[田舎小説]上を向いて歩こう茨城 その2 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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上を向いて 歩こう
涙がこぼれないように ……。

町のあちこちに、日本人唯一の、ビルボートトップシンガーの少しハスキーな声が流れている。

子どもの頃から高い所が嫌いで、飛行機に乗るときには必ずこの町で求めたお守りを身につけていた。
国内の移動は電車か全●だった。

その日も、本当は新幹線か全●で東京に戻るはずだったのだ。

あれから何年経つだろう。私はそのニュースを赤道直下で聴いていたが、日本の方が最高気温が高かったと記憶している。


日本の田舎には、奇妙な地域があったりする。

私が生まれたあたりも、赤穂浪士が祈願した日本一の弁天さんが浅草から泳いできてみたり、錫の笏だか槍だかが降ったり、足利尊氏が夢に天女を見たりするかなり奇妙な村だが、この田舎には及ばないかも知れない。


とにかく、学校で教える歴史(戦前、戦後を問わない)に出てくる名前があちこちに散らばっている。

古いところでは八又のヲロチであり、須佐之男であり稲田姫である。当然ヤマトタケルも出てくる。

歴史時代に入ると、聖徳太子やら推古天皇だの。少し時代が下るが、おそらく日本歴史上最大の政治家である藤原不等人。その親である鎌足にも近い名前が出てくる。

未だに許されていない、あのGHQも密かに恐れた、関東最大の怨霊・将門の生家もすぐ近くだ。


しかし、この町で最も注目すべきは出雲大社だろう。

日本では伊勢にしろ宇佐、熱田にしろ著名な大神宮や大社には基本的に分社はない。
稲荷、住吉、三輪、熊野、諏訪の分社は、特殊な理由から全国に広がっているが。

出雲大社の唯一の分社が、ここ笠間にある。

実は、出雲大社、諏訪大社、そしてこの常陸の出雲大社分社は、数百メートルの誤差内で直線上にある。
これは偶然ではない。


さらに、このすぐ北の芳賀には、日本最大の夷(事代主=大国主の長男)も鎮座する大前神社がある。



稲田神社のイチョウは非常に不思議な木なのだが、長くなるからこのへんで。


スリリングなドライブを楽しみたい方には、ここから数キロのてころにある富谷観音へのドライブを薦めたい。

日光いろは坂が、優しく穏やかなカーブに見えてきます。

ちなみに山頂の富谷観音は、聖徳太子ゆかりの寺。

熊か猿しかいないような山奥にあって、なかなか格調高いにおいがします。
カルラなんていうのもいらっしゃいます。




上を向いて、歩こう。




惜しい人をなくしました。






あと10日で、あれから27年を迎える。


あの時の機長は、類稀な操縦力と精神力、さらにその後をも考えることができたスーパーマンに近い人だったと思う。


後に、あの飛行機の動きを知ってそう思った。



事故の真相は、いまなお闇の中にある。