[田舎小説]山形 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

しま爺の平成夜話+野草生活日記

世間を少しばかり斜めから見てしまうしま爺さんの短編小説や随筆集などなど
★写真をクリックすると、解像度アップした画像になります。

国ざかいの長いトンネルを抜けると、そこは熱帯だった。

蝉の声が、熱気を身体に吸い付けさせた。

右手には、世界一有名な蛙の池がある。

あの方は、蝉時雨の中に静寂を見いだし、蛙の作ったさざ波の中に永遠の命を育んだ。

列車は盆地の中をのんびりと走っていく。

ここを訪れるなら、普通は新幹線を使うだろう。が、私はどうしても仙山線に乗りたかったのだ。

作並渓谷を満喫するには、車よりもローカル線の方が良い。

断崖の中を走る車両に枝を伸ばした木々があたり、窓の隙間からはヤマユリの香りが入り込んでくる。


あの蝉はアブラゼミだ、いやヒグラシだと熱い議論をする方々がいらっしゃる。酔狂なことだ。
まるでストロンチウムだ、いやプルトニウムだとかいう議論に似て、中身を考えていない。そんな表面的な議論に喜びを感じる方は、おそらく静けさや枯野をかけめぐる夢は見ないであろう。


と考えているうちに、DEはこじんまりしたプラットホームに滑り込んだ。

そこに降りたつと、暑さが突き刺してくる。さすが日本一暑い場所だけある。
日が、世界屈指のアスピーテに落ちていく。
振り返れば、日本独自の権現様が聳えている。


最後の梅雨を集めた北へ上る川が、句通りの流れを見せている。

さて、今夜は上山で汗を流すか。



たこ部屋ならぬ立派な温泉付き旅館に泊められ、当時のアルバイトとしては破格の待遇で働いた昔が思い出される。








★蛇足

最近、置賜地方では小さな鯰が暴れている。
秋田県境から青森にかけての、日本海よりに棲む鯰も珍しい。

これらは、東日本大地震の反動だろう。
太平洋側は沈み込むが、日本海側は逆に跳ね上がる。
秋田のところで出たケツ田とは、ケスタ地形の聞き間違えだろう。


しま爺の平成夜話-NEC_0179.jpg


ツタの実。ツタはブドウと同じ仲間だ。






★これは聞いた話で裏はとっていないが、あの時山形から宮城に救援物質を運んだトラックが、なんらかの理由で入県制限を受けたという。
混乱防止の意味もあるかも知れないが、体育館に集められた物資のあの団体がらみの怪しい噂と同様、気になるところだ。


噂が本当なら、大津のあの連中同様、人間の皮を被った何かである。