
初夏である。
今日は暑くなるらしい。
確かに朝から汗ばむ陽気だ。
日本の夏とは、だいたいが暑くじめじめしているのである。
昼間は40度、朝起きたらマイナス20度で、隣に寝ていた相棒が凍死していたなどということは、今の日本ではあり得ないことだろう。
さて、暑い夏が来るなら涼しい話でもしてみるかい。
いや、涼しいというより冷たい、痛い、さらにそれを通り超した温度のことだ。
気温などを計るときには、日本だと摂氏が使われるから、これからの話は摂氏で考えていこう(科学の世界では、摂氏や華氏はあまり用いないが、一般的ではないかも知れないので摂氏、つまり℃で考えることとする)。
ところで、皆さんは一番寒い(低い)温度とはどれくらいかご存知だろうか。
高い方なら、1億℃とか1兆℃というものがありうる。3000℃を超えたなら大部分の金属は溶けてしまうから、とても理解しえない温度だろう。
しかし、低い方となると意外に身近?な温度なのだ。
アイスクリームなどを買った時についてくるドライアイスは、約-80℃。福島原発で水素爆発の確率を減らすために使っている液体窒素は、およそ-196℃。ロケット燃料でもある液体水素は約-253℃。
私たち人類が考えられる最低温度は、なんとたったの?-273℃くらい。
そう、人類にはこれ以下の温度は理解できないから、無いということになっている。
1兆℃の1兆倍くらいの温度は考えることができるが、-273℃を少し下回る温度以下は理解できないのだ。
人間は理解できない場合には、それは無いという決まりを作った。
なぜ無いのだろうか。
それは、その温度になるとすべての原子の動きがなくなるからだというのが現在私たちの知っている科学だ。
すべてが動きを無くしてしまう世界。
この-273℃ちょっとを、絶対零度などという。
この世界では原子も電子も動きを止めてしまうから、それ以下という温度はあり得ないというわけだ。
さて、この絶対零度付近では、なかなか面白い現象が現れる。
よく知られているのがヘリウムⅡ。
ヘリウムⅡは普通の条件下では、-273℃になっても固体にならない。
そればかりか、大変奇妙な動きをする。
まるで、地球の引力がなくなったような挙動をとる。
この動きは不確実性原理で説明できるらしいが、私にはよく分からない。
分からないが、分かったような気になることがある。
ブラックホールについても、またブラックホールの縁近辺で起こるであろうことも、分かったような気になる場合がある。
そんな人類、いや普通の生命(太陽や地球は、生命とは考えない生命という意味)には全く関係のないことは分かったような気になるときがある。
しかし、自分の1分後さえ分からないのが実情だ。
ましてや、鯰や鰻の挙動は確率的には分かっても、実際どうなるのかは、分からない。
この間まで、連休前までは雪の便りさえあった震災地域。
日中韓自由貿易やら海外援助やらの前に、まだまだやるべきことがあるだろう。
が、政府はヘリウムⅡに似た動きをしている。
これも不確実性原理で説明できるのだろうか。
いや、見方を変えれば、実に効率良い仕事をしているとも言える。
が、それは庶民、日本国民にとって効率が良いという意味ではない。
これを理解するために、もう一度、宇宙で2番目多いらしいヘリウムについて調べてみるか。
えっ?
意味がありませんか?

初夏のクリ。
実ではありません。