
うなり声のような異様な声がした。
コンビニ前で男が羽交い締めにされていた。
はっきりは見えないが、2人は互いに必死な形相だが、羽交い締めにされている方のそれと、羽交い締めにしている方のそれは、明らかに何かが違っているように感じた。
私だけでなく近くにいた何人かが顔を見合せ、どうしようかと目で会話した。
と、その時、羽交い締めにされていた男が肘鉄かなにかを食らわせ、さらに突飛ばした。
男は自由になったのだ。
が、その男が次にしたことは、目を疑った。
コンビニのクズ箱の中から空き缶を取出し、底にわずかに残っているであろう液体をすすったのだ。
私たちはこの時初めて、羽交い締めにしていた男の必死な表情の意味が理解できた。
突飛ばされた彼は、もう諦めの表情で、先ほどまで押さえていた男を見ている。
その瞳には文字にできぬ、悲しみと暗がりが見えた。
先ほどの男は、かなり液体が残っているペットボトルを見つけ、満足した表情で喉に流し込んだ。
耐えるのに苦痛を感じる静寂が、見ている私たちを襲った。
少し喉が痛くなり、一緒視界がぼやけた。