【小説】娘のバレンタイン | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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こんばんは~

背丈180センチメートルはあろうかと思われる、いささか撫で肩の男からやっと聞き取れるくらいの言葉が漏れ出た。


パパっ。これ私の今の彼氏。

ちょっと2階に上がるわね。

そう言うと娘は、慣れた手つきで玄関にはき捨てられた13モンを揃えた。


あ、あ~。


私はひどく間延びした返事をして、階段に昇る足音を聞いている。


しばらくすると、娘の甲高い笑い声が聞こえてきた。

私はタバコに火を付ける。



と、ドタドタと何かが動いたような音がして、






静寂が訪れた。



私は、さっきのを一口吸っただけなのに、またタバコに火を付けていた。



先に付けたタバコが、灰皿のなかでパチパチと小さな音を立てた。




私は、静寂の圧力に負けて




外に出た。