なにがなんだかさっぱりわがんねがった。
今でもそんだ。
じっちゃんとばっちゃが丹精込めて育でだ稲。
まぢがらおやぐ人さんがやって来て、穂が垂れる前に刈り取れって言っただ。
もぢろん、じっちゃんもばっちゃも、そげなごどしねがった。
すたら、おやぐ人さんはわげえのいっぱい連れできで、棚田の稲をぜーんぶ切り取ってしまっていった。
おら泣いだ。
こんなに涙が出んのがってぐれえ泣いだ。
作付け制限とか難がしいごと言ってだ。
自分とこで作っちゃっダメで、ほがの国がら買うんだと。
買うのは勝手だげんど、なんで作ったもん粗末にすんだろ。
おら、今でもわがんね。
これはまたべづの話だ。
このあたりはフランスのケツ田に似てますなあ。
とか、茶色い麦わら帽子のようなものをかぶった人が言った。
おやぐ人がへいこらへいこらすてだがら、よっぽど偉い人がもしんね。
おらはフランスっうのはどごだがしんね。 でも尻田はながんべなと思った。
おお、ここのマグロは大間よりうまい、とも言ってだ。
大間はすってる。
あんちゃんがはだらいでっから。
おらはマグロよりハダハダが好きだげど、ここんとごろ食ってね。
さあで、ジュンサイでも採りにいぐべ。
しょっつるかげで、マンマ流し込むんだぁ。
これはせがいいぢうめえ。
