
名前は“ニャハ”。
ただし、姿はない。
吾輩が時々お邪魔する肉体に、小学生の頃から取りついている。
まあ、世間でいう背後霊のようなもの。
いや、というか家族のようなものだから、眷属、犬族と言うべきだろうか。
今日も、かなり爺さんになったこやつを散歩させてみた。

あらら。
ここは挨拶知らずの、あの臭いおならをしてビュンビュン走るヤツらは入れなそうだから、これはおいらへの警告かな。
走っちゃダメってかい。
しかし、へんな看板。

ぎゃ!
こういう道は苦手だ。
特に今日みたいに暑い日には、足がベトベトする。

うわっ。
普段は楽しい砂利道も、今日はよしてくれー。
足がヤケドする。

そうそう、こんなのが嬉しい。
うんっ?

なんか動くもの発見。
なーんだ。川面に映った草だった。

舟にしてはずいぶん小さい。
誰が乗るのだろう。

焼け付く足を入れたいけど、結構波が荒いぞ。
さて、本体がバテてきたようで、地面に這いつくばるのを嫌がってきた。
そろそろ、目線を人間に戻してやろうかな。