わにさぶらふおんからびとは、おほかたからくにの内なることどもありてわに来つるとつくにのたみのすゑなれど、わにをひてはかばかりのことはいはぬぞかし。
ちえづゆどなどのたみ、ことのほかひとならぬせいくわつの日々なり。
かのくににはきはめてかたきいへの定めありて、ほんぐわんがちえづゆど、すなはちさいしやうたうなるはことごとくつめたきしうちなどありつる。こは、いにしへはばんにんの知らるるところなれど、今は知る者こそ少なめ。
かのくにのりやうばんなるははくてふにさへあらぬなどのいぬねこにさへあらぬあつかひをし、かのしまへはとがあるとさるるを送るとなむ語り伝へける。
今わを嫌ひしは、かつてははたらきなどせぬをしじやうのことと考えつるりやうばんのおもはくなれど、おのずのじもくさへ知らぬもとはくてふにもいたらずのいたづらにさわぎたることこそことはりなさめ。
されど、それさへ知らぬよにゐるわに居をかまへしものどものあまたをるぞなむ。
あなかなしや。
あなことはりなしや。