
痒いよー。痛いよ~、痛いよ~。痒いよー。
あたいは真っ赤に腫れた肌の痛がゆさに、身をよじっていたさぁ。
なんでこうなったかって?
聞いてよ。あたいはなーんも悪いことしてないわさ。
ホントさね。
隣村のオロチョン兄ちゃんたちが、あたいの美貌に我慢できずに、毎日毎夜寄ってくるから、こう言ってやったんさぁ。
この海の向こうに神仙人が住む国があっから、そこへ連れて行ってくれたら、あんたらと毎朝毎晩付き合ってやっていいってね。
そしたらオロチョンのアホどもが本気にしちまって、いっぱい舟作って、本当にこの国へ連れてきちまったんよ。
ほんでもって、ほら約束守れって言うから言ったんだぁ。
あんたら、鏡見たことあっかい。そんな髭面のボサボサ頭で、ホントにレディのあたいとナニできると思ったの?バッカじゃねえ!
ってね。
ほら、あたいは何も悪いことしちゃいないよね。
ホントのこと言ったんだもの。
それに、毎日毎晩、1人でやつら80人も相手にできないのは常識だっちゃね。
そう、常識を言って何が悪いのさぁ。
そしたらオロチョンのやつら、急に怒っちまって、あたいをてごめにしたんだよ。
ひどくねえ。
これって、セクハラだよね。
なーんも悪いことしてないあたいに、みんなで寄ってたかって暴力働いたんだから。
そんでもって、素っ裸のまま砂丘においてけぼり。
これは未必の故意、殺人罪で訴えてもいいぐらいだよ。
あとで裁判で勝ったら、いっぱい賠償金払わせるんだぁ。
まったく、男ってえのは、人情にかけるわねえ。
なーんも悪いことしていないレディを、こんな目にあわせるなんて。
あったく、世の中おかしいわよ。
あー、痒い。
あー、痛い。
誰か助けてくんねかなぁ。
はやく、次の鴨来てくんねえかなぁ。