今日見た何か | しま爺の平成夜話+野草生活日記

しま爺の平成夜話+野草生活日記

世間を少しばかり斜めから見てしまうしま爺さんの短編小説や随筆集などなど
★写真をクリックすると、解像度アップした画像になります。

ひとり平気?ブログネタ:ひとり平気? 参加中

私は平気



昼過ぎにちょこっと出て夕方にはお帰りのはずが、泥沼に足を取られてこんな時刻である。

目が悪くなったなあ、と改めて思う。

昔なら事前に落とし穴を予知し、前もって心構えもしていたはずだ。

が、今は足元にあっても気付かない。それどころか、落ちてしばらくしてから、自分の所在が分かる始末。最近よく言われるが、使えない男になったものだ。


帰り道には、浴衣姿の男女が溢れていた。

今日は新盆でも旧盆でもないはずだが、……。


泥沼に落ちた疲れを癒すべく、喫茶店で涼んでいくことにする。


ここにも、浴衣姿がある。

男のベルトを掴み、少ししなだれかけた二十歳くらいの浴衣姿の女性が、何を頼むか迷っている。
ずいぶんと時間がかかる。
時々、男のベルトを引っ張りながら、まだメニューとにらめっこだ。





同い年くらいのユニフォーム姿の店員が、その浴衣にチラリ目をやる。
それは涼しげでもあり、また少し曇っても見えた。


私は彼女と、汽車から蜜柑を投げる少女とを重ねている自分に気づいた。


なんら共通点がないようにも思えるのに、それを眺めている、あの男の気分になっていた。