
題名を見てピンときた方もいるでしょう。
シンガポールの話です。
この島国はほとんど赤道の真上。
かつては、うっそうとしたジャングルでした。
その後、大航海時代に入り西洋人がやって来ると、マラッカ海峡にあるこの島に俄然注目が集まり、香港と並び東洋の宝石の地位を築いていきます。
第二次大戦中には星州島とも呼ばれ、イギリスと日本が激しい戦いをした島でもありました。
星州の名前は、現在も当地の新聞社名などに残っています。
シンガポールは、イギリス領→日本領→マレーシアと支配国を変えながら、初代国王と言っても過言ではない、李氏の独立宣言をもって現在に至ります。
現在首相をしている李氏の長男も頭脳明晰、国民の絶対的支持を得ています。
こうなるにはいろいろ暗い歴史もあったのですが、このあたりは現在の繁栄をもって目をつぶっておきます。
この淡路島くらいの大きさで、横浜1市の人口にさえ満たない島国と日本を比較するのは問題がありますが、少なくとも私が見た範囲では、国民の生活レベル、幸福感、責任感はシンガポールの方が勝り、自国への愛は比較にもなりません。
シンガポールには、奇跡とも言えることがあります。
それは水さえほとんど自給できずに、輸入100%の資源、農作物など何にもない国なのに、世界屈指の経済中枢を担っていること以上にすごいことです。
それは、北部ジャングルを除けば、ほとんど蚊を見たことがない、ということです。
これは信じ難いことですが現実です。
少なくとも私が滞在していた約3年間。
蚊に刺されたという記憶がありません。
これには、日本では考えられないような厳しい規則があるからなのです。
ただ、現地の方には当たり前になっていて、気にはならないようです。
盆栽に水をやる時にも、十分気をつけないといけません。
金魚鉢で淡水魚を飼う。
これは素人には管理が難しく、危険過ぎます。
逮捕覚悟でないと難しいでしょう。
実際に、ある駐在員(かつてはシンガポールで2倍目くらいに人気のあった会社の日本人社長であり、私が勝手に決めた5番目のオヤジ。李氏とも知り合い)の奥様でさえ、逮捕されています。
まあ、その辺の規則さえ気を遣わずに守れれば、シンガポールは私は世界一素晴らしい国かなと思います。
これから先が厳しいようですがね。
長男の、本当の力が発揮されるのはこれからでしょう。
共和国でありながら、他の共和国同様、王様以上の存在がある国。
ただし、他と違うところは、国民の明るい目でしょうか。
“月と六ペンス”で知られるサマセット・モームの常宿だった世界屈指の高級ホテルであるラッフルズにアラブ資本が入ったり、熱帯植物園だったセントーサ島をカジノ天国にしたりと、生き残りの道を模索中のようです。
この政権は実質単一政党政権です。
その意味では中国共産党や朝鮮民主主義人民共和国に近く、また、最近政権を奪取したタイ王国のそれとも、また、現在の日本の断末魔幼稚園児政権と同じ思想が奥にはあります。
違うのは、シンガポールは国が小さいことにも関係しますが、言ったことを実践していること。
いくら奥底に似たものがあっても、今の日本政権と比較するのは失礼かも知れません。
今の政権への苛立ちは、全身を蚊に刺されたもの以上です。