに会えそうにない。
じゃあ、一番近い星雲であるアンドロメダまでは?
これは考える必要が無い。
あと1000年先の人類が作れるもっとも速い乗り物でも、アンドロメダに着く前に太陽が亡くなっている。
一番近い星雲でさえそうだ。
ましてや、宇宙の果てに着くことなどは、考えても意味がない。