本日限定 ★香りを送れる携帯発売 『英雄どっこもけちでえ屋騒動顛末』 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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桜も咲いてきた。








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梅の甘酸っぱい香りの中に、少しばかり甘味ある空気が漂う。

今日も昼まで寝溜めさせていただき、握り飯など作って花見とでも洒落こもうかと思っていた。

が、少しばかり欲が出た。
この香りを、エレキテル飛脚箱にて運べないかと考えたのだ。

聞くところによれば、英雄どっこもけちでえ屋では、今日からそんな仕事を請け負い始めたという。

いささか遠いが、隣村まで三里の道を草鞋をつぶしながら訪ねてみた。




今日より香り運び屋を始めたなるはまことか。



へい、旦那。細身本に細工しまして、茄子の味噌あえから唐天竺鼠の臭いまでお運びいたしやす。



さようか。
では、拙者のこのエレキテル飛脚箱もかようにしてもらえぬか。



へい。では旦那の箱を見せていただけあせんか。




あちゃあ。
すいやせん、旦那。
これは無理でごさんす。



なにー!
こら、この英雄どっこもけちでえ屋。
拙者が傘張り仕事すらもらえぬ浪人とみて、愚弄する気か!



いいえ、滅相もねえ。
ただ、そのこれはちいと無理でござんして。



ええい。四の五のメクレルのベクレルの言いやがって。拙者のなりをみて門前払いするつもりであろう。かくなる恥をかかせるなら、この太刀で……。



あの旦那。誤解しねえでくだせい。お武家さまにそんなこたあしやしません。
お武家さまの箱が古すぎて、いやたいへん貴重な年代物ですんで、あっしにはとても扱えない物でござんすから。

このような由緒ある箱をお持ちとは、さすがお武家さまでいらっしゃいます。



うん!
さようか。
さほどの年代物か。



へへい。
このような物は、あっしにはとても触れられる代物ではござんせん。
そのまんま、大事に扱いいただけた方がよろしいかと。



さようか。

ふむふむ。由緒ある年代物か。
ふむふむ。であろう、であろう。



拙者は、新たな草鞋に履き替えて、三里の道を引き返してきた。








ねえ、あんた。えらい大声がしてたけど、何かあったのかい。


ああ、隣村の水呑みざむれいが来たから、体よく追い飛ばしただけだ。


なんか、長いものを抜くとかなんとか言ってなかったかい。



はっはっは。抜けやしねえよ。
銀紙貼った竹みつなんざ。





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