
昨日の記事のコメントで、ベトナムはコーヒーの大生産地でありながら、なぜすぐ近くのタイで豆が手に入らないのかなあ、という話が出た。
そこで、精神年齢小学5年生の私は、『なんでだろう』スポットに入り込んでしまったのである。

コーヒーノキの花 (5月初旬)
多分、40代以上の方だと「ベトナムがコーヒーの大生産地?えーっ!」となるはず。
そこで、財務省が出している最新の世界白書を見てみよう。
2010年 コーヒー生産量上位5ヵ国を見てみる。気候により年により多少変動するが、3位まではほぼ固定だ。
①ブラジル
②ベトナム
③インドネシア
④コロンビア
⑤インド
なんとベトナムはブラジルに次いで、堂々の2位。しかも、ブラジルが世界生産量の約3分の1。ベトナムは約15%。これは3位以下の10%未満を大きく引き離している。
では、輸入金額を見てみよう。
これは2011年版だが、上位の順位は毎年ほぼ決まっている。
①アメリカ合衆国
②ドイツ
③フランス
④日本
⑤イタリア
と、これだけ見たなら、なるほどねと、特に不思議は感じないだろう。
ところが、下の順位を見て欲しい。
これも2011年版の資料
★コーヒー(粉などを含む)輸出金額
①ブラジル
②ドイツ
③コロンビア
④スイス
⑤ベルギー
さあ、どうだろうか。
すごくおかしくないですか。
ブラジル、コロンビアはわかります。 が、ドイツ、スイス、ベルギーってなぜ?
スイスなどでは、コーヒー豆1粒さえ生産できないはず。
ここが、コーヒーのコーヒーたる所以なのです。
コーヒー豆の流通は、ある組織の支配下にあり、値段もダイヤモンドのように一定の水準となるようになっていました。
ですから、20世紀の後半の一時期のコーヒー豆貿易は、一次産品では、なんと石油に次いで金額的に2番目に大きな取引だったこともあります。
その後、多少流通の改善があったようですが、いまなおコーヒー取引は4大企業の寡占状態です。
このような理由により、また、生産価格と小売価格の大きな差異により、ベトナムは世界第2位のコーヒー豆生産地でありながら、おそらく自由には近隣諸国への輸出ができないのでは?と思われます。

コーヒーノキ(昨日、6月28日撮影)
なお、コーヒーはもともとは北アフリカ生まれで、長い間北アフリカとアラビアなど中東だけで親しまれていた、宗教的なものでもある飲み物でした。
これがオスマントルコの台頭により、ヨーロッパに伝わってからまだ500年くらい。 にも拘らず、長い歴史ある茶と並び、世界を代表する嗜好品になっています。
一方、茶の生産を見ると、現在はケニアが3位に入り、輸出金額では2位です。
これも意外ですよね。
ということで、コーヒーとダイヤモンドは流れが似ているという話でした。
(なお、これは聞いた話ですが、かつて大学でダイヤモンドを燃やす実験をすることになった時、事前にそちら方面の方々にお話を通してから行ったとか)
★★蛇足★★

コブシ(振りかえるアヒルに似ている)
これはあまり具体的に書くとまずいかも知れませんので、かなり暈して書きます。
日本のある団体が、某国のコーヒー生産を仕切っています。
その紹介文は素晴らしい内容で立派でした。最後の方にある記述を見るまでは。
最後の方にかなり具体的な数値があるのですが、その説明に決定的な誤りがあります。その誤りは、私が塾講師をしていた時期に教えていた生徒たちなら、おそらく9割方は誤りに気付くレベルの、ある意味基本的な誤りです。
その紹介文がいつから公開されているのか知りませんが、まずいですね。
せっかくのその前の素晴らしい文章さえ、ほんとかなあ?と疑問をもたれてしまうでしょう。
多分作成者の勘違いをそのまま記述してしまったのでしょうが、チェックする人はいないの?その組織で誰も気付かないの?
と、文章のみならず、組織さえも疑われかねない記述。
はーあ、と思いました。
ということで、やはりインターネットは怖い面がたくさんありますね。
見る方も、見られる方も。